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ニュースの手帖

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2020年6月の記事一覧

無料アプリで将棋がどんどん強くなれる、かつてない時代になっている件

無料アプリで将棋がどんどん強くなれる、かつてない時代になっている件

▼17歳の藤井聡太氏が、快進撃を続けている。産経新聞の記事から。

〈【ヒューリック杯棋聖戦】藤井七段、最年少タイトルに王手 第2局も制す 2020.6.28 18:44〉

〈将棋の渡辺明棋聖(36)=棋王・王将=に高校生棋士、藤井聡太七段(17)が挑戦するタイトル戦「第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負」(産経新聞社主催)の第2局が28日午前9時から東京・千駄ケ谷の将棋会館で指され、後手の藤井

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17歳の藤井聡太氏がいきなり二冠になるかもしれない件

17歳の藤井聡太氏がいきなり二冠になるかもしれない件

▼将棋棋士の藤井聡太氏が、棋聖戦に続き、王位戦でも挑戦者に名乗りを上げた。

〈将棋の藤井七段が王位戦リーグ最終戦に勝利 挑戦者決定戦へ進出〉(東京新聞2020年6月14日 07時09分)

〈将棋の第六十一期王位戦(東京新聞主催)の紅白リーグ最終戦が十三日、東京都渋谷区の将棋会館で六局一斉に指され、白組は藤井聡太七段(17)=写真(右)=が、紅組は永瀬拓矢二冠(27)=同(左)、叡王・王座=がい

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「うわさ」と「インフォデミック」との違いを考える(3)

「うわさ」と「インフォデミック」との違いを考える(3)

▼「情報+伝染」の新語である「インフォデミック」とは具体的に何か。

単なる「うわさ」との違いを踏まえて、松田美佐氏いわく、インフォデミックとは、

1)〈何が「信頼できる情報」なのか、それ自体が争われるような事態〉

であり、

2)〈「信頼できる情報」に対する不信感が増大する状況〉

であり、

3)〈必要な情報が届かないのではなく、届いたとしても、一部の人々には信頼されないという問題なのだ〉

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2021年に東京オリンピックが開催できなさそうな件

2021年に東京オリンピックが開催できなさそうな件

▼人生は科学ではないし、科学は人生ではない。

しかし、人生のある局面が科学に左右されることはある。

2020年に開催されるはずだった東京オリンピックが、そうだ。

▼いったん2021年に延期になったが、2021年に、開催できるのか。

これに自信をもって答えられる人は一人もいない。筆者は現状では、無理だと思っている。なぜなら、新型コロナウイルスのワクチンが、必要な地域に行き渡らなさそうだからだ

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「うわさ」と「インフォデミック」との違いを考える(2)

「うわさ」と「インフォデミック」との違いを考える(2)

▼松田美佐氏は、ここ20年のインターネットの歴史と特徴を、たった3つの文章で要約してくれている。適宜改行と太字。

〈草創期、公共圏形成の可能性を持つものとして期待されたネットは、2000年代に入り、社会の分断化の原因とも、促進要因ともみなされるようになる。

なぜなら、ネット上では自分が好む情報ばかりを入手する傾向があるだけでなく、同じような考えを持つ人が集まりがちで、その集団の中では極端な考え

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「うわさ」と「インフォデミック」との違いを考える(1)

「うわさ」と「インフォデミック」との違いを考える(1)

▼インターネット、そしてSNSの普及によって、インフォデミック、インフォデミックと言われるようになったが、これまでと何が同じで、何が違うのか、冷静に腑分(ふわ)けする作業に取り組んだ論考があったので、紹介したい。

「中央公論」2020年5月号に載った、松田美佐氏の「「インフォデミック」と対峙する 新型肺炎とともに広まったうわさ、買いだめ騒動」。

▼松田氏はまず、「インフォデミック」という新しい

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日本社会は「新型インフル」の教訓をまったく生かせていない件

日本社会は「新型インフル」の教訓をまったく生かせていない件

▼すぐれた記事、重要な記事を書いたとする。しかし、その後の社会状況をみれば、まったく意味がなかった、と思ってしまうことがある。

それでも、その記事を出したから、少しは被害が減ったのだ、と思いたい。そういう種類の記事もある。

▼今から4カ月前、2020年2月14日付の朝日新聞夕刊1面。

〈学校に中傷 「冷静でいて」〉

という見出しの記事だ。

▼この夕刊が出る前日、日本で初めてコロナ感染によ

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感染症対策を「経済」の大臣が仕切ることに日本では疑問を持たれない件

