きよぼえ

日常を旅する独身ミドサー社会福祉士。 大阪生まれ、大阪育ち、兵庫の海沿い在住。 津村記久子さんと瀬戸内海と淡路島とドキュメント72時間が大好きな33歳。 オーケストラでオーボエを吹いています。 日々のくらしや本、旅、美術、音楽、食べ物のことについて綴ります。

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日常を旅する独身ミドサー社会福祉士。 大阪生まれ、大阪育ち、兵庫の海沿い在住。 津村記久子さんと瀬戸内海と淡路島とドキュメント72時間が大好きな33歳。 オーケストラでオーボエを吹いています。 日々のくらしや本、旅、美術、音楽、食べ物のことについて綴ります。

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  • 日々のこと

    食べること、思うこと、散歩すること、取るに足りない些末な日常の記録

  • 島のこと

    複雑に入り組んだ路地、青くて静かな海。「何もない」が「ある」。島を愛するアイランダーの島旅

  • 旅のこと

    電車に乗って、船に乗って、まちあるき。 人が暮らしているところで旅人になろう。 何かが起こるかもしれないし、何も起こらないかもしれない、そんな旅の思い出。

  • 本のこと

    津村記久子さんの本多め

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お名前ひらがな組合

8月に、甥っ子が生まれた。 先日ようやく名前が決まったとこのとで、実家から連絡があった。 命名「佑(ゆう)」とのこと。 この字面を見て真っ先に思い浮かんだのが、大きくなった甥っ子が電話口の相手に 「あ、えっと、にんべんに右です!」 などと言っている姿だ。 彼が成長した未来の社会では、さらにデジタル化が進み、もはやそんなことを説明しなくちゃいけないシチュエーションなんてほぼ存在しないだろう。 だけど呑気な叔母ちゃんは、そんな取り留めもない日常の一コマが、佑の未来にあれば

    • ツ、カ、レ、テ、ルのサイン

      先日美容院に行った際、あてがわれたタブレットで、kiitos.という雑誌の「ストレスと私」という特集を熟読していた。 特集の中で「ストレスへの対処も大切だけど、ストレスを感じているサインを認識し、未然にケアすることが大切」といった内容があった。 不眠や過眠、肌荒れなど、これは危険なサイン!と目が行きやすい定番どころはもちろん注意が必要だが、私は、それぞれの人間が生きてきた中で自覚している、極めて個人的な「ツカレテルサイン」もあると思うとのだ。 その微細な変化にいち早く気付

      • ヴァイオリンの中を覗くみたいな|デ・キリコ展

        神戸市立美術館で開催中の展覧会デ・キリコ展に行ってきた。 正直、デ・キリコについては「へんてこな遠近感の絵を描く20世紀の画家」くらいにしか認識していなかった。 そんなノー知識だった私が、鑑賞後、1日経った今も頭の中がキリコでいっぱいである。 つまり、最高の展覧会であった。 ひとことで言うと「おもろい!!」である。 うむ、興味深い…といったinteresting的な「面白い」というより、もちろん哲学的要素を多分に含んだ(というか絵画そのものが哲学)彼の作品には思考を巡らさ

        • 晴れ着が苦手な女の生き様、虎に翼

          私は男になりたいわけじゃない。 女を捨てたかっただけだ。 朝ドラ『虎に翼』劇中の、主人公寅子の学生時代からの友人山田よねさんの名台詞である。 * 私は自身の身体の性が女であることを受け入れながら生きているが、これまでも今も、主に社会的に求められる女性性みたいなものとの折り合いは決して良くはなく、というか絶望的に悪く、その軋轢を感じる場面に出くわす度、中途半端に自分のことを否定しながら生きてきたように思う。 だからよねさんの言うように、別に男になりたいわけじゃないとい

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          愉快な違和感ことば「お風呂いただきます」

