ショートショート「翻車魚に撃ち抜かれて」
素足に絡まる海辺の砂は、夏の熱を飲みこんでじりじりと皮フを焼く。
白いサテンのリボンで僕らは腕を繋いでいる。不格好な縦向きの蝶々が、潮風、熱波にひらひらと揺れる。こめかみ、うなじ、せなか、とろとろと汗が伝い落ちて僕そのものが溶けてしまっている心地。ここへ来る前に飲み干したクリームソーダのアイスクリームみたいに。
あついと僕は呟いた。足裏は焼けそうで、ときどき貝の破片にぶつかる。浅瀬が一ミリ先にある。透き通った海が打ち寄せて泡立っている。
目の前に広がる水平線には終わりが