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2021年に東京オリンピックが開催できなさそうな件
▼人生は科学ではないし、科学は人生ではない。
しかし、人生のある局面が科学に左右されることはある。
2020年に開催されるはずだった東京オリンピックが、そうだ。
▼いったん2021年に延期になったが、2021年に、開催できるのか。
これに自信をもって答えられる人は一人もいない。筆者は現状では、無理だと思っている。なぜなら、新型コロナウイルスのワクチンが、必要な地域に行き渡らなさそうだからだ。
運がよければ、あと1年半でワクチンが完成する、という話は、すでによく知られている。そんななか、2020年6月12日配信の読売新聞の記事を読んだ。
〈東京五輪簡素化、9月までに最終案…IOCが各連盟に伝える〉(2020/06/12 21:00)
というものだ。
〈【ジュネーブ=杉野謙太郎】国際オリンピック委員会(IOC)が各国際競技連盟(IF)に対し、東京五輪・パラリンピックの大会簡素化に関する最終案を9月までにまとめると伝えたことがわかった。経費節減をめぐる約200の検討項目、新型コロナウイルス対策などについて各IFなどの関係機関から意見を聴取し、判断材料にする。〉
▼こうした記事は、あたかも「開催するのが当然」という前提で書くしかないのだろうが、読んだ人が誰でも感じるように、モヤモヤ感が残る。
オリンピック簡素化、簡素化、とニュースでよく流れるようになったが、この類のニュースの、どれを読んでも、モヤモヤする。
▼オリンピックとパラリンピックを開くために、最低限必要なことは、選手と大会スタッフの全員が、新型コロナのワクチンを接種できることだろう。
他のすべての準備が整ったとしても、この一点ができなければ、東京オリンピックは開催できない。選手の安全が第一である。
しかし、そんな奇跡のような仕事が、今は2020年の6月、あと1年足らず、来年の上半期に、できるのだろうか。
とても簡素化したオリンピックは、ぜひとも見てみたい。しかし、あまり期待せずに待つことにしよう。
(2020年6月 23日)