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エッセイ

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街、旅、暮らしのエッセイ。ちょっと豊かになる、がモットーです。
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記事一覧

【エッセイ】#13 親子で過ごせる時間は3年

【エッセイ】#13 親子で過ごせる時間は3年

ふとなにかの広告で「人生で、親子で過ごせる時間は3年」というコピーが目に止まった。たしかリモートワークを推奨する広告だったと思う。

リモートワークをすれば、もうちょっとだけ親子の時間を引きのばせますよ、と言いたげな内容だったと思う。

それはいいとして、「そうか、親子で過ごす時間は 3年 なのか」とシンプルに思ったわけです。

「親子で過ごす時間」というのはどうやら、寝る時間は除いてお互い意識が

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【エッセイ】#11 あの日観たレイトショー

【エッセイ】#11 あの日観たレイトショー

中学生の頃、ショッピングモールが嫌いだった。特に日曜日は最悪だった。

まるで儀式のように買い物に訪れる人々、夕方に近づくにつれ倍速で動くような忙しなさ。あの空間にいると、ハリボテの幸せを浴びるようで辛かった。

みんな一生懸命幸せを見出そうとしている、そんな自分も家族に連れられここにいる。家族の幸せを壊したくなかったからだ。

広いはずの世界でなぜこんな場所にいるのだろう、
みんなこの場所で何を

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【エッセイ】 #12 月の爆撃機

【エッセイ】 #12 月の爆撃機

良い曲には3種類ある。

音がいいか、声がいいか、歌詞がいいかの3つだ。

そうはいっても個人差がある。
自分は歌詞が好きな曲と遭遇すると、とことん聴いてしまうタイプという自覚がある。

歌詞がいい曲を創る筆頭といえば、ミスチル。大ファンである。

なぜミスチルが好きなのか。
それは「直接的ではないが心に触れる」歌詞を書くからだ。

ミスチルは「日々わかったつもりでいて、わかっていない」「もやもや

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【エッセイ】#10 父が猫を抱いた夜

【エッセイ】#10 父が猫を抱いた夜

心に残る父との思い出はそんなに多いものなのだろうか。

決して父と仲が悪かったわけではない。
ただ、父はあまり自分のことを話すタイプでなかった。

父親として以外の父を知る余地がなかった。
唯一知っているのは釣りが好きだということ。

若い頃は毎週末レガシーに乗って釣りに勤しんでいたことは知っている。
平日の夜、外房の漁港に連れられて一緒に釣りをしたことも覚えている。

やけに星が綺麗で、少し湿っ

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【エッセイ】 #9 遠藤周作に学ぶ、どうしようもない夜の過ごし方

【エッセイ】 #9 遠藤周作に学ぶ、どうしようもない夜の過ごし方

張り詰めた糸が、プツンと切れた。

そうやって職場に顔を出さなくなった人を度々見かけてきた。

真面目そうにしていたあの人。
いつも笑顔でいたあの人。

張り詰めた糸は、緩められなかったのだろうか。

そんな当たり前でしょうもないことを考えてしまう夜が誰にでもあるのではないだろうか。

今回は人生にたびたび訪れる、どうしようもない夜に読み流して欲しいようなことを書いてみる。

どうしようもない夜に

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【エッセイ】 #8 グロい小説は悪なのか?

【エッセイ】 #8 グロい小説は悪なのか?

「グロい小説好きなんだよね!」

こんな台詞は私は人生で一度聞いたことがないし、
いま読んでいただいている貴方もおそらく、ないだろう。

そしておそらく、今この記事を読む私も貴方もグロい小説が嫌いというわけではないはず(そう思いたい)

ちなみには私は自分のブログでこんな記事を書いている

【閲覧注意】グロい小説おすすめ14選!どこまであなたは耐えられるか?

