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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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追悼・音楽・Shaun Martinの遺産

アメリカのキーボーディスト、Shaun Martin(ショーン・マーティン)が、2024年8月に亡くなりました。 亡くなったという知らせをみたときに、自分でも予想以上のショックを受け、その後引きずっていました。 その気持ちを整理するために、この記事を書きました。 日本語では、既に他の記事で、彼の功績やインタビューが掲載されています。 そこでここでは、私個人(鍵盤を弾くことができます)が、Shaunの好きだった演奏などをまとめて、追悼します。 改めて振り返ると、Shaun

本気で選んだ最も偉大なアーティストランキング 〖後編〗50~1位

後編です‼️ 前編は淡々とアーティストを紹介してたんだけれども、流石に後半になってくると、その偉大さとともに熱量を帯びてきてかなり文量が多くなってしまった。別にマニアを唸らせるような豆知識などなく、むしろミーハーっぽい文章なのだが、それでも読んでくれるとありがたい。 ちなみに前回(前編)の記事はこちら↓↓ 50位 ミッシーエリオット(+ティンバランド) R&Bの持つ前衛さを極限まで煮詰めた存在が彼らなのかもしれない。 元々、2人はソングライターとしてアリーヤやSWVに楽

本気で選んだ最も偉大なアーティスト ランキング 〖前編〗TOP100~51

○傍若無人なローリング・ストーン誌ここ数年ローリング・ストーン誌はかつて自分たちが定めてランキングを改訂しているが、その選定基準は疑問に思うばかりだ。なにせ、バランスがグチャグチャなのだ。今まで保守派を貫いた反動で、過度に伝統的な名盤やアーティストを下げ、その空いた枠をこれまで過小評価を受けてきたミュージシャンが埋める形になっているため、「エリック・クラプトンが偉大なギタリストTOP30に入らない」「Hey judeが偉大な曲TOP50に入らない」という流石にやりすぎじゃない

[2024.9]ジルベルト・ジル、16年ぶりに来日!〜おそらく日本では最後のツアーとなる、3公演を実施〜

文●編集部  ブラジル音楽の歴史を作り出してきた音楽家、ジルベルト・ジル。今月末に16年ぶりに来日し、日本で3公演を行う。(東京公演は残念ながらすでに完売で、京都、高崎公演はまだ購入可能!)  ジルは今年8月に、来年(2025年)3月から開始するツアーが、キャリア最後のツアーとなることを発表した。ブラジル9都市とアメリカ、ヨーロッパでの公演が予定されている。その中には日本は含まれていないので、今回の公演が、おそらく日本での最後の公演となるであろう。  今回の来日は、ジル

新人アーティストがフェス出演を叶える戦略

はじめにこんにちは!来年20周年を迎える渋谷発の音楽フェス『SYNCHRONICITY』を主催している麻生潤です。今回はVoicyで質問をいただいたので、それにお答えする形で放送したのですが、反響も多くいただきましたので、お話し忘れたことを追記してnoteでも公開します! Voicyから追記したのでちょっと長くなりましたが、自分たちでマネジメントをやっている方も多いと思うのでなるべく分かりやすく書きました。また「フェス出演を叶える」とありますが、フェス出演への戦略や裏話だ

【キーワードは親和性と意外性】no right単独大阪編においでやす!

どうもエロリンです! 最近よく記事あげてさせてもろてます。 え、ペース早くてぜんぶ追いきれないって?スイマセンがそこはアニマル浜口親子ばりの気合いでお願いします。京子ちゃんはやらされてる感あるけども。 ということで今回は表題にもあります通り、自分が個人で主催&ブッキングさせていただく”no right”の単独大阪場所、そちらに是非足を運んでほしい!との願いを込めて、出演アーティストの紹介&ライトな解説などしていけたらと思います。 自分で勝手にパーフェクトブッキングだの、

「九州のアンダーグラウンド音楽シーン」のごく一部について、私が補足できること

先日Bandcamp Dailyに九州のアンダーグラウンド音楽シーンを取り上げた「Tracing the Pulse of Kyushu’s Underground Music Scene」という記事がアップされ大きな話題となりました。ありがたいことに、長崎の項では私も(親交のあるAkito Tabira、Tetsu Nagasawa、Yutaka Sakamotoと共に)取り上げていただいています。 記事は九州の音楽シーンから、まず中心となるいくつかのヴェニューを見出し、