          先日、北海道の友人が我が家に泊まりにきた際、「お風呂いただきます」と言いながらシャワーを浴びに行った。 再放送中のNHKドラマ『恋せぬふたり』で高橋一生演じる高橋さんも、自宅で同居することになった岸井ゆきのちゃん演じる咲子さんに「お風呂いただきます」と言っていた。 1週間の間に2回も聞いたこの「お風呂いただきます」という台詞に、私はずっと違和感を感じている。 と言っても、決して嫌な違和感ではなく、聞き流せないというか、引っ掛かりがあるというか、聞くたび日本語っておもしろい

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          忘れたくない雨やどり

          昨日の私は、首位攻防戦に敗れた阪神タイガースを甲子園の3塁アルプス席で見守っていた。 0-1での敗戦。 悔しい。死ぬほど。 だけど、この1ゲーム差を詰めたら同率首位…!なんとしても勝たねばならない!という緊張を、一旦手放していいんだなと、少しだけ心が楽になったのだった。選手でもないのに。 本来、上昇志向が果てしなく薄い性根の人間が慣れない感情を抱くのはしんどいのである。 (だけど全く諦めたわけではなく、失うものはねぇ!残り5試合全勝で行くぜ!という謎の開き直りが生まれた。)

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          ぐにゃぐにゃの道で楽しい⑤はじまりの島、沼島へ

          久しぶりの、ぐにゃぐにゃの道で楽しい島旅シリーズ。 先日、淡路島の南に浮かぶ沼島(ぬしま)を久しぶりに訪れた。 北海道の友人が遊びに来て「関西で1番のおすすめスポットを案内してほしい」とのことだったので、沼島をチョイス。 南あわじの土生港から10分程度で到着するこの島は、世界最大級の断層「中央構造線」の真上にあり、特徴的な地形の上に成り立っている。(タモリさんも来た!) また、別名「おのころ島」とも呼ばれており、神話の舞台としても重要な島だ。 神話で描かれていることをすご

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          まずは返却棚をみてみよう

          図書館に行ったら、まずはどこに向かうだろうか。 私は返却棚だ。 借りていた本をカウンターでピッとしてもらった後に本を置きに行くあの棚。 返却時は当たり前だが、返却する本がない時にも、私はまず、返却棚へ行く。 返却棚を見ると、このまちの中にはこんな小説を読んでいた人がいるんだなぁ、こんな資格取得を目指している人がいるんだなぁと、顔も知らない同じまちの頭の中を垣間見るような、知的な温度を感じることができるような、そんな気がしてなんだか楽しい。 そのラインナップからいろいろと想

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          しまんトロッコに乗って

          間が空いてしまったが、四国読み鉄旅の続きを。 宇和島から高知方面に向かって観光トロッコ列車『しまんトロッコ』で向かう。 予土線では宇和島駅から終点の窪川駅目指すが、トロッコ区間は途中の江川崎駅〜土佐大正駅の1時間弱。 それ以外の区間は普通の車両に乗り、トロッコ区間がやってきたら後ろのトロッコ車両に移動する。 なので、トロッコ分の座席指定券を買えば18きっぷでも楽しみる、めちゃお得な観光列車なのである。 お盆期間ということもあり、車掌さんが車内アナウンスで景色や沿線スポ

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          炊飯器でチーズケーキをつくっている日

          二度寝で見た夢は、脈絡のない夢だった。 今朝は6:20に目覚めて、今日は仕事の日じゃないんだったと気付いてまた目を閉じた。 それから45分程度の二度寝の最中に見た夢は、自動販売機でお金を入れて、何を飲みたかったのかは不明だが、出てきた缶アイスカフェラテを見て、甘ったるいの。これじゃねぇ…って思った夢だった。 書き出しの一文だけ芥川賞候補作風に無駄に意味ありげな感じで始めてみたが、特に示唆的でもなんでもない夢から醒めた土曜の朝である。 今日は夜の野球観戦(@テレビ)まで

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          真夏の読み鉄②松山〜宇和島|再訪・双海のおばあちゃんち 