とんでもない記事だ。

そう、私はグ

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【エッセイ】 #7 夏の夜の"ととのい"

【エッセイ】 #7 夏の夜の"ととのい"

もう、うんざりだ。

22時。ギュウギュウに詰め込まれた、からっぽの頭を抱えて地下鉄の出口を這い出る。

顔に一瞬、少し冷えた風を感じる。それも束の間。

東京の気怠い空気を溜め込んだアスファルトが熱気を吐き出し、体にまとわりつく。

暑い。東京の夏の夜は風情もないし、何もない。自分の頭と同じ空っぽだ。うんざりする。

そんなうんざりを抱えながら、家路に向かう。

家には350mlのクラフトビール

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【エッセイ】 #6 セレンディピティとカエルの街NAKANO

【エッセイ】 #6 セレンディピティとカエルの街NAKANO

暇になったらとりあえず中野にいく。
今回はそんな自分の小話です

とりあえず結論からいうと、中野とは「行ってみれば何かあると思わせてくれる街」だということですね。

先にこの話のテーマとなるセレンディピティについてだけ、サラッと載せておきます。

セレンディピティ

セレンディピティ(serendipity)とは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探

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【エッセイ】 #5 梅雨を嫌いにならない秘訣

【エッセイ】 #5 梅雨を嫌いにならない秘訣

みんな梅雨が嫌いだという。

梅雨ってジメジメしてるし、いい所なんて逆にあるの?髪も決まらなければ、心も晴れない!という感じに。

まあ確かにその通りだ、反論する余地もなく梅雨はジメジメしてるし、人間にとって一番鬱屈な季節かもしれない。6月なんて祝日すらないし。

でも嫌いな季節を作ってしまうことにもったいなさを感じる自分もいたりする。そんな時自分は季節は大変貴重なものだと考える。

つまり日本の

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【エッセイ】 #4 ネコについて考える日

【エッセイ】 #4 ネコについて考える日

もう毎日疲れたよね

ネコについて考える日があっても良いよね。

ってことで今回は、自分が大好きな「ネコ」について考えてみました。(実家で3匹飼ってました)

(とても大事なことなので、ここから少し威厳を持った文体にしてみます。)

みなさん、ネコの日なるものをご存知だろうか?

2月22日、これが神聖なる「ネコの日」である。(ニャーニャーニャー=222)

猫が好きあるいは猫を飼っている人ならき

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【エッセイ】 #3 ふるえて、生きる。

【エッセイ】 #3 ふるえて、生きる。

最近、「伝え方が9割」という本を最近読んだ。

その本では、とある牧師の詩が紹介されていた。

そしてなぜだか自分はこの詩を読んで、
ずっと内に秘めていた思いが掘り起こされた気がした。

ーーー東京の夜は、案外静かだったりする。

夏の花はなんだったろうか、秋桜の季節はもう終わってしまった。今は春。そんなことを頭で走馬灯のように巡らせる。

今回はきっかけと頭でふと考えたことがあるので、少し文章に

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【エッセイ】 #2 デンマークの古着屋で。

【エッセイ】 #2 デンマークの古着屋で。

人生で1番大事なポスターの話。

Copenhagenでは1日自転車を借りてブラブラして、良い感じの古着屋?があったので入ってみた。

すると、内装は北欧らしくシンプルに洗練され、80年代くらのレコードやヘビメタのコンサートの張り紙等興味深い物がズラリ。

雰囲気は北欧らしさのホッコリとちょっとスパイスの効いたロックが一緒にあるような感じで、入って間も無くその店の虜になった。

そんな店の中央には

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【エッセイ】 #1 映画を観る、の向こうにあるもの。

【エッセイ】 #1 映画を観る、の向こうにあるもの。

映画が好きだ。

水を飲むのと同じくらい、気がついたら、映画を見ている。

そしてよく聞かれる

「なんでそんなに映画が好きなの?」

言葉に詰まる。別に理由なんて考えたこともない。

よく考えてみたら、なんで映画が見たいのか、理由なんていらないじゃないか、と思う。

でも違和感がある。なんだか頭にしこりが残る。ちょっと消化してみると、もっと手前の話で「別に映画が見たいわけじゃない」という感覚があ

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