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読書レビューまとめ

135
読書のレビューをまとめてみました。
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2024年4月の記事一覧

『三体II 黒暗森林 上・下』(劉慈欣 著)

『三体II 黒暗森林 上・下』(劉慈欣 著)

【内容】
世界的ベストセラーSF小説『三体』の続編。

地球よりも遙かに進んだ文明を持つ三体星人の艦隊が、450年後に地球侵略へとやって来る。
三体文明は、人類の科学の進化を阻止するため、『智子(ソフォン)』を送り込む。
(智子は人類を監視し、技術開発の妨害をするために作られたもので、基礎研究の実験結果を妨害することで、人類の科学の進歩を阻止するというもの。)
地球における技術の飛躍的進歩が見込め

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『三体 Ⅲ  死神永生 上・下』(劉慈欣 著)

『三体 Ⅲ 死神永生 上・下』(劉慈欣 著)

※ネタバレします。

【内容】
ベストセラー『三体』の最終巻。

【感想】
最後はこんなところまで、連れてこられたと言った印象でした。
世界全体が二次元世界に飲み込まれ、そこから世界が回復(?)した何百万年後の世界に、コールドスリーブから目覚めた主人公たちが、新天地で新しい生活を始めるという終わり方でしたが…
SFなのに温もりのある読後感だったりしました。

あと、冒頭で要領良く、前2巻の話を要領

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『勝てる投資家は、「これ」しかやらない』(上岡正明 著)

『勝てる投資家は、「これ」しかやらない』(上岡正明 著)

【内容】
「株で勝ち続ける投資家」は、過去の経験・データから再現性を見つけ出して未来を予想するということの有効性を語った本。

【感想】
勝ち続ける投資家、負けない投資家が大事にしているのは、『再現性』であるという本でした。
かなり具体的に投資について事細かに書かれていました。

https://www.amazon.co.jp/勝てる投資家は、「これ」しかやらない-MBA保有の脳科学者が教える科

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『板上に咲く-MUNAKATA:Beyond Van Gogh』(原田マハ 著)

『板上に咲く-MUNAKATA:Beyond Van Gogh』(原田マハ 著)

※ネタバレ(?)します。

【内容】
版画家の棟方志功が、極貧状態から世界的な名声を得るまでを、妻からの視点で描く。

【感想】
この間まで開催されていた棟方志功の回顧展を観に行って、棟方本人のことが気になっていたので読んでみることに…

今とは比べ物にならないような過酷な状況下で、画家を目指した棟方は、貧困と弱視に悩ませながらも、忍耐と様々な幸運に恵まれ、世界のムナカタになっていくという成功譚を

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『上流階級 富久丸百貨店外商部 其の二』(高殿 円 著)

『上流階級 富久丸百貨店外商部 其の二』(高殿 円 著)

【内容】
アラフォー女性の静諸が、老舗デパートに転職したが、富裕層顧客専門部門である外商部配属されることになる。
静諸は、富裕層顧客からの数々の無理難題に悩ませながらも懸命に奮闘する。

【感想】
単純にものを売るというより、顧客と様々に結びつくことで信頼を勝ち取っていく…

今回は日本の上流階級のより深く描きつつも、婚活、ヤクザの愛人、高級ランジェリーと様々な切り口から物語を展開させていっていま

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『陰翳礼讃』(谷崎潤一郎 著)

『陰翳礼讃』(谷崎潤一郎 著)

【内容】
文豪の谷崎潤一郎が、東洋や日本ならではの美について書いたエッセイ集。

【感想】
陰影の作り出す空間の広がり、安らぎ…
わかる、わかるなあ…読んでいて、いちいち頷かされました。

学生の頃に買って、途中まで読んでそのまんまになっていた本でした。扇風機とかガラス、風呂のタイルは美しくないとか…
なんだか年寄りの時代錯誤な感じがすると感じる箇所などて引っ掛かって、途中までしか読んでそのままに

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『成瀬は天下を取りにいく』(宮島未奈 著)

『成瀬は天下を取りにいく』(宮島未奈 著)

