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映画や音楽のことについてのらりくらりと書いてます。

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    ECMでリリースされた音楽からレーベルがもつカラーの一側面を紐解く。

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    僕が心を打たれた音楽について、何故心を打たれたのかをつらつらと書き連ねてます。

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【映画】ロボット・ドリームズ Robot Dreams/パブロ・ベルヘル

タイトル:ロボット・ドリームズ Robot Dreams 2023年 監督:パブロ・ベルヘル 色々な感情が込み上げる。虚しさから始まり、楽しさや悲しさ、何度も夢見る希望と繰り返される絶望。別れから来るいない事の寂しさは、見果てぬ再会を求めるが過ぎゆく時間の中でしか解決できない。その先にある音楽を介したある種の再会の切なさは、形作られてしまった新たな出会いを壊す事なく進む。 そんな事を頭の中でぐるぐると巡らせながら、一緒に連れて行った5歳の娘が終わったあとぽつりと「悲しい映画

    • 【映画】ディア・ピョンヤン | 愛しきソナ | スープとイデオロギー/ヤン・ヨンヒ

      タイトル:ディア・ピョンヤン 2005年 監督:ヤン・ヨンヒ タイトル:愛しきソナ 2009年 監督:ヤン・ヨンヒ タイトル:スープとイデオロギー  監督:ヤン・ヨンヒ 人種や国籍、住んでいる場所と祖国とは一体何なんだろう?関西弁の会話だけを聞けば大阪に住む関西人だし、日本で暮らす日常は在日の人だろうと日本人と暮らしぶりはそう変わりはない。食文化の違いといっても、昨今は韓国料理も日常で簡単に触れる事が出来る。家でキムチを漬けるかどうかはあれど、普通にキムチのパックを買っ

      • 【映画】エターナル・サンシャイン Eternal Sunshine of the Spotless Mind/ミシェル・ゴンドリー

        タイトル:エターナル・サンシャイン Eternal Sunshine of the Spotless Mind 2004年 監督:ミシェル・ゴンドリー タダ券があったので、渋谷に向かったらハロウィン当日というのを忘れてて駅周辺は大混雑。ル・シネマが駅前だから苦もなく到着できたけど、シネクイントだったら劇場に着くまでが大変だったかも。そういえば日韓ワールドカップの時も、混雑する渋谷の人々を傍目で見ながら映画館に向かった記憶が蘇る。まあ昔からこういう行事ごとには全く関心がないの

        • 【映画】ECMレコード サウンズ&サイレンス/ペーター・グイヤー&ノーベルト・ヴィードマー

          タイトル:ECMレコード サウンズ&サイレンス Unterwegs mit Manfred Eicher 2009年 監督:ペーター・グイヤー&ノーベルト・ヴィードマー ECMのバイオグラフィーを辿る映画と思いきや、2009年当時のレコーディング風景を捉えたドキュメンタリーに仕上がっていて、タイトル通りレーベルオーナーであるマンフレード・アイヒャーとの旅を記録したロードムービーの趣きもある。 ECM=マンフレード・アイヒャーというイメージが強いのは、やはり彼が関わる事で他に

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          【美術】田名網敬一 記憶の冒険@新国立美術館

          楽しみにしていた田名網敬一の企画展に行ってきた。本展の開始と同時に惜しくも亡くなってしまったのが惜しまれる。 僕が田名網敬一を知ったのは2000年代初頭にリバイバルがあった頃だったと思うが、一番印象に残ってるのはスーパーカーのジャケットなど晩年の作風のイメージが強い。晩年のごちゃっとしたサイケデリックな画風がいかにして出来上がったのかを知る事が出来る展示で、60年代から今年まで全キャリアを俯瞰出来るまたとない企画だった。 この数年の間に和田誠や宇野亜喜良らの展示もあったが、横

          【美術】田名網敬一 記憶の冒険@新国立美術館

          【映画】国境ナイトクルージング Breaking Ice/アンソニー・チェン

          タイトル:国境ナイトクルージング Breaking Ice 2024年 監督:アンソニー・チェン 冒頭の氷を口に頰張り噛み砕く時の静かさの親密さと、それを打ち崩す友人の掛け声で静寂が崩れていく。この映画がどういう作品なのかが冒頭から伝わってくる。しかしながら中国語と韓国語が入り混じり、結婚式は韓国式に挙げられていて、中国人観光客を乗せたバスに連れられていくのは餅つきとキムチの作り方の実演で、サムルノリみたいな舞踏も登場して一体ここは何処なんだ?と混乱させられる。タイトルの通

          【映画】国境ナイトクルージング Breaking Ice/アンソニー・チェン

          【映画】Super Happy Forever/五十嵐耕平

          タイトル:Super Happy Forever 2024年 監督:五十嵐耕平 ぱっと見でなんでこんな陽気そうなタイトル?と思わせるが、見終わった後にこれ以上のタイトルは無いと感じる。SHF(Super Happy Forever)というどうみてもカルトなセミナーの存在と、凪のカップラーメンを食べる時の「ずっとめちゃめちゃ幸せでいられる」というフレーズ。物語の前半後半それぞれでタイトルに由来するフレーズが織り込まれるのを耳にした時、無常感というかどうにもならない感情が込み上

          【映画】Super Happy Forever/五十嵐耕平

          【映画】Happy End/空音央

          タイトル:Happy End 2024年 監督:空音央 冒頭の疾走するシーンから真っ先に思い浮かんだのは相米慎二の「台風クラブ」だった。もちろん空監督がフェイバリットに挙げているエドワード電話ヤンやホウ・シャオシェン、ツァイ・ミンリャンら台湾ニューシネマの影響も感じる。ただ台湾ニューシネマの中にある無軌道で切迫した空気と、この作品に流れるある種の軽さには距離を感じていて、軽さという点で「台風クラブ」のノリに近い。中学生と高校生という立場の違いや、考え方、あるいは立場の違いこ