追悼:フランキー・ビヴァリー(1946-2024)

フランキー・ビヴァリーが亡くなった。いつかこの日が来ると分かってはいたが、R&B/ソウルのファンとして精神的支柱を失った気分。今年限りで引退することを決めてフェアウェル・ツアー(“I Wanna Thank You” Tour)を行い、公式インスタグラムも(スタッフによって)頻繁に更新されていた。そのインスタで家族が訃報を伝えた。1946年12月6日生まれだから77歳で他界したことになる。昨晩は自分のSNSのタイムラインがフランキー・ビヴァリー追悼で埋め尽くされていた。今現在

追悼Rich Homie Quan シーンに大きな影響を与えた「New Atlanta」の一角

先日訃報が届いたアトランタのラッパー、Rich Homie Quanについて書きました。記事で触れたRich Homie Quanの曲と客演曲でプレイリストも制作したので、あわせて是非。個人的にもかなり好きで思い入れのあるラッパーでした。ご冥福をお祈りします。 Rich Homie Quanの功績を再考するヒップホップはまたしても偉人を一人失った。9月6日、アトランタのラッパーのRich Homie Quanが亡くなったのだ。この突然の訃報はヒップホップリスナーに衝撃を与え

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偏愛音楽。 追悼、Sergio Mendes。

「偏愛音楽。」、8回目は急遽予定を変更して昨日(9月6日)亡くなった、Sergio Mendesを取り上げます。 Sergio Mendes(セルジオ・メンデス)が亡くなりました。実は僕が恐らく「ブラジル音楽」として意識して初めて聴いたのが「Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil '66」でした。当時8トラックという媒体がカー・ステレオなどで使われていて、僕の両親が聴いていたのがこのアルバムでした。どうも僕の中のブラジル音楽は

ひっそりと有終の美を飾ったセルジオ・メンデス&ブラジル’66のラスト・アルバム『Stillness』

 日本ではブラジル音楽の人気が高い。僕のリスニング・ライフでもブラジル音楽はかなりの比率を占めている。いつからブラジル音楽が好きになったのだろう、と振り返ってみると、時は1966年、小学生の時である。「Mas Que Nada(マシュ・ケ・ナダ)」が最初の1曲。オリジナルはジョルジュ・ベンだが、日本のラジオでかかりまくっていたのは、セルジオ・メンデス&ブラジル’66の「Mas Que Nada」だった。  セルジオ・メンデスは1941年にリオデジャネイロで生まれたピアニスト

SUMMER SONIC 2024

2024年8月17日(土)・18日(日) 千葉マリンスタジアムと幕張メッセで「SUMMER SONIC 2024」。 ジョン・バティステとピンクパンサレスが事前にキャンセル。さらに台風の影響で前日になってイ・ヨンジもキャンセルに(韓国の出演アーティストで唯一いま観たい人だった)。自分が観たいと思っていたうちの3組がキャンセルとなったこと、わけても前回の単独来日公演がミニマルな編成だったジョン・バティステは今回は恐らくフルバンド編成だろうとかなり楽しみにしていただけに痛かっ

世界で一番好きな(のかもしれない)音楽⑬/Clairo「Charm」

・MOR化するUSインディシーン 2010年代のアメリカは好調な経済の下支えもあって(そこから現在はインフレが問題化しているが)、音楽と映画のインディシーンはこれまでにないほど芳醇で雑多なものが増えた。マス向けの高い予算を使った制作や大体的なコマーシャルな志向から、インディペンデントな表現との境目が曖昧になりつつある傾向が顕著になっている。00年代からその傾向は見え始めていたが、よりその傾向が強まった年代と言える。 映画でいえばA24やNeonの様なアメリカンニューシネマの再

【フリー・ソウル秘話】橋本徹×高橋晋一郎の30周年記念対談

 1994年の第一弾リリースから30周年を迎えた日本を代表するコンピレーション・シリーズ「フリー・ソウル」をご存知ですか。このコンピレーションは、70年代のソウル・ミュージックを中心にしながらも、ヒップホップやジャズ、ロック、シンガーソングライター、ブラジル音楽やラテン音楽、映画音楽など、あらゆる音楽ジャンルの垣根を越えて、グルーヴィー&メロウに時代の空気をとらえていく点が新しく、それまでのコンピレーションとは一線を画し、異例の大ヒットを記録しました。それは現在のサブスク音楽