皐月まう

どこにでもいる社会人2年生(24)。夫と猫と暮らしています。琵琶湖と日本海と瀬戸内海の女。 小説、エッセイ集販売中▶ https://hurry-neko.booth.pm/ 庭▶ https://sizu.me/maumau_5

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マガジン

  • まうセレクション

    初めましての方にも、お久しぶりのあなたにも。個人的なお気に入りと選ばれたものたち。気まぐれに入れ替えます。

  • まうの思考回路

    エッセイもどきと、何やらいろいろ考えてみたもの。増えてきたのでそろそろ細分化したい。

  • まうと愛しき紙の本

    私の本について。文学フリマ参加や通販情報などもまとめています。|2025年文学フリマ広島出店予定。

  • 【小説】熱のたからばこ

    この世を去った元カノを追いかける女の子の物語。創作大賞2023中間選考通過作品。

  • 【小説】パン屋 まよなかあひる(全8話)

    瀬戸内の街で繰り広げられる、パンと親子の物語。創作大賞2024中間選考通過作品。本編とありがたき感想記事をまとめています。

最近の記事

国内旅行がいいじゃない

24年間、私は一度も海外に行ったことがない。ただし私が海外に行くチャンスは、これまでに三度あった。 一度目は1,2歳の頃(覚えてないけど)。当時両親と私の3人で、ハワイへ家族旅行に行く計画をしていた(らしい)。私用のかわいい水着も買ってもらった(らしい)。ところがさあ行くぞ、となった矢先に父に仕事が入り、夢のハワイ旅行は幻となった。 二度目は高校の修学旅行。うちの高校は毎年、修学旅行先はグアムと決まっていた。夏休みまでにパスポートを取り、どでかいスーツケースも買い、南国で

    • 24歳、ピアノを買う。

      先日、ピアノを買った。 大学卒業とともに奏者人生から退いて1年半、私はその間何かを演奏する、ということをしてこなかった。大学1年の頃に手に入れたクラリネットは、真新しい姿のまま埃をかぶりつつある。週末に吹いてみようかな、と平日に思い立っても、いざ週末になるとその気がなくなる不思議。 ところがある日突然、むくむくと音楽欲が湧いてきたのだ。ピアノが弾きたい。ピアノが欲しい。 私がピアノを習っていたのは、4歳から17歳まで。週に一度のレッスンの直前にようやく爪を切り、練習曲を

      • 詩をうたう曜日

        先週の土曜日、顔がなんだか厚ぼったいなあと思ったら、熱が出て腫れていたのだった。出先ですっかりくたくたになって、家に帰り着いてそのまま動けなくなる。まずひと眠りしたら少しましになって、だけど身体は相変わらずだるくて、何をしようにもできなくて。 そこで前日に、古本屋で詩集を買ってきたことを思い出した。たぶん、自分で買った初めての詩集。作家・江國香織さん初の詩集と銘打たれたそれを、本棚から自然と手に取り、会計まで左手で握りしめていた。 詩って、よくわからない。だけど知っている

        • うちの猫、本を出す。

          この頃、うちの猫の調子がよくありません。あんなに喜んで求めていたごはんを食べては吐き、食べては吐きを繰り返し、ついには贅沢ごはんにすら見向きもしなくなってしまいました。耳も熱く、いつもしっとり濡れているはずの鼻も乾いています。 今朝は私たちを起こしに寝室に上がってくることもなく、こたつでじっと朝を迎えていました。ところが「ぼっちゃんおはよう」と頭を撫でてやると、それはそれは嬉しそうに喉を鳴らします。いつも私たちと一緒に寝ているので、一人きりの夜が寂しかったのでしょう。 昨

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          18本
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          30本