          読み鉄旅のつづき。  9:52 松山を出発 2日目は、宇和島を目指す。 今回はお天気があまりにも良いこともあり、内陸部を走る内子線経路でなく、海岸線を走る「愛ある伊予灘線」を選択。日本屈指の美しい車窓風景が視界の端に映る読書は至高の時間である。 この路線は普通列車の本数も少なく難易度が高いので、そのまま乗りっぱなしで直行し、早めに到着して宇和島どっぷり満喫プランを予定していた。 だが、下灘駅の1駅手前、列車すれ違い待ち停車中の伊予上灘駅で、私の心にある異変が。 降り

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          真夏の読み鉄①神戸〜松山|疲れたら、愛媛。

          乗り鉄、撮り鉄、いろいろあれど 我が鉄道の旅は「読み鉄」なり。 読み鉄旅というのは、過去の記事にも書いたが、主に本を読むことを目的に電車に乗って旅をすることだ。(※個人的定義です) 今年もまた、本を携えて旅に出る。 今回は、私の定番読み鉄コースの四国旅。 お供の本は、ファン・ボルム著/牧野美加訳『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』 読み鉄旅を企み始めた時に、宿を予約するより先に本屋へ行った。 特に目星を付けていたわけではないので、本屋に入って最初に見つけた1番分厚い小説を買お

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          長い長い港から|町田洋『船場センタービルの漫画』

          私の心の中のポケットみたいな場所で、ずっと生きている漫画がある。 web漫画サイト「トーチ」に掲載されている船場センタービルの漫画だ。 私はこの漫画が大好きだ。 しんどい時期に救われた、という大袈裟なものではないが、初めて読んだ時から、心の温度を取り戻すカイロのような存在になった。 ビルは、何も語らない。 ビルの中には、さまざまな人の営みがある。 建物としての寡黙さと、人々の息遣いの温度と、流れてきた時間が矛盾することなくこの静謐な漫画の中にひとつの世界として拡がって

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          くるりのこと|つらいことばかり、のその先で

          30歳を過ぎた頃から、より一層くるりの音楽が心に沁みるようになった。 その理由はこの歌詞に表れていると思っていて それなりにいろんなことがあった30年の、その先の人生で聴くくるりの音楽は、大変味わい深いのである。 昨年行ったライブのMCで「かっこいい曲もかっこよくない曲もやります」と岸田さんが言っていたが、かっこよくなさを惜しみなく見せてくれる、それがくるりだ。かっこいい。 彼らの音楽性や楽曲の素晴らしさについてはいちいち私みたいな者が言及するまでもないので、超・個人的

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          ドキュメント72時間出張の旅

          NHKで毎週金曜10時より放送中の『ドキュメント72時間』のやや強火ウォッチャーであるため、隙あらば72時間ロケ地に行ってみたくなる。 今月はここ2週間の間に愛知、静岡、東京、滋賀、埼玉、千葉と出張の連続で、もはや住所不定な働き方をしていることもあり、全国各地の72時間のロケ地(聖地)に訪れている。 それゆけチャンス到来!とばかりに仕事の合間に突撃した場所もあれば、たまたま通りかかった場所もある。 滋賀・草津 巨大パーキングエリア(2018) 滋賀の大学での仕事に向か

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          雑居ビルのスーパーヒーロー

          私の職場は、大阪の大きな雑居ビルに入る事務所だ。 この雑居ビルというのが、地下階には趣ある飲食店街や怪しげなマッサージ屋、2-3階は主にクリニック、それより上はオフィスフロア、最上階には喫煙所、なぜか屋上に稲荷神社(おいなりさん)がある、古くバカでかい正真正銘の雑多なビルである。 ここで働いていると、自分の職場以外のさまざまな「リアルな仕事人」たちとすれ違うことができる。 薄暗い雑居ビルのオフィスフロアというのは「はたらく大人のスキマの時間」の解像度がやたらと高い場所だと

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