※ネタバレします。

【内容】
女子中学生の成瀬は、閉店になるまで地方デパートで、毎日生中継されているテレビに映り込むことにする。
成瀬の特異なキャラクターは、周りから反発されながらも飄々と生きる姿勢に、徐々に周りもその魅力に魅了されていく…

※2024年本屋大賞受賞作品

【感想】
地域に唯一あるデパートの閉店に合わせてカメラに何度も映りに行ったり、m-1や競技カルタに参加したり…
成瀬は、ど

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『トッカン 特別国税徴収官』(高殿円 著)

『トッカン 特別国税徴収官』(高殿円 著)

【内容】
東京国税庁の新米徴収官の鈴宮が、様々な税金未納者から税金を徴収するために奮闘する。

※多少ネタバレします。

【感想】
この作者が書いている百貨店の外商員を描いている『上流階級』のシリーズが面白かったので、この本も読んでみたのですが面白かったです
キャラクターがラノベぽく、読みやすいと言えば読みやすく、主人公女性の年齢も25歳の若手が、凄腕のベテラン徴収官と組みという、お仕事ものの物語

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『トッカン vs 勤労商工会』(高殿円 著)

『トッカン vs 勤労商工会』(高殿円 著)

【内容】
東京国税庁の新米徴収官の鈴宮が、様々な税金未納者から税金を徴収するために奮闘する。
税務署の天敵である『勤労商工会』との対決。描いた『トッカン』シリーズの第2巻。

※多少ネタバレ(?)します。

【感想】
よくもまあ、こんなに知られていない世界の話を面白おかしく書けるものだなあと…
はっきり言って税務署って、これまで良い印象は皆無なのに、ちゃんとその中で働く税の徴収官に感情移入出来まし

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『心の疲れをとる技術: 自衛隊メンタル教官が教える』(下園 壮太 著)

『心の疲れをとる技術: 自衛隊メンタル教官が教える』(下園 壮太 著)

【内容】
自衛隊のメンタルヘルスの教官が、「心のムリ・ムダ・ムラ」を防ぎ、バランスよく生きていく実践的方法を解説する。

【感想】
Xで紹介されているのを読んで、気になって読んでみることに…

自衛官時代の実体験をもとに、ダメージごとに必要な対策など、具体的な方法論を書いてあって、とても参考になりました。

たまたま、この本を読んだ後、自衛官だった方と話すことがあって、結構心を病む人が多く、PKO

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『トッカン the 3rd  おばけなんてないさ』(高殿円 著)

『トッカン the 3rd おばけなんてないさ』(高殿円 著)

※ちょっとだけネタバレ(?)します。

【内容】
東京国税庁の新米徴収官の鈴宮が、様々な税金未納者から税金を徴収するために奮闘する。
『トッカン』シリーズ第3巻。

【感想】
『おばけ』をテーマ、題材にして、幾つものレイヤーで話を積み重ねていく物語構成となっている本でした。

出てくるエピソードは…
新興宗教、檀家制度、災害支援、生活保護、家庭内DV、公務員の守秘義務、売掛金問題…
相変わらず、多

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『文庫版 地獄の楽しみ方』(京極夏彦 著)

『文庫版 地獄の楽しみ方』(京極夏彦 著)

【内容】
小説家の京極夏彦が、『地獄』である現実を生きることについて、若者たちに向かって語った講演を書籍化した本。

【感想】
この本の中で印象に残ったのは…

『愛は地球を救う』というキャッチフレーズは、言葉を雑に扱うことで、なんとなく良い雰囲気にしてお茶を濁しているだけではないか…要は、『地球という親のスネを上手くかじるために、人間の都合の良い状態にしておこう』という自己欺瞞である。

『〇〇

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『シャーリー・ホームズ 緋色の憂鬱』(高殿円 著)

『シャーリー・ホームズ 緋色の憂鬱』(高殿円 著)

※ネタバレします。

【内容】
2012年、オリンピック開催に沸くロンドンを舞台に、アフガン帰りの軍医ジョー・ワトソンは、名探偵シャーリー・ホームズと出会い、不可解な連続殺人の謎を解明するために奔走する。

【感想】
使い倒され、超絶レッドオーシャン化しているホームズということで、触手が伸びなかったのですが、この作者の本で読んだ何冊かの本が面白かったので、読んでみることにしました。
この本読んでい

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