真夜中に みさおとふくまる
空咳をひとつして照明を落とした。ポツンと音が聞こえそうな程の暗闇に身を委ねると、はじめは視界が闇に覆われていたのに、そのうちに物の輪郭が、ぼんやりと浮き上がってきて、どこに何があるのか把握できるようになる。闇に順応した眼で柔らかく熱い塊を撫でると、それは「ニャー。」と鳴いたあとに、私の手を甘噛みした。まるで、「寝てるんやから触らんといて。」と、言われているようで、私は「ごめん。」と言ってから手を引っ込めた。そうしたら、外からオス猫が「タロ〜ン、タロ〜ン。」と、独特な鳴き方でメ