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子どもと美術

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子どもと一緒に見た美術館やら博物館やら。
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【痛切にして痛快】開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ 東京都現代美術館

【痛切にして痛快】開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ 東京都現代美術館

「開発好明(かいはつ よしあき)氏が2024年夏に東京都現代美術館で個展を開催」

そのフライヤーを見た時、家族全員で「あ、あの人だ!」となった。

5年前の2019年の夏に同じく東京都現代美術館で開催された「あそびのじかん」という企画展の第一展示室に飾られていたのが開発さんの作品だった。

当時5歳と7歳の息子たちは開発さんからサインをもらっていた。
この辺りの毎年夏にやっている現美の展覧会は子

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【お一人様中学生】展覧会へ行き鈴木康広さんと頼朝に会うの巻

【お一人様中学生】展覧会へ行き鈴木康広さんと頼朝に会うの巻

4月に長男が中学生になった。部活や定期テストやらで忙しい。
もう家族みんなで週末お出かけなんて悠長なことを言っていられなくなった。こうなることは予期していたが、まぁどこの家庭もこんな感じなんだろう。小学校までと違って試合会場や練習場へは親の付き添いもいらないし楽にはなった。

その反動なのか年齢的なものなのか、まぁーダラダラした態度が目についてこの夏休み中もゲリラ豪雨的な雷を「私が」何度も落とした

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【ボン埼玉】さいたま市大宮盆栽美術館

【ボン埼玉】さいたま市大宮盆栽美術館

さいたま市にある美術館は埼玉県立近代美術館だけではない。
なんと盆栽の町、盆栽村まで擁する大宮には盆栽美術館なるものがある、と福島に住む美大時代からの友人に教えてもらい、彼女の希望もあって私と次男の計3名で行ってきた。

いきなり盆栽をどーん!と展示するわけではなく、盆栽の見方や専門用語、ここ注目!というイントロダクションのコーナーがある。
様式なども一通りデモンストレーションしてくれる。

盆栽

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【これからは◯◯の時代!】三島喜美代―未来への記憶 練馬区立美術館

【これからは◯◯の時代!】三島喜美代―未来への記憶 練馬区立美術館

原美術館が品川にあった頃、その芝生の中庭にいつも大きな新聞紙が鎮座していた。
私が見た三島喜美代作品の最初は、それだと思う。
原美術館が閉館する時、作品はどうなってしまうのか?と思っていたら群馬県のハラミュージアムアークにちゃんと移設された。一安心。

あとは、現代美術館の常設展示室で見かけたりしていたと思う。
やっぱり、面白くてちょっとクスッと笑ってしまうことに惹かれる性分なせいか、作品は作品な

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【彫刻の上の散歩道】カール・アンドレ 彫刻と詩、その間 DIC川村記念美術館

【彫刻の上の散歩道】カール・アンドレ 彫刻と詩、その間 DIC川村記念美術館

千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館。
古典、印象派からミニマルアート、カラーフィールド等アメリカの60年〜80年代中心のコレクションが進み、非常に豊かな常設展を形成している。

今年、中学生になった長男が「ここ、行ったことあるよね?」美術資料集を見せてきた。
掲載されていた写真は川村記念美術館のロスコ・ルームの写真。
え、あの部屋が美術資料集に載るのか…?なかなか面白いチョイスだな?資料集とは

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【読めないモノを読もうとして】本阿弥光悦の大宇宙 東京国立博物館

【読めないモノを読もうとして】本阿弥光悦の大宇宙 東京国立博物館

東博の展覧会は長男がどこからか匂いを嗅ぎつけて行きたい!となるが、今回は夫がずっと楽しみにしていた。
書の展示でフォント的な視点で興味関心があり、気になると。
あと俵屋宗達とのコラボ鶴絵巻ももう一度見たい、と。

美術館と違うので予備知識が多少必要&東博の混雑怖いから綿密なスケジュール管理必須!の私は一瞬怯むのだが好奇心には抗えず行く。
鳥好きの次男に関しては「鶴がいるよ」で誘う。

今回やったス

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【いとしさとせつなさと素朴な心と】みちのくいとしい仏たち 東京ステーションギャラリー

【いとしさとせつなさと素朴な心と】みちのくいとしい仏たち 東京ステーションギャラリー

今回は次男がどこかでチラシを入手し「コレ、なんかかわいいから見たい」と言われていたので、行ってみようということになった。

長男はサッカーの試合だったので次男と二人で行く予定だったが、天候不良で試合は延期。お出かけ先で外食にありつけるかも?という下心も見えつつ「オレも!」となり「では僕も」と夫も一緒に行くことになった。
結局、家族総出で東京駅へ。

今回の趣旨はこちら。

場内、撮影禁止なので実物

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【子も歩けば美術に当る】「歩く、赴く、移動する 1923→2020」 MOTコレクション & 小学生と見る豊嶋康子展 東京都現代美術館

【子も歩けば美術に当る】「歩く、赴く、移動する 1923→2020」 MOTコレクション & 小学生と見る豊嶋康子展 東京都現代美術館

東京都現代美術館のコレクション展示室の入れ替えがあったので早速訪問。

そして先日鑑賞し、すごく満足度の高かった豊嶋康子展を息子二人と見てみたく、誘ったら快諾されたので見に行った。
現代美術は難解なのもあるが身近なもの、考現学に近い作品は楽しめる様子だ。

まずはコレクション展から今回の概要はこちら。

そしてこのコレクション展示室用のパンフレットが毎回大変凝っている。
コレクションしたくなるほど

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【絶賛、飼育中】テオ・ヤンセン展 千葉県立美術館

【絶賛、飼育中】テオ・ヤンセン展 千葉県立美術館

千葉県立美術館でテオ・ヤンセンの個展が開催されている。

どこかしらで名前を知り、きっと映像作品で見たのかどんな感じの作品かは薄っすら知っていた。
なんだか子供達も好きそうだから、一緒に行く?と誘ったら
「え!テオ・ヤンセン?!知ってる!アレだ!見たい!」
と言われ、なぜ知ってんのかと思ったら、息子2人はガサガサと本棚から「くらべる図鑑(確か科学)」を出してきて「この図鑑に載ってるんだ」と教えてく

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【柔らかな鋼】青木野枝 光の柱 市原湖畔美術館

【柔らかな鋼】青木野枝 光の柱 市原湖畔美術館

彫刻家、青木野枝(あおきのえ)の個展が市原湖畔美術館にて始まった。

氏の作品は東京国立近代美術館のコレクション展示室で見たのが1番印象に残っている。

2023年夏、豊島でも野外展示の作品を見つけ、なぜかホッとした。

非日常な旅の空間に知った作風が現れるとホッとした。神社の脇に設置されたその作品と瀬戸内海を見てしばらくボーっとした時間は良い旅の思い出だ。

今回はシンプルな展示室に青木氏の大き

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【蛙がデカい】特別展「やまと絵-受け継がれる王朝の美-」東京国立博物館

【蛙がデカい】特別展「やまと絵-受け継がれる王朝の美-」東京国立博物館

プロローグ
四大絵巻が揃う

今回の平成館の特別展ポスター、敢えてなのかわからないが、まず何が出ているのかぱっと見で分からなかった。
開幕後、ありがたいことにnoteでレビューを見る機会もあり調べると何やらとんでもない事が起きていた。
四大絵巻が全部揃う、という。おやおやこれはちょっとすごい。

と思ったら私より先に歴史好き長男が情報を仕入れてきた。
「教科書に載ってるアレもコレも全部見れる!行こ

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【豪胆と繊細】三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions 千葉市美術館

【豪胆と繊細】三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions 千葉市美術館

※9月10日[日]会期終了です
寄木の仕組みで組み立てられた動物の彫刻たち。
とにかく大きい。その大きさに爽快感のある展示でした。
そして木の香りがする展示室も、「塗りたて」の看板のつく新作の彫刻もとても新鮮だった。

難しいことを考えず彫刻の表面や削った痕跡、着彩の筆跡を追うのも楽しい。

動物たちの周りをぐるぐると回りながら見え方の変わる立体作品の面白さを味わう事ができる。

三沢氏のアトリエ

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【彫刻の今日】富井大裕 今日の彫刻 トルソー或いはチャーハン 栃木県立美術館

【彫刻の今日】富井大裕 今日の彫刻 トルソー或いはチャーハン 栃木県立美術館

もう展示タイトルからして突っ込みたい気持ちが満載なのだがチャーハンはどこからきたんだ。

という訳で我が家では「画鋲の人」でお馴染みの富井大裕氏の個展を見るために栃木県立美術館へ行ってきた。
「画鋲の人」の所以はこちら

【何処となく、考現学的な】

赤瀬川原平さん的要素を感じつつもその違いというのは「意味の剥奪」だろうか。
赤瀬川原平さんが「無用の長物」を路上で見出したのなら、富井さんは路上で造

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【ホックニーの生々流転】 デイヴィッド・ホックニー展 東京都現代美術館

【ホックニーの生々流転】 デイヴィッド・ホックニー展 東京都現代美術館

楽しみにしていたホックニーの個展。
しかも東京都現代美術館ですから期待も高まる。
見終えた後、あぁ、やはり良いな、楽しい絵だなぁと実感した。
心が暖かくなる展覧会だった。嬉しい。

長い画業の中から、東京都現代美術館の所蔵品とホックニー個人蔵の作品を中心に年代別に提示する展覧会。
一つ一つの取り上げ方はやや浅いですが、

網羅的に見ること
今の作品もしっかり見せること

に注力したのかな、と。

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