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芥川龍之介「鼻」を読む-内供を毀損する自意識と傍観者の利己心
「鼻」は「羅生門」より3ヶ月後の大正5年2月「新思潮」に発表され、
夏目漱石が激賞したことでもよく知られている作品です。
「鼻」にも「『羅生門』を読む③」で行ったあらすじからのアプローチをやってみたいと思います。ただ、今回はその「応用編」になります。それはあらすじを前半と後半の2つに分ける必要がでてくるからです。もちろん、1つでもできますが、あえてそうしないのは、あらすじを「あらすじ」として終わ
「羅生門」を読む⑤ 精読編2-下人の憎悪と〈善/悪〉の相対化
芥川龍之介の作品を読むとき、絶えず意識されるのはこの作家の物事や人間を見る目である。それは容赦の無く対象を見透かす目である。そういう意味で彼は徹底したリアリストであるということができる。彼のこの目は自分にも向けられ、彼自身を毀損することにもなる。よく言われる「見えすぎる」苦悩というもので、それは決して人を「幸福」にするものではないだろう。
だがそのことが彼の作家として負の要素とはならないことは言