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ノンフィクションのブックレビュー

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ダンスや舞踊以外がテーマのノンフィクションの本のレビューです。
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#能

『日本人のこころの言葉 世阿弥』西野春雄、伊海孝充著

『日本人のこころの言葉 世阿弥』西野春雄、伊海孝充著

「稽古」「作能」「演技」「相伝」のテーマごとに、世阿弥の残した著作から言葉を原文で引用し、現代語訳と解説を付した本。読みやすい。巻末には世阿弥の生涯も記してある。

能の話だが、能以外にも適用できそうな言葉が紹介されている。

世阿弥は、演者であり、創作も行う、興行師だったようだ。どんな能を演じれば観客の心をつかめて、自分たちが能を続けていけるか、ということを強く意識して活動していたらしい。

『能面の世界』監修:西野春雄、解説:見市泰男 能面の基礎がわかる入門書

『能面の世界』監修:西野春雄、解説:見市泰男 能面の基礎がわかる入門書

能面の種類が大きな写真付き(大半はカラー写真)でわかる。能面の見分け方、略史、世襲面打家系図、作り方、表現の意味するところ、鑑賞できる美術館・博物館リストなども掲載。狂言面についての解説もある。

能面は、写真を見るだけでも生きているようだ。芽のところに小さな穴が開けられているようだが、能面を着けると視界がかなり狭まると聞いたことがある。どんなふうに見えるのだろう。視力でない部分(身体全体の感覚?

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『日本人の身体』安田登著:境界が曖昧な、人や自然とのつながり

『日本人の身体』安田登著:境界が曖昧な、人や自然とのつながり

本の紹介文より:「本来おおざっぱで曖昧であったがゆえに、他人や自然と共鳴できていた日本人の身体観を、古今東西の文献を検証しつつ振り返り、現代の窮屈な身体観から解き放つ。」

内容の箇条書きメモ。

病名を付ける(ネーミング)ことで、個別の身体が忘れられてしまう。(8-9ページ)

身体を意識するのは、病気になったりけがをしたりしたときだ。(44ページ)

能は、死者の声を聞く芸能である。 死者に一

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『身体感覚で『論語』を読みなおす。』安田登著:「人間らしい」孔子の姿

『身体感覚で『論語』を読みなおす。』安田登著:「人間らしい」孔子の姿

能楽師などさまざまな分野で活躍する著者が、孔子の思想を、小難しい学問としてではなく、身体で近づいていくものとして表現した本。

『論語』にはほぼ何の興味もなかったが、人間が生きることに直結したものだったのかなと思い、少し読みたくなった。

『学びのきほん 役に立つ古典』安田登著:古事記、論語、おくのほそ道、中庸

『学びのきほん 役に立つ古典』安田登著:古事記、論語、おくのほそ道、中庸

古典の先人たちと脳内会議ができるほど古典を読み込み身に付けたという能楽師である著者が、日本と中国の古典から、楽に楽しく心豊かに生きるすべを紹介する本。