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人間の話

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その辺にいる普通の人間の話
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記事一覧

暇を持て余す故、恋愛について吐露する

愛されていると知っていながら
あなたを手放す理由をいつも探し続けてる
当初から感じた違和感は消えずに
一日中私は自問自答する
これで良いのか?幸せなのか?

私の、“愛してる“なんて
本当かどうか自分でもわからない
だから、あなたも多分何か気づいているはず

金も仕事も地位も清潔感もまるで
あなたの身辺には最初から存在しないようで
哀れや情けに侵食された汚い私の心は、
一つだけ光っていたあなたの将

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2020年の終わり

2020年を形容する言葉を一つ答えるとしたら
それは間違いなく「疫病」だろう。

私の2020年は富士山・河口湖から始まり
新型ウイルスの流布
トイレットペーパー不足のデマ、マスクの転売
パンデミックの混沌の中で本来記念するべき30歳を迎え
自粛・延期・中止の嵐の中で膨大な時間を自室で過ごし
密・コロナと騒ぐうるさいメディアからは距離を置き
国民が選挙で選んだ政治家は
自己保身のために足りない知恵

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29歳最後に

29歳最後に

20代に感謝

早く大人になりたかった10代を終え、
10年前の5月10日に20歳を迎えた。

大人の真似事をして、中途半端に責任の自覚をしつつ
肝心なところで人の力を頼らざるを得ないということを今まで続けている。

振り替えってみれば、成し遂げたものはなく
結婚も出産も近々の未来には見えない
近年では中々彼氏も出来ず、年齢の問題というよりかは、私の人格に対して魅力を感じる人がいないのかなと感じて

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煙

失恋は吐いた煙草の煙に等しい
あの時口にした言葉は
二度と私の元にもどらない

使った時間も
貴方を想った時間も
歳ゆく私の幸福の糧にはならず
ただ私の顔に刻まれる皴の如く
邪魔な事象にしかなり得ないのだ

春を間近に覚え
貴方は去り
私は留まる

逃げ場のない感情は
また私の20代最後の
忘れたい記憶に塗り重なり
貴方に向けた笑顔は
私にとって不要な過去へ
残された写真と共に
ゴミ箱に押し込めて

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いけず石

近所のオッさんが敷地内をはみ出し、家が道に面するコーナーにデカい石をはみ出して置いている。印刷屋の兄ちゃんはカーブする際に車のバンパーを擦り、私道の持ち主は迷惑ながら何も言わない。そんないけず石に持ち主がニスを塗ってピカピカに光らせている事を今日祖父から聞いて笑った。

人生を180度変えた女

医者と結婚したわけでもなく、大金を相続したわけでもなく、女の人生は数年でコロッと変わった。住む事なんか考えた事もなかった関東に住み、車を乗り回し、男に頼る事をやめ女は1人で暮らす場所を見つけた。職を得、仲間を見つけ、女は暗い人生から自ら這い出したのだ。

負けない女

男達の悪事が頭を占拠するときがある。思い出すのは時間の無駄だ。しかしこれを書いている時点でむかつく男達のことを思い出しているというのが事実なのだ。
女は一文字一文字呪いの如く念を込め、文章を書くことで男達に波動を飛ばす。どうか男達の未来が真っ暗闇に包まれますように。

他に女がいた男

地元の友達と飲んでいるというのは常套句だ。男の所在は分からなくなっていたが、今朝私はその男が昔から一緒にウサギを飼っていた女と先週末映画を観に行っていた事を明らかにした。クソくらえである。そしてその現実は写真や私に男の電話番号を即座に消去する勇気を与えたのだ。

独身貴族の話

独身貴族の話

ペースメーカーの男

其の男との連絡を断ち、早9年以上が過ぎた。
男と知り合ったのは、男が当時39歳の時。生きているならば今年の8月に52歳を迎えているはずだ。

生きているならばと表現したのには理由が存在する。男は体が弱く、心臓にはペースメーカーが埋め込まれている。カチカチと無機質な音が刻む鼓動は、エレベーターの狭い空間に響き、静まり返った空間にいる私に死や病を意識させる。

男はシルバーの三菱

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年収800万借金まみれの男の話

年収800万借金まみれの男の話

或る九州男児

男は三年前、地元のある九州を飛び出し
関東に流れ着いた。男と職を共にする女と同学年、同い年であり気安く話しかけてくる偉そうな態度が疎ましい。

男は死にものぐるいで違う世界の仕事を覚え、夜の街を掌握する仕事から、日中陽を浴びて金を稼ぐ仕事に馴染むよう努力を重ねた。

狡猾な男は、自分の欲の為や立場を保つ為に職場の人間関係をクラッシュすることを厭わない。夜の世界で甘いも酸いも味わって

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オープンカーに乗る男の話

オープンカーに乗る男の話

髪留めその男はユーノスロードスターを所有し
免許を取った頃から12年
大切に乗り続け、今後も手放す気は毛頭ない。

女は本当はマニュアル車を運転できる事をひた隠し、大人しく助手席にいつも座っていた。

或る日曜の昼、目に差し込む光が眩しく
男は左手にある収納スペースからサングラスを取り出し、装着した。そこに何故か髪をくくるゴムがある事を女は見逃さなかった。

問い詰められた男は歯切れが悪そうに表

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15年前から知っている男

その男は誰もが認めるエリートだ。頭が良いその男は普通の容姿なのに年齢=彼女いない歴の童貞である。デートの際のスマートな金払いやエスコートに欠け、夕食さえも共にとろうとしない。私を相手に発展的な会話も出来ず、こりゃ魔法使いまっしぐらだわと深く感じた。