マガジンのカバー画像

アート・美術、美術館・博物館・ミュージアム、展示

89
アート・美術、美術館・博物館・ミュージアム、展示に関する情報や鑑賞記録など。
運営しているクリエイター

2022年10月の記事一覧

『孤独がきみを強くする』岡本太郎著

『孤独がきみを強くする』岡本太郎著

芸術家、岡本太郎の言葉を集めた格言集のような本。

人に流されず、自分のままの自分で、挑戦し続けよう、という内容。

ほとんどどの言葉もいたってまともで、岡本太郎はむしろ謙虚な人間という印象を受けた。

「男は~、女は~」という記述には、時代の限界を感じるところもある。

『能面の世界』監修:西野春雄、解説:見市泰男 能面の基礎がわかる入門書

『能面の世界』監修:西野春雄、解説:見市泰男 能面の基礎がわかる入門書

能面の種類が大きな写真付き(大半はカラー写真)でわかる。能面の見分け方、略史、世襲面打家系図、作り方、表現の意味するところ、鑑賞できる美術館・博物館リストなども掲載。狂言面についての解説もある。

能面は、写真を見るだけでも生きているようだ。芽のところに小さな穴が開けられているようだが、能面を着けると視界がかなり狭まると聞いたことがある。どんなふうに見えるのだろう。視力でない部分(身体全体の感覚?

もっとみる
「ルール?展」21_21 DESIGN SIGHT:結婚の契約書から死後の電子データによる「復活」まで

「ルール?展」21_21 DESIGN SIGHT:結婚の契約書から死後の電子データによる「復活」まで

「ルール」とは何か、という観点から現代アートを体験できる展示。かなり面白かった。

展示内容、出品作品「鑑賞のルール」
佐々木 隼(オインクゲームズ)

「21_21 to "one to one"」
早稲田大学吉村靖孝研究室

「ルールのつくられ方(法令の場合)」
企画構成:水野 祐 菅 俊一

「行列のルール」
企画構成:菅 俊一 田中みゆき

「あなたでなければ、誰が?」
ダニエル・ヴェッツ

もっとみる
「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」展覧会

「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」展覧会

「もの派」の美術家、李禹煥(リ・ウファン、1936年~)の東京では初めてとなる大規模な回顧展。

絵画あり、立体作品あり。屋外展示や作品の中に入り込めるものもあり、かなり楽しい。スマートフォンで聞ける無料のオーディオガイドもあり、作家本人や担当学芸員の話も聞ける。

「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」森美術館

「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」森美術館

現代アートの作家たちの作品を紹介。よく知られた作品から今日の作品まで。

「地球がまわる音を聴く」という展覧会名の基になったオノ・ヨーコの作品は、言葉によるもので、詩のよう。とてもよい。

DVをテーマにした展示室は、テーマは重苦しいが、現実に起こっていることであり、その被害に向き合った、力を感じさせる作品群が展示されていた。

「歌枕 あなたの知らない心の風景」サントリー美術館

「歌枕 あなたの知らない心の風景」サントリー美術館

和歌に詠まれることで共通のイメージを持つようになった土地を「歌枕」というらしい。「吉野の桜」など。日本美術の作品を見ながら旅気分を味わえる展覧会だった。展示冒頭の桜と紅葉の屏風が圧巻だった。

「ボストン美術館展 芸術×力」東京都美術館

「ボストン美術館展 芸術×力」東京都美術館

日本美術作品がよかった。西洋美術作品はややおまけ的な感じ。インド、エジプト、中国の作品も少しあった。

《平治物語絵巻 三条殿夜討巻》が素晴らしかった。臨場感があり、残虐性とともに「抜け感」もある。鎌倉時代の作だが、平安時代の絵巻物と比べて断然「現代」っぽいような。

「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」東京藝術大学大学美術館

「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」東京藝術大学大学美術館

会期終了間際に行ったら激混みで、作品をちゃんと堪能できず残念だった。

日本美術の展覧会は、前期・後期で展示替えが行われ、それぞれに目玉作品が展示されることが多く、主に作品保存のためだと思うが会期が短い。そのため、とにかく混む。始まったらすぐに行くべきなのだろう・・・。

この美術館は古い造りで、多くの来場者を迎えられる環境が整っていないのもなかなか厳しい。

絵巻とか、もっと近くでじっくり見たか

もっとみる
「ゲルハルト・リヒター展」2022年、東京国立近代美術館

「ゲルハルト・リヒター展」2022年、東京国立近代美術館

1つのフロアを大きくいくつかに分け、展示順や導線は設けずに、自由に鑑賞できる展示空間だった。

90歳になるリヒターの60年間の歩みをたどれるようなラインナップ。20世紀から21世紀を生きた作家なのにペインティングにこだわり続けた巨匠、といった趣か。

ホロコーストを主題とする《ビルケナウ》や、最近のドローイングも展示。

写真撮影OKで、作品の前で記念写真を撮る人もいた。

https://ww

もっとみる
『絵画空間の哲学―思想史の中の遠近法』佐藤康邦著

『絵画空間の哲学―思想史の中の遠近法』佐藤康邦著

美術にも長年親しんでいるという哲学者による絵画論の本。

ざっと読みだが、「第四部 近代日本における西洋体験―岸田劉生の場合」など興味深い。白樺派の後期印象派への傾倒に関する、西洋美術史研究で知られる高階秀爾氏の『日本近代の美意識』の論を批判してもいる。