マガジンのカバー画像

おすすめの本一覧

1,512
「誰かにおすすめしたい!」と思った本をまとめています。新旧・ジャンル不問。
運営しているクリエイター

2024年5月の記事一覧

著…太宰治 絵…すり餌『猿ヶ島』

著…太宰治 絵…すり餌『猿ヶ島』

 自分がどこで誰と生き、そして死ぬか。

 それを決めるのは自分自身だ。

 というメッセージ性を感じさせる小説。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。

 深い霧に包まれて、今が昼なのか夜なのか判然としない。

 木はあるものの、これまで慣れ親しんだ場所とは何かが違う。

 何がどうとは言えないけれど、明らかにおかしい。

 そんな島に、この小説の主人公は辿り

もっとみる
著…谷崎潤一郎 絵…夜汽車『二人の稚児』

著…谷崎潤一郎 絵…夜汽車『二人の稚児』

 女性という生き物の多面性や、同じように育った人間だとしても考え方が異なるということを描いた小説。

 そして、ダメと言われれば言われるほど気になってしまう人間のサガも表現されています。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。

 この小説の主人公は二人います。

 千手丸と瑠璃光丸です。

 二人は幼い頃に女人禁制の比叡の山に預けられました。

 いずれも、俗世

もっとみる
著…太宰治 絵…ねこ助『魚服記』

著…太宰治 絵…ねこ助『魚服記』

 主人公・スワを取り巻く様々な「死」が描かれている小説。

 暗めのイラストが相まって、不穏な雰囲気が渦巻き、先が気になってつい一気に読んでしまいます。

 スワの身に何が起きたのかはっきりとは書いてはいないのに、読者に事情が伝わる文章力が凄い!

 読後感は決して良くないけれど、太宰好きには避けては通れぬ作品。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。

 まだ幼

もっとみる
著…坂口安吾 絵…しきみ『恋愛論』

著…坂口安吾 絵…しきみ『恋愛論』

 ●自分の恋愛観

 ●キリスト教における「愛」に当てはまるようなものは古来の日本には無かった

 ●「すきだ」「惚れた」「愛す」といった日本語のニュアンスの違い

 といったことについて坂口安吾が熱く語っている本。

 ピンク色を基調としたページや、可憐でありながらも微量の毒を思わせるイラストが素敵なアクセントになっています。

 わたしは特に、

 という言葉が好きです。

 何かに打ち込む時

もっとみる
著…大空幸星『「死んでもいいけど、死んじゃだめ」と僕が言い続ける理由 あなたのいばしょは、必ずあるから』

著…大空幸星『「死んでもいいけど、死んじゃだめ」と僕が言い続ける理由 あなたのいばしょは、必ずあるから』

 顔も名前も声も出すことなく、24時間365日いつでもチャットで悩みを相談できる無料窓口を運営している著者の本。

 人は時折「ひとりになりたい」と願うものですが、それと「ひとりになってしまう」のは全く違うものです。

 この本では、後者について言及されているため、読んでいて胸が締め付けられます。

 個別の事例紹介はありませんが、相談窓口に寄せられる悩みの内容から、いかに孤独を抱えた方が多いかが

もっとみる
著…トニー・ラズロ 画…小栗左多里『トニー流 幸せを栽培する方法』

著…トニー・ラズロ 画…小栗左多里『トニー流 幸せを栽培する方法』

 自分にとっての幸せとは何か考えるきっかけをくれる本。

 肩の力を抜いて、ゆったりしながら読むのがおすすめです。

 まず目を惹くのは、

 というエピソード。

 素晴らしいご両親ですね。

 もし、「嫌い」という言葉を安易に口にしてしまったら、なぜ好きではないのか考えることさえ拒絶する感じがしますから。

 それは思考停止を招きます。

 どんな風に好きじゃないのか話すことによって、思考力や

もっとみる
著…谷崎潤一郎 絵…しきみ『魔術師』

著…谷崎潤一郎 絵…しきみ『魔術師』

 どんなに摩訶不思議な魔術よりも、恋する力の方がずっと強くて哀しいのだと教えてくれる小説。

 きっと、恋人たちを引き離すことは、どんなに偉大な魔術師にだって出来ません。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。

 多くの人を魅了する美貌の魔術師。

 誰もがその魔術師の虜になります。

 主人公も例外ではありませんでした。

 …けれど、主人公の恋人は別。

 

もっとみる
著…伊藤聡『電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました。』

著…伊藤聡『電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました。』

 これまで、髭剃りの後に化粧水をつける程度のスキンケアしかしてこなかったけれど、中年になってからスキンケアの楽しさに気づいた! という著者の本。

 男性向けに書かれた本だと思いますが、女性であるわたしにも共感出来る内容で、ワクワクしながら読めます。

 綺麗になる喜びに性別は関係ありませんね。

 さて、著者がスキンケアに目覚めたきっかけは何だったのでしょうか?

 それは、ほとんど外出せず、乱

もっとみる
著…夢野久作 絵…ねこ助『ルルとミミ』

著…夢野久作 絵…ねこ助『ルルとミミ』

 童話のような愛らしさをたたえながらも、非常に悲劇的な小説です。

 そこに可憐なイラストが合わさることで、いつまでも時を忘れて見惚れていたくなる美しい一冊となっています。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。

 兄のルル。

 妹のミミ。

 2人はとっても仲良し。

 父を亡くして、兄妹ふたりきり、支え合って生きてきました。

 けれど、ある夜。

 ルル

もっとみる
エクスナレッジ『だらだら動物図鑑 だらけた一日をすごしたい、あなたへ』

エクスナレッジ『だらだら動物図鑑 だらけた一日をすごしたい、あなたへ』

 「あ〜、も〜、な〜んにも考えたくない」

 とアクビしているかのように、存分にぐうたらしている動物たちの写真集。

 小さな岩を枕にして居眠りをしているミナミアフリカオットセイ。

 木の上でだら〜んとうつ伏せ寝をしているヒョウ。

 大開脚して、肩肘をついて、目を閉じているフクロテナガザル。

 木のベンチの上でスヤスヤ寝ているガラパゴスアシカ。

 大あくびしているアルパカ。

 どの動物も

もっとみる
著…井越和子『フラワーアレンジはじめてBOOK 花1本から、ひとりですぐにスタートできる』

著…井越和子『フラワーアレンジはじめてBOOK 花1本から、ひとりですぐにスタートできる』

 タイトルに「はじめて」とある通り、初心者向け。

 だからこそ、奇抜な作品がなく、長く活用出来る本だと思います。

 また、全ての項目についてカラー写真で教えてくれるので分かりやすいです。

 主に、

 ●花の鮮度の良し悪しの見分け方

 ●傷んだ部分の取り除き方

 ●葉や茎を使った花留め方法

 ●主役として使える花材

 ●高さや流れを出す花材

 といったことが掲載されています。

 

もっとみる
著…大平一枝『注文に時間がかかるカフェ たとえば「あ」行が苦手な君に』

著…大平一枝『注文に時間がかかるカフェ たとえば「あ」行が苦手な君に』

 「カフェで働きたい」という夢があった。

 スムーズに言葉が出ないから「接客は無理だ」と諦めようとした。

 でも、話すことは苦手だけれど大好きなので、諦めたくなかった。

 自分のような思いを他の吃音を持つ若者たちにはさせたくなかった…。

 これは、発起人のそうした気持ちから生まれた「注文に時間がかかるカフェ」についての本。

 当事者やその家族の本音も紹介されています。

もっとみる
著…あべとしゆき『水彩画 光のアンサンブル 〜あべとしゆきテクニックノート〜』

著…あべとしゆき『水彩画 光のアンサンブル 〜あべとしゆきテクニックノート〜』

 野の花、森、山脈、川…。

 そうした自然を優しい光の加減で繊細に描き、見る人の心を和ませてくれる、あべさんの水彩画。

 これは、あべさんがどのように作品を描いているのか紹介している本。

 ●筆使い
 ●マスキング技法
 ●リフティング技法

 といったテクニックを丁寧に説明してくれるだけでなく、なんとYouTubeの解説動画ページに繋がるQRコードまで

著…堀辰雄 絵…ねこ助『鼠』

著…堀辰雄 絵…ねこ助『鼠』

 暗闇の底で優しい光に手を伸ばしているかのような気分に浸らせてくれる小説です。

 読むと泣きたくなります。

 まるで綺麗で悲しい悪夢を見ているみたいで…。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。

 子ども時代に、

 「秘密基地」

 「隠れ家」

 といったものに惹かれた方は多いのではないでしょうか?

 この小説の主人公もまだ幼く、そして、隠れ家と秘密を

もっとみる