        記事

          今日という日がいつまでも続けばいい @尾道

          初めての場所を訪れることだけが、旅ではないと思う。いくら訪れても飽きない場所というものがこの世にはあって、何度も通った道を同じ人とも違う人とも繰り返し歩き、そのたびに発見を重ねることだって旅の醍醐味のはずなのだ。 私にとってその旅先は言わずもがな、尾道。 秋の瀬戸内ほど魅力的な場所はないだろう、と感じる今日この頃。雲ひとつない青い空に淡い海の色が映え、島々の緑も彩りを添えてくれる。息を深く吸えば潮の香りに全身が洗われるような。 そんな秋の尾道を、先日noteのお友達とめぐ

          今日という日がいつまでも続けばいい @尾道

          昨日のフクヤマニメ 漫画・文学インディーズメッセにお越しいただいた皆さま、ありがとうございました。 このたび小説「少女よ、星になれ」とエッセイ集「せいかつしていくために」が完売しました!お買い上げいただいた皆さまに、改めて御礼申し上げます。今後の増刷予定はないので、新作作ります!

          昨日のフクヤマニメ 漫画・文学インディーズメッセにお越しいただいた皆さま、ありがとうございました。 このたび小説「少女よ、星になれ」とエッセイ集「せいかつしていくために」が完売しました!お買い上げいただいた皆さまに、改めて御礼申し上げます。今後の増刷予定はないので、新作作ります!

          かもめ食堂に行きたくて

          ああ、ついに観てしまったよ、『かもめ食堂』。 久しぶりに一人でお留守番の休日、用事も済ませたことだしと腰を落ち着けたとき、ふと観たくなったのがこの映画だった。群ようこ原作のフィンランドのお話、ということしか私は知らなかったのだけれど。 この先一生日本を出るつもりのない私が唯一行ってみたい国が、フィンランドだ。町並みや人々の暮らしぶりをはじめ、マリメッコのような北欧デザインの独特のかわいいアイテムもビシバシ好みに刺さる。国民生活そのものにも憧れるから、行ってみたいというよりは

          かもめ食堂に行きたくて

          【小説】指切り

          「あたし、秋津となら一緒に暮らせそう」  あーちゃんは俯いてノートに文字を書き連ねながら言った。心臓が跳ねる。 「どうしてまた急に」 「だって秋津、あたしなんかと仲良くしてくれるし、かわいいし、ノート写させてくれるじゃん」  にやりと笑ったあーちゃんの手元には、全く同じ内容が書かれたノートが二冊並んでいる。 「ルームシェアってさ、憧れるんだよね。でも花江とか明里とか、あいつらガサツだしうるさいし、男とか連れてきそうだし。絶対無理」  あーちゃんがいつもつるんでいる女の子た

          【小説】指切り

          文章は一期一会・出店のお知らせ

          2024年、私は9ヶ月間で79冊の本を読んだ。ここ2年くらい、怒涛の勢いで本を読んでいる。学生時代よりも圧倒的に読んでいる。というか学生時代は何もしてこなかったから、そのツケを払うために社会人になった今、やりたいことをがんがんやっているという感じ。 おかげで読める文章の種類が増えた。そもそも文章を読むのが速くなった。noteを続けてきたのも大きいけれど、どんな形態の誰が書いた文章でもまあまあさらっと読めるくらいには成長した。たとえば数年前までは敬遠していた村上春樹なんか、今

          文章は一期一会・出店のお知らせ

          充実しすぎて熱が出た

          9月の連続3連休。とっても濃い6日間を過ごしたので、思い出の記録。 ◆9/14 待ってました、稲刈り!新米! 日記的なものはこちらに書き残しておいた。 ◆9/15 お昼に妹を演劇の練習場所に送り届ける。 そして気がついたら鳥取砂丘にいた。(どういう時空の大ジャンプ) ちょうどマジックアワーにたどり着くと、広がっていた幻想的な景色。夫と並んで暮れゆく夕日を眺める。連休なだけあって昼間には大勢の人が訪れていたようで、足元には延々と足跡が連なっていた。夫は大学時代、深夜2

