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月ふたつ

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嬉しかったこと、楽しかったこと、辛かったこと、悲しかったこと。生きてたら、みんなそれなりに何かある。それを全部ひっくるめて私という人間ができあがる。もちろん、あなたも。日常と、想…
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#パニック障害

いまこの時がすべてだけれど...

いまこの時がすべてだけれど...

いまこの時がすべてだから、精一杯いまを生きる。けれどいまこの時の思考や感情は、そのすべてではない。

それらは経験や知識を積み重ねていくことによって変化を遂げる。そして時が経ち、ふいに過去の「あの時」を思い返す。すると「あの時」には思いもしなかった感情や、その事が起こった意味、それによって得たもの。そういったことが不思議と次々と見えてくる瞬間がある。そしてストン、と心の中にあった何かが腑に落ちるの

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終わりを迎える関係

終わりを迎える関係

あと何回この悔しい思いをしなければならないのだろうか。虚しさが心のなかを占拠する。

そんなふうに簡単に人を切れるのか。そうか、そうだったのか。

これで自分のことを「人見る目が無い」なんて言ったら、それはいま私を支えてくれている人たちに失礼になる。じゃなぜ?

遅かれ早かれ決別の時はきたのだろう。そんな内容だった。

共感能力の欠如。おごり高ぶった心。損得勘定で決められた優劣のついた人間関係。

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出会うことの奇跡

出会うことの奇跡

目の前に愛しい人がいる。
その人も私を想ってくれているという。

大真面目な顔をしながら「あなたが好きだ」と話すその人の、その言葉のひとつひとつは、とても率直で、あけすけで、そこにはまったく嘘が存在しなかった。私はその人を見つめながら、その嘘のない言葉が私の心のなかにまっすぐ入ってきて、そして徐々に心の内をあたためてゆくのを感じていた。

こんなふうにお互いがお互いを愛しく想いあえるということは、

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選択

選択

導きだされる答え。頭のなかを埋め尽くす無数の選択肢。なにが正解かを決めるのは自分自身。果てしなく続く、選択するという行為。決断できずに途方に暮れることもある。

幸せであるために生きているのに、終わりの見えない苦しみで、ときどき胸のなかがいっぱいになってしまう。

私は何をしたらいいのだろう。私に何ができるのだろう。しがらみの中に生きる。そんな世界はもうおしまいにしたいから、終わりのない選択をし続

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家族とは...

家族とは...

「もう解放してほしい」
そう母が言った。

私がふざけて「おかーさーん!」と甘えたように読んだときのことだ。母の言葉にはため息が混ざっていた。

たしかに私は長年母を苦しめた。それは心を病んでまともに働くことも叶わなかったからだ。正直この年になっても、いまだに世間でいう「自立」には程遠い。その点については、本当に申し訳なく思う。けれどだからと言って「開放してほしい」なんて言葉は使ってほしくない。

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HSS型HSPに生まれて

HSS型HSPに生まれて

物事の受け止め方や感覚が、人のそれとは違うということには気づいていた。その感覚の差は埋まらなくて、家族にすら理解されない。たまに生きていることが苦痛に思えるときもあったりして。

ある人には、ことあるごとに「この世の中は気づいた者の負け。気づいた側の人が気づかない人たちを気遣って生きていくのだから」と言われた。あなたは気づきすぎると。

私はこの言葉が大嫌いだ。なぜ生まれもった感覚で生きているだけ

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どんなに言葉を尽くしたとしても…

どんなに言葉を尽くしたとしても…

人は平等じゃない。

「どんなに言葉を尽くしてもわかりあえない人っているでしょう?」

その問いに、それは言葉が足りないだけだと言いきれてしまう人たちもいる。

そう言いきれる彼らのほうが幸せなような気もするし、羨ましいなと思うその一方で、どうやってもわかりあえない人がいるという現実を知っている私のほうが、この人たちよりは多少他人の痛みがわかるような気もしている。

彼らの「それは言葉が足りなかっ

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真夜中のおしゃべり

真夜中のおしゃべり

あのコは今も得意気に話してるみたい。本当のことから目を逸らしながら。誰かがそう言っていた。

キミは今日も自分のおしゃべりに夢中。まるで自分以外存在していないみたい。そんなに一生懸命、誰にむかって話してるの?まるで言い訳するかのように。

誰もキミのせいだなんて言ってないよ。だから聞かれてもいない言い訳はしなくて大丈夫。

暗がりにいる時間が多すぎたのかな。
明るい場所は苦手だなんて、神妙な顔して

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