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http://tanzwalzer.wp.xdomain.jp/ / 小説『マリアと犬の夜(milk and alcohol)』は山梨県富士吉田市「下吉田倶楽部」「M-2」「HOSTEL SARUYA」「カリアムドゥ」様にてお読みいただけます。

記事一覧

花びらをかさねて塔をつくる

私たちは、花びらを重ねて塔をつくるように。 コミュニケーションとはとても難儀なものだなと、わたしはたいがい億劫になって とっくに脱出したはずの象牙の塔に、駆けて…

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1年前
8

遥か遠くから、聴こえた気がしてしまうような

衣擦れの音で掻き消えていくくらいの音が好き。 ** 東京に住んでいるくせに騒がしいのが苦手だ。 そのくせ音楽が好きなものだから、目隠ししたまま手の鳴る方に歩いてい…

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1年前
4

旅の記憶を閉じ込める

旅先でなにか、化粧品や香水みたいなものを普通に買うのが好きです。 それを手に取るたびに、その場所のことを思いだすから。

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2年前
5

心が乱れるからと、もう長いこと音楽を心の中に仕舞ったままにしていた。
していたけど、していたのだけれど。
ああわたしやっぱりロックンロールが好きで、ロックンロールに救われていまここにいて、ロックンロールがわたしのことを分かってくれたから。
ずっとロックンロールを愛してる。

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2年前
6

それぞれの眩い輝きの

画家であるXu Ningさんの個展『天下(WORLD)』に行ったときのお話です。 いつか彼女の絵が欲しいと思っているのですが、それは彼女の絵から、ままなったりままならなか…

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2年前
3

服を脱ぐように服を着る

愛するお洋服とそのデザイナー、そしてお洋服を着たわたしとわたしのまわりの人々のことを話しました。 よろしければ下のサムネイルからご視聴ください。 poscast配信、…

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2年前
3

『恋恋風塵』という人生の映画

前回に続き台湾映画のはなしです。 前回お話ししたエドワード・ヤン監督の盟友でもあった侯孝賢監督。その手になる名作『恋恋風塵』について。 台湾ニューシネマ、ほんと…

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2年前
4

愛する映画の話でも

いちばん好きな『ヤンヤン 夏の想い出』という台湾映画の話をしました。 こんなにも静かで構造的に完璧な美しさをつくりだせるエドワード・ヤンという人を心から尊敬しま…

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2年前
5

傷を癒す、祈りのようなレストランのこと

podcastを始めてみました。 ベッドで眠る前に思い出すような、とりとめもない話です。 文章はあとから追加するかもしれませんが、ひとまず音声をどうぞ。

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2年前
2

podcastを始めようと思っています。今週、火曜日か木曜日の夜にひとつめをアップしようと思いますので、お気に留めていただければ幸いです。

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2年前
4

ご無沙汰しております。こちらにいます。
https://tanzwalzer.wp.xdomain.jp/

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3年前
2

あなたを想って色とりどりに

”自分のために服を着る”ことが良いことみたいに言われるけれど、 誰かのために服を着るとき、わたしは無敵になる。 ** ちょっと前、冬から長いこと会えていなかった祖…

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4年前
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そこはかとなくモード、になりたい

久しぶりにお洋服のことを考える気分。 このところちょっと、いままで完璧だと思っていたワードローブがなにかすこし違うような気がして それがどうしてなのかとか、クロ…

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4年前
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不確かな約束

わたしは苦手なものが多いので、とどこかで書いたような気がするけれど 実際のところこれはすごくものやわらかにした言い回しで、 ほんとうは嫌いなものがすごくある。人…

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4年前
11

傷つくということ

「役者というのは傷付く職業です。 傷付いたまま観客のほうを向くのです。」 以前ある演出家からもらった言葉だ。 岡村靖幸という歌手がいて、 『真夜中のサイクリング…

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4年前
18

愛について

I love youを何と訳す? という話を以前に友人たちとしたことがあって。 夏目漱石が「月が綺麗ですね」と訳し、スカパラの谷中さんが「もうあとに戻れないな」と訳したそ…

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4年前
18
花びらをかさねて塔をつくる

花びらをかさねて塔をつくる

私たちは、花びらを重ねて塔をつくるように。

コミュニケーションとはとても難儀なものだなと、わたしはたいがい億劫になって
とっくに脱出したはずの象牙の塔に、駆けて戻っては扉を閉める。本に埋もれて身をまもり、画面という距離に安堵する。遠くにあれば世界は綺麗だ。

本来、他者とはるかな距離が必要な人間なのだろうと自分のことを思っている。
その距離はなんでもいい。時間や、年齢や、性別。
それははるかなる

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遥か遠くから、聴こえた気がしてしまうような

遥か遠くから、聴こえた気がしてしまうような

衣擦れの音で掻き消えていくくらいの音が好き。

**

東京に住んでいるくせに騒がしいのが苦手だ。
そのくせ音楽が好きなものだから、目隠ししたまま手の鳴る方に歩いていくみたいにして音の鳴っているところに出かけてしまう。

学生のときからジャズ喫茶みたいなところにわけもわからず出入りしていたし、そこからライブハウスを通り、音楽家や演劇人の集まるモンパルナスのようなバーが居場所になり、そうまでしてもそ

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旅の記憶を閉じ込める

旅の記憶を閉じ込める

旅先でなにか、化粧品や香水みたいなものを普通に買うのが好きです。
それを手に取るたびに、その場所のことを思いだすから。

心が乱れるからと、もう長いこと音楽を心の中に仕舞ったままにしていた。
していたけど、していたのだけれど。
ああわたしやっぱりロックンロールが好きで、ロックンロールに救われていまここにいて、ロックンロールがわたしのことを分かってくれたから。
ずっとロックンロールを愛してる。

それぞれの眩い輝きの

それぞれの眩い輝きの

画家であるXu Ningさんの個展『天下(WORLD)』に行ったときのお話です。

いつか彼女の絵が欲しいと思っているのですが、それは彼女の絵から、ままなったりままならなかったりする人間というものへの優しさを感じるからなのです。

こちらのリンクよりお聴きください。

服を脱ぐように服を着る

服を脱ぐように服を着る

愛するお洋服とそのデザイナー、そしてお洋服を着たわたしとわたしのまわりの人々のことを話しました。

よろしければ下のサムネイルからご視聴ください。

poscast配信、そこそこ続いていて楽しいです。

『恋恋風塵』という人生の映画

『恋恋風塵』という人生の映画

前回に続き台湾映画のはなしです。
前回お話ししたエドワード・ヤン監督の盟友でもあった侯孝賢監督。その手になる名作『恋恋風塵』について。

台湾ニューシネマ、ほんとうに素晴らしいのです。
この人たちは絶対に人生から逃げないのです。
そのこと、忘れてはならないこと。

よろしければ、眠る前のひとときにお聴きください。

愛する映画の話でも

愛する映画の話でも

いちばん好きな『ヤンヤン 夏の想い出』という台湾映画の話をしました。
こんなにも静かで構造的に完璧な美しさをつくりだせるエドワード・ヤンという人を心から尊敬します。

傷を癒す、祈りのようなレストランのこと

傷を癒す、祈りのようなレストランのこと

podcastを始めてみました。
ベッドで眠る前に思い出すような、とりとめもない話です。

文章はあとから追加するかもしれませんが、ひとまず音声をどうぞ。

podcastを始めようと思っています。今週、火曜日か木曜日の夜にひとつめをアップしようと思いますので、お気に留めていただければ幸いです。

ご無沙汰しております。こちらにいます。
https://tanzwalzer.wp.xdomain.jp/

あなたを想って色とりどりに

あなたを想って色とりどりに

”自分のために服を着る”ことが良いことみたいに言われるけれど、

誰かのために服を着るとき、わたしは無敵になる。

**

ちょっと前、冬から長いこと会えていなかった祖母に会いに行った。恋人より誰よりわたしのいちばん愛しい人。

もう100歳も超えた祖母はいまだに人と接することや活気のある場所が好きで、

世の中がこんな具合であることまでは分からなかったとしても、人が訪ねてきたり訪ねて行ったりする

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そこはかとなくモード、になりたい

そこはかとなくモード、になりたい

久しぶりにお洋服のことを考える気分。

このところちょっと、いままで完璧だと思っていたワードローブがなにかすこし違うような気がして

それがどうしてなのかとか、クローゼットを眺めながら試行錯誤していたのだった。そして無事に乗り越えたから、ここに書いておこうかなって思ったのだった。

わたしは保守的なお洋服も好きだし、一風変わったお洋服のことも愛している。

だけどなにかが足りないような、そんな感じ

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不確かな約束

不確かな約束

わたしは苦手なものが多いので、とどこかで書いたような気がするけれど

実際のところこれはすごくものやわらかにした言い回しで、

ほんとうは嫌いなものがすごくある。人生というものを送るのがしんどくなる程度には、ある。

わたしの文字を読んでくれるあなたは美しいものが好きだろうし、わたしもできれば美しいものばかりを見て過ごしていたいので、それは表沙汰にはしないほうがいいのだろうなと思っていた。

だけ

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傷つくということ

傷つくということ

「役者というのは傷付く職業です。

傷付いたまま観客のほうを向くのです。」

以前ある演出家からもらった言葉だ。

岡村靖幸という歌手がいて、

『真夜中のサイクリング』という曲がわたしはいちばん好き。

エピック時代の最後のほうに発売された、なんとなくひっそりとした立ち位置の曲だけど

まず迷うことなくいちばん好きな曲。

この曲のことを思い出して、さっきまた聴いてみて

そしたらあの演出家の言

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愛について

愛について

I love youを何と訳す?

という話を以前に友人たちとしたことがあって。

夏目漱石が「月が綺麗ですね」と訳し、スカパラの谷中さんが「もうあとに戻れないな」と訳したそれを、私たちならどう訳すだろうかとそれぞれが考えた。

「きょうは何食べる?」とか「明日どこ行く?」とかいろんな訳がでて、

そしてそのどれも分かりはするけれど、その当人以外にははっきりと理解し得ない、そんなところもまた面白か

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