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本や映画のおはなし

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大好きな本や映画、作品にまつわる「人」のお話。
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#小説

この夏読んだ日本•韓国•台湾の本

この夏読んだ日本•韓国•台湾の本

 読んだ本の感想を書き留めておきたいと思うものの、読んですぐには言葉にできない類のものがある。この夏手にした3冊はまさにそれだった。

 だけど、その3冊を同じ時期に交互に読みながら、言葉にならないものは無理に言葉にしなくてもいいし、「ここはよくわからないな」とか「今の自分にはちょっと受け入れがたい」という感情がわいたなら、そのまま抱きかかえていればいいんじゃないか、という気持ちにもなった。

 

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韓国をもっと知りたくなる!注目の翻訳小説と韓国文学案内本

韓国をもっと知りたくなる!注目の翻訳小説と韓国文学案内本

 幼い頃から本を読むのは好きでしたが、海外文学はどうも苦手で、外国語や海外旅行にも全く興味がわかず、「私は生涯日本から出ることないだろう」と思っていました。ところが2006年、20代半ばの頃、人に誘われて行った韓国旅行で閉じていた扉が開き、韓国の人や食べ物、言葉に興味を持ち始めます。

 「この国のことが知りたい」という思いで最初に手を伸ばしたのは、韓国のドラマや映画、音楽でした。この時「韓国の小

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韓国小説『父の革命日誌』

韓国小説『父の革命日誌』

 2年前の誕生日、1冊の小説をプレゼントしてくれた韓国人女性がいました。彼女は同じ年で、数年前に日本へ移住したフリーランスの書籍編集者。韓国での初めての出産や育児、その他もろもろで疲れ果て、自分の好きなことすら長い間思い出せなくなっていた私に、読むことや書くことの喜びを思い出させてくれた大切な友人です。

 そんな彼女が「最近読んで面白かった」と言って贈ってくれたからには、最後まで全部読み通したい

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祝!本屋大賞を受賞した韓国小説と作家たち

祝!本屋大賞を受賞した韓国小説と作家たち

 ポッドキャスト第41回、配信しました。

 今回は先日発表された「本屋大賞」の翻訳小説部門で、韓国の小説が1位と3位に選ばれたというニュースを受けて、私が最近読んだ小説『不便なコンビニ』や『アーモンド』にまつわるお話をしています。今回大賞を受賞された『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』については、過去の配信やnoteの記事をご参照ください。

 作家さんたちがどういう場所や環境で作品を生み出しているの

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ついにドラマ化確定。辻仁成、コン・ジヨン著『愛のあとにくるもの』

ついにドラマ化確定。辻仁成、コン・ジヨン著『愛のあとにくるもの』

 実は昔から定期的に読み返したくなる本や、見返したくなるドラマや映画があるんですが、その中の1つが1999年に初版が発行された辻仁成・江國香織共著の小説『冷静と情熱のあいだ』です。断捨離ブームに乗っかって一度手放したこともありましたが、やっぱりまた読みたくなり、数年前の一時帰国中に買い求めました。

 今から5年前、まだ息子が生まれて2か月の頃も、映画『冷静と情熱のあいだ』を見返したくなったことが

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