          充実しすぎて熱が出た

          ありがとうを繋げるだけの簡単なお仕事

          「あら、いつもありがとうございます」 満面の笑み。 どうやら私は週に一度、計3回ほど通っただけでドラッグストアの店員のおばちゃんに顔を覚えられてしまったらしい。 会計レジへ行くたびに某ファーストフード店顔負けのスマイルがもらえるなとは思っていたけれど、お客全員に共通する「いつも」なのだと思っていた。ところがこの間ついに、明らかに「お馴染みのお客さん」として雑談を投げかけられた。あれはやっぱり、私向けスマイルだったのか。 それにしても毎日顔を出すならまだしも、用があるのは

          ありがとうを繋げるだけの簡単なお仕事

          この家族を愛そうと思います

          私の場合、義実家ガチャは当たりを引いたんだと思う。 基本的に放任主義、だけど必要なときには必要なだけ力を貸してくれる人たち。盆暮れ正月に帰ってこいとは言わないし、連絡は常に夫を介してくれるし、田舎の古い家なのに「家制度」へのこだわりも全くない。自称サバサバ系女子が実はネチネチだった、みたいなよくある例ではなく、本当にさらりとしている。 何よりもありがたいのは、私が夫とともに義実家を訪れるとき、変にお客様扱いをしないところだ。義両親も義祖父母も、それこそ息子である夫に接する

          この家族を愛そうと思います

          やり遂げたかったこと、天才にはなれないこと

          8月最後の日、初めて小説を公募に出した。 創作大賞の作品を書き終えてすぐ、むずむずする勢いのまま見切り発車で書きだした小説。正直書ききれる自信はなかった。創作大賞のために4万字書いたばかりだったし、それとともに書くことへの執念も薄れだしていたから。 でも、書かねば、と思ったのには理由があった。その公募は、24歳以下にしか応募資格がなかったのだ。24歳、今年しかない。しかも真っ先に見つけた公募がたまたまそれだったから、何かしらの運命のようなものも感じていた。これは今、私に書

          やり遂げたかったこと、天才にはなれないこと

          メロンソーダでできている

          メロンソーダが好きな大人って、子供っぽいだろうか。でも、やめられない。許してほしい。 人体の約7割は水分だと言うけれど、私の場合そのうち5割くらいはメロンソーダだと言っても過言ではない。メロンソーダが身体の中を巡りすぎて、私からはメロンソーダの香りがするなんて都市伝説まであるくらいだ(ない)。 この夏も、私の身体はメロンソーダになる。 休日、出かける前にコンビニに寄るのが私たち夫婦の習慣。その日の水分調達をするためだ。ドリンクコーナーの前でああでもないこうでもないと迷う

          メロンソーダでできている

          終わってくれるなよ、夏。

          夏の終わりが名残惜しい。こんな感情、いったい何年ぶりだろうか。昼間こそまだ灼熱の日々が続くとはいえ、今年は早くも心地のよい夜が増えてきた。暦通り、順当に季節が巡っていることにかえって戸惑いが隠せない。でも、そうだった、夏って本来こんなにも短いのだ。 もう少し待って、夏。せめて余韻に浸らせておくれ。今、私の心は夏に向かって吠えている。 花火が上がった。周囲からわあっと声が上がる。潮風がひんやりと頬を撫で、心臓の奥でどん、と音が轟いた。最初の花火の最後のきらめきが、夜空を儚く

          終わってくれるなよ、夏。

          私は私の本を作った。

          我が家の本棚には、皐月まうと書かれた本が4冊並んでいる。どれも私が世に出した、私の本たちだ。同人誌とはいえ、プロの小説のように装丁が本格的ではないとはいえ、胸を張って私の本です、私の作品です、と言えるものたちだ。 本を作ろうと決めたのがいつのことだったか、今となってははっきりと覚えていない。 noteのフォロワーさんが文フリで本を売りはじめた頃だったかもしれない、はたまた一緒に本を出さないか、と文学フリマ出店に誘ってもらったときだったかもしれない。 でもそれよりもっとずっ

          私は私の本を作った。