感染症対策を「経済」の大臣が仕切ることに日本では疑問を持たれない件

▼何度か書いたが、やはり違和感がある、というより、違和感が強くなるばかりなので、メモしておく。2020年6月14日付の日本経済新聞1面から。適宜太字。

〈連絡先1カ月保存/人同士の距離2メートル/接待伴う飲食店に指針〉

〈西村康稔経済財政・再生相は13日、夜の繁華街で営業する接待を伴う飲食店など3業種の感染防止策の指針を公表した。客に連絡先の届け出を求めるほか、店内での人との間隔はできれば2メ

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「沈黙はあなたを守らない」ーーDV被害者が半年で3100万人増えかねない件

「沈黙はあなたを守らない」ーーDV被害者が半年で3100万人増えかねない件

▼今、どれだけ手厚い対策を追加してもやりすぎにならない問題に、児童虐待と家庭内暴力とがある。どちらも、コロナ・パンデミックによって悪化する可能性の極めて高い問題だ。しかも、実態が見えない。闇が深い。

▼2020年6月6日付の朝日新聞が、世界各国のDV対策を紹介していた。そのなかから、国連の警鐘、オーストラリアとフランスの取り組み。適宜太字。

〈DVをめぐっては、国連が4月下旬、世界で外出規制が

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ネットで極論にハマった人はほぼ救えないと専門家が明言している件

ネットで極論にハマった人はほぼ救えないと専門家が明言している件

▼おそらくこれからどんどん「極論」が増えてくるので、その傾向と対策について考える材料をメモしておきたい。

世界中で増えている「陰謀論」だけでなく、日本社会で気をつけるべきは、リスクがゼロでないと許せない「白黒」思考であり、「ゼロか100か」思考でもあり、「リスクはゼロですか、それとも人間やめますか」主義でもある。

突然わきおこった潔癖(けっぺき)至上主義は、コロナ・ピューリタニズムともいえるし

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モノ言う女性への中傷は、「議会制民主主義」そのものを否定している件

モノ言う女性への中傷は、「議会制民主主義」そのものを否定している件

▼前号で、岡村隆史氏の暴言についてメモしたので、その暴言に対して「抗議する人に対する暴言」についてもメモしておく。

2020年5月19日付の朝日新聞から。適宜太字。

〈「黙れブス」物言う女性に攻撃激化 罵声だらけのSNS/伊藤恵里奈 2020年5月19日 12時00分)

〈「黙ってろブス」「バカすぎる」。検察庁法の改正やナインティナイン岡村隆史さんの発言をめぐり、意見を表明する女性へのバッシ

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岡村隆史氏の女性蔑視(べっし)発言が日本社会では許される件

岡村隆史氏の女性蔑視(べっし)発言が日本社会では許される件

▼もうひと月以上経って、忘れている人も多いのでメモしておこう。

2020年5月9日付の朝日新聞夕刊から。

〈岡村さん発言 批判と懸念/ネット投稿「貧困前提の風俗肯定」/働く人「公に『うれしい』と発信驚き」「女性が『堕ちる』には違和感」〉

〈お笑いコンビ・ナインティナインの岡村隆史さんがラジオ番組で「コロナが明けたら可愛い人が風俗嬢やります」などと発言したことが、「人の不幸を喜ぶのか」などと批

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マスク考(3)~「生活様式」にご用心

マスク考(3)~「生活様式」にご用心

▼前号で、2020年6月1日付の読売新聞に載った斎藤環氏の「コロナ・ピューリタニズム」論を紹介したが、たまたま同じ紙面の下にも、似たテーマのコラムが載っていた。齋藤希史(まれし)氏(東京大教授、中国文学)の連載「翻訳語事情」。

一語ずつ、翻訳語の歴史を解説する、なかなか面白い連載で、この日の翻訳語は

【style▶様式】

〈型にはめようとした歴史 思う〉という見出し。

〈気になるのは、生活

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マスク考(2)~斎藤環氏の「コロナ・ピューリタニズム」論で考える

マスク考(2)~斎藤環氏の「コロナ・ピューリタニズム」論で考える

▼読売新聞の2020年6月1日付で、〈CP(コロナ・ピューリタニズム)定着に警鐘/斎藤環 筑波大教授/「3密回避」へ過剰反応/「自粛警察」でバッシング/プラスの視点 終息後の財産に〉という興味深い記事が載っていた。(小林佑基)

〈新型コロナウイルスの感染拡大にともない、我々は「コロナ・ピューリタニズム(CP)」ともいうべき奇妙な倫理観を持ち始めているのではないかーー。ひきこもりに詳しい精神科医で

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