          【映画】Happy End/空音央

          【映画】シヴィル・ウォー アメリカ最後の日Civil war/アレックス・ガーランド

          タイトル:シヴィル・ウォー アメリカ最後の日Civil war 2024年 監督:アレックス・ガーランド 「エクスマキナ」、「アナイアレイション」といつたSFや、前作「MEN」での異様で不条理な世界を描いてきたアレックス・ガーランドがストレートな映画を作る意外さを感じたけれど、思い返せば「28日後」での人気の無いロンドンの街並みなど、作家として過去作との繋がりは少なくない。 アメリカでの内戦というのも議事堂占拠の事件もあって、ポピュリズムに傾倒したアメリカはトランプ時代にす

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          【映画】憐れみの3章 Kinds of kindness/ヨルゴス・ランティモス

          タイトル:憐れみの3章 Kinds of kindness 2024年 監督:ヨルゴス・ランティモス 前作「哀れなるものたち」の日本公開が今年だった事もあって、半年ちょっとでランティモスの新作が公開される短いスパンは、もうやるの?とちょっと驚きだった。とはいっても2時間半の長尺のわりに、短編三作という形のせいか、小粒感は否めない。あまり期待せずにまあこんなもんかなという枠を大きく逸脱した作品ではなかったと思う。「哀れなるものたち」の作り込みに比べてしまうとという事でもあるの

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          【映画】アニエスvによるジェーンb Jane B. par Agnès V./アニエス・ヴァルダ

          タイトル:アニエスvによるジェーンb Jane B. par Agnès V. 1988年 監督:アニエス・ヴァルダ ドキュメンタリーとフィクションが合わさった不思議な作品で、ジェーン・バーキンの生い立ちやパーソナリティをベースに、様々な役柄の物語が挿入される。絵画を模した画作りはゴダールのパッション辺りを彷彿とさせるが、こちらはドラマというよりもアイコンとしてのジェーンを絵画的に映し出している。喜劇やスペインの踊り子、「カンフーマスター!」へと至るヴァルダとジェーンのやり

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          【映画】ぼくのお日さま/奥山大史

          タイトル:ぼくのお日さま 2024年 監督:奥山大史 シンプルなストーリーの中に三人の居場所が示されていて、それは真っさらな状態から作る場所であり、築き上げてきたものを磨き上げる場所であり、終わった後の先の新たな場所である。 一見シンプルなようで、三者三様の場所を分かち合う時柔らかな光が差す場所になる。スケートリンクに差し込む光が生み出す陰影は、ひとりとふたりと三人では映し出される心の模様は不思議と全く異なる印象に映る。単純なようで複雑な心理描写が連なっていて、物語が進むほ

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          【映画】エイリアン ロムルス Alien Romulus/フェデ・アルヴァス

          タイトル:エイリアン ロムルス Alien Romulus 2024年 監督:フェデ・アルヴァス 久しぶりにダラダラとエイリアン4を観た。ジャン・ピエール・ジュネらしい雰囲気とエグさが同居している部分は今みても良かったが、後半のタイムリミットとその後が示唆されない(クローンリプリーが地球に着いたら人体実験が繰り返されるだけ)部分が腹落ちしなかった。 それにしても本作ロムルスは蛇足以外の何者でもない。近作のリドリー・スコットのプロメテウスとコヴェナントも蛇足…というかドラマ部

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          【映画】ナミビアの砂漠/山中瑤子

          タイトル:ナミビアの砂漠 監督:山中瑤子 正直なところ山中監督の「あみこ」はうまく消化出来ず、この十年観た映画の中でも一番言葉にしづらい感覚があった印象が強く残っている。拗らせた主人公の突っ走った生々しさと勢いだけは体の中に残っているものの、どうも心に引っ掛かりが残る感じでは無かった。とはいえ、その印象が残ってるだけでも、引っ掛かりと言えるのだろうけど、どうもそれを言葉にできる感覚を持ち合わせていない自分に面食らったとも言える。 本作「ナミビアの砂漠」はどうだったかといえば

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          【映画】カンフーマスター Kung,Fu master!/アニエス・ヴァルダ

          タイトル:カンフーマスター Kung,Fu master! 監督:アニエス・ヴァルダ いわゆるショタものと片付けてしまうのは忍びない。しかしながら倫理観を揺さぶりつつ、その衝動への希求は突き進めば進むほど破滅へと導かれる。思いのまま生きなさいと諭す母の助言の通り行動すれば、自ずと当然の結果に陥る。 「幸福」のような倫理観を揺さぶる歪んだ家族観を描いたヴァルダだけに、彼女が作り出したものかと思っていたら、ジェーン・バーキンからの提案だったというのはちょっと意外だった。自身の実

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          【映画】ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024

          昨年に続いてファスビンダーの作品三作の特集上映がル・シネマで開催。今回は自由の暴力、エフィ・ブリースト、リリー・マルレーンの三作で、70年代中盤のまだ20代の頃の作品と、晩年に差し掛かる1980年の作品という前回とはまた違ったラインナップでの上映となった。37歳という若さで亡くなったにも関わらず、40作品もの映画を残した多作な監督にも関わらず作品のクオリティや、内容の濃さ、人生観には驚かされる。今回の客入りも良さそうなので、来年も引き続き行って欲しい。 タイトル:自由の暴力

          【映画】ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024