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猫は何を考えているのか

仕事が終わると大抵、僕は散歩に出かけます。
雨が降っていればいかないし、自分の気分次第で出かける時間も統一されていません。

散歩をしている時は日々のめまぐるしく乱雑な思考を一旦捨て、頭の中をリセットするように心配なことや不安なこと、やるべきことから開放され、頭の中を楽園へワープさせます。

ぼーっとしながら何も考えず歩くことをすると、仕事を終えて頭の中のストレージ容量不足の警告が鳴り止まない状態から、帰ってきた時にはリセットされたような感覚を覚えます。明らかに数十分の散歩だけで違う人間に生まれ変われます。

僕にとって散歩は容量不足の警告ダイアログの閉じるボタンを押す作業のようです。

感情の振り幅が大きくならないよう、心を穏やかに保つよう、欠かせないルーティーンになりました。心穏やかにいるため僕が何をしているかはこちらの記事で書きました。

さて、散歩にはもう一つの特典がついてきます。すごくオトクな特典です。
それは今回の記事の主役であり、僕にとっての天使である野良猫の存在です。

散歩ルートに出没する野良猫は4,5匹いますが、殆どの場合特定の2匹です。
特に僕はそのうちの1匹を自分のペットのように可愛がっております。

近隣の住人との立ち話情報によると、それらの猫は地域に飼われているような存在であり、もう10年以上前から皆で餌を与えて育てられてきたようです。

僕とミルク(仮名(地域で呼ばれている通称名あり))の出会いは3年前に遡ります。僕がこの地域に住み始めたのは3年程前になるからです。

何気なく新しい町の探索がてら散歩に出かけると、今では"いつもの"と呼べるマンションの前に座っていました。

それを見た瞬間心臓のビートはとても穏やかにリズムを刻みました。
近寄るとすぐに何処かへ逃げていってしまいました。
それが出会いです。

それから何度かそのマンションの近くへ行っては居ないか確認し、そーと近づいたり、服装を変えてみたりしましたが駄目でした。しかし、たまに他の人がミルクを撫でているのを見かけていました。なんだか悔しい気持ちになりました。餌でