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【森に浮かぶ魚】フィリップ・パレーノ:この場所、あの空 POLA美術館

箱根の山中にあるPOLA美術館。ウン十億円のゲルハルト・リヒター作品があることでおなじみですが、今回、現代美術の企画展を開催していたので行ってきた。

自分の運転で初東名高速を走って到着。車から降りたら28度とかで快適すぎた。
都内が35度とかの日だったのでまぁ感激。夏の箱根、標高高いところは本当に避暑地だな、と。


さて企画展の概要


現代のフランス美術を代表するフィリップ・パレーノは、今日最も注目されるアーティストの一人です。映像、音、彫刻、オブジェ、テキストやドローイングなど作品は多岐にわたりますが、その意識は常に、現実/フィクション/仮想の境界、あるいは実物と人工物との間に生じる乖離、その奇妙なずれへと向けられています。また、芸術や「作者性」の概念にも疑問を投げかけ、数多くのアーティスト、建築家、音楽家と共同で作品を生みだしてきました。

ポーラ美術館

中略

国内最大規模の個展となるポーラ美術館での展覧会では、作家の代表作である映像作品《マリリン》(2012年)※をはじめ、初期作品から初公開のインスタレーションまで、作家の幅広い実践を多面的にご紹介いたします。 ※新収蔵作品

ポーラ美術館


作品ひとつひとつ、というより空間の演出、インスタレーション多めなので作品数は少なめ。キャッチーな展示室は子供も楽しんでいた。

魚の風船が飛び交う部屋、があるのだが、もちろん漂っているだけなので部屋の隅によってしまったり、天井の端にくっついてしまったりということが起きる。

なんか夢の中みたいだな
魚と目が合うシュールさ


それを展示室のかかりの人が虫取り網のようなもので、適度に魚たちが泳ぐように、空間をかき混ぜている状況がとても面白かった。
作品そのもの、よりもその状況が面白い、というインスタレーションあるあるである。

天井に敷き詰められる吹き出し


映像作品はある程度時間が必要。15分や20分程度なのだが美術作品の映像は見やすいものといつまでもわからないものとがある。

コレクション展示室

リヒターとモネが並べて飾ってあった。
コレクション展示のタイトルは「印象派からリヒターまで」。
リヒターまで、というと印象派時代とリヒターの生誕「まで」はおよそ50年ぐらいしかない。リヒターは1932年生まれだから。

しかしリヒターの生誕から現代までを加算すると、そこに90年プラスするわけでおよそこの140年の絵画の流れを伝えたいから「印象派からリヒターまで」となったのだろう。

この西暦の表記を見て最近思うのだが、自分は1981年生まれであり、その当時はまだ1890年代生まれの人が生きていたのだな、と思った。
1992年にきんさんんぎんさんが100歳でCMに出ていたということは、彼女らは1892年生まれということか。芥川龍之介や福田平八郎と同い年だったのか。

自分が生きれば生きるほど、身近に思っていた西暦の年数が、過去が、どんどん遠ざかっていく。
当たり前のこと、なのだが目眩く気持ちになる。

会社にいる30歳前後の神戸出身のメンバーと話した時、阪神淡路震災の話題になり「幼すぎて記憶に無いっす」と言われ「そうか!」となった。ある案件を一緒に担当している子は「東日本大震災の時小学生でした」と言われこれも「そうか!」となった。
会社の職種柄、上の世代の人より下の世代人が多いし、これからもその比率は下の世代が増えていくわけだ。

ゲルハルト・リヒターが東ドイツ出身、という重さもよくよく考えないとピンと来なくなってくるのだろう。子供に「え?お母さんが子供の頃ってドイツ2つあったの?!」と言われたことを思い出した。

ただ単純に絵画を並べているわけではなく。
絵を描いた人がどの時代を生きて、それが後世にどう捉えられて影響してるのか。
そんなことをコレクションから打ち出して行きたいのだろうな、と感じたコレクション展示室だった。

フェリックス・ゴンザレス=トレスの代表作《「無題」(アメリカ #3)》 新収蔵・初公開
このハマスホイ、よき
ロニ・ホーン「鳥葬」
2022年に見た時は天気も悪く、あまりに写真のイメージと違いすぎてその年に見たガッカリ作品ワーストワンになってしまった。
今回も相変わらず泥だらけだっけど、それはそれで良いのだろう。
森林が映り込む


余談


ポーラ美術館は散策路も素晴らしいのでぜひ歩いて欲しい。
が、今回は聞いたことのない鳥の声が響き渡り、鳥好き次男ソワソワし始める。

声は聞こえるが一向に姿が見えないので先へ進もうと促すも物凄いご機嫌斜めに。胸にはしっかりNikonの双眼鏡をぶら下げている。
最終的に「あの鳥の姿を見るまで動きたくない…」と。まーじーかー。
子連れあるあるだが、10歳になってもまだこういう事は起こる。

私と長男は先に車に戻り、夫が散策路2周目をキメてくれた。
その結果、ミソサザイ、キンカチョウらしき鳥を見る事ができたらしい。
良かった、良かった。
これで心置きなくポーラ美術館を後にする事ができた。

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