SAMM HENSHAWライブに向けてつらつらと
来週11/6に大阪BIGCATで、11/8には東京ガーデンホールでSAMM HENSHAW来日公演迫る!
とある企画でこのツアーに関することを色々調べていたのですが、せっかくなのでこのnoteに簡単な記事としてまとめておきます。ライブに行かれる方の参考に少しでもなりますように、そして全力でライブを楽しめますように! ちなみに東京公演はすでにソールドアウト。依然として大人気のSAMM HENSHAW。
依然として大人気の、というのは、前回の来日が最高の熱気と盛り上がりだったから。2022年9月にLIQUIDROOMで開催された初来日公演は、コロナによる延期に次ぐ延期でようやく実施できた念願のライブでした。それもあって、お客さんの熱量がすごかった記憶。もちろん、一番すばらしかったのはSAMM HENSHAWで、あの歌声、立ち振る舞い、全てがクールで小洒落ていました。
さて、今回のツアーは<FOR SOMEONE SOMEWHERE ASIA TOUR>と銘打たれており、8月にリリースされたばかりのEP『For Someone Somewhere Who Isn’t Us』を携えてのもの。カナダやアメリカを経て日本へ、その後ロンドンはじめイギリスをまわる流れとなっていて、その旅程で日本公演(しかも2か所)を挟んでくれるなんてありがたすぎる話。
その『For Someone Somewhere Who Isn’t Us』ですが、コアにある音楽性として、高い評価を得たデビューアルバム『Untidy Soul』の美点は継続されています。つまりはオーセンティックなソウルミュージックにジャズのテイストを絡めながら、メロウさを追求した形は引き継がれていると。さらなる進化として、今作ではコーラスの魅力が増し、サウンドのバリエーションが増えた印象。「Water」などはその象徴でしょう。「Fade(feat.KIRBY)」のトラックはとても面白いし、「The Cafe」のしっとりしたトーンも心地良い。着実な音楽的実験と進化が見られますが、メロウなボーカルが中心に置かれているため、変わらず安定したSAMM HENSHAW印として聴けます。
冒頭の「Troubled Ones」からコーラスがすばらしいですが、そこで聴けるのは、どこか癒しを求めるようなゴスペル由来の枯れた心地よさ。「Under God (Crash)」のMVでは自動車事故にあった様子を描く内容になっていますが、これは恐らくSAMM HENSHAWの苦悩を象徴しているのでしょう。というのも、彼は、けっこなスランプに陥っていたようなのです。
10/29に放送されたJ-WAVE『DIG UP!』でのインタビューを聴くと、「創作活動が停滞していた」「自分には十分な才能がないと思った」と苦悩した旨を告白しています。煮詰まっていた彼のクリエイティビティが動き出したきっかけはたくさんの人とのコミュニケーションだったようで、基本的に今作『For Someone Somewhere Who Isn’t Us』は、他者との関係性によって彼が心の平穏を取り戻し、今一度アーティストとして再生するようなリハビリ作品となっているのです。
今は恐らく、SAMM HENSHAWにとっても様々な経験を経てアーティストとして大きくなろうとしている段階なのでしょう。彼は映画が好きとのことで、先日は、今作での試行錯誤を映像で表現したショートムービーを公開しました。クリエイターやアーティストが、普段どうやってモノづくりをしているのか、について描いているとのこと。やはり、作品を生み出すことへの苦悩というのがいまの彼の関心ごととしてあるのでしょうね。
さて、そういった苦難を経た上で、今回のライブはどういったものになるのか。FM802『THE OVERSEAS』では、「ライブはほぼフルバンドを連れていく。歌あり、ダンスあり、皆がひとつになれるステージにしたい。辛いことも大変なことも忘れられる日にするから楽しみにしてて」と語っていました。なんと、ほぼフルバンド! さすが、日本公演に積極的な彼だからこそ。ちなみに、当のラジオでは日本について「今まで訪れた国の中で一番好き。アニメとショッピングが大好きなんだ。日本に行ったらカラオケに行きたいなと思ってて、前回は生まれて初めてその夢が叶って楽しかった。確か、自分の曲「Church」を歌った気がする」と語っていました。
SAMM HENSHAWがもがき苦しみながら壁を乗り越えて完成させた新作EP、そこで表現されるゴスペルからソウルミュージック、さらにR&Bやジャズへとつながる音楽性を支えるボーカルを、その歌声を、もうすぐ聴けるのが楽しみです。
ちなみに、今回は日本公演主催者側もSAMM HENSHAWの日本への愛をもっと形にしようと動いていて、大阪・東京公演ともにVIPミート&グリート企画も販売しているよう。彼みたいなアーティストの場合、こういった場をきっかけにますます日本との関係性が築かれていくでしょう。どなたかミート&グリートまで参加される方はぜひレポートしてください!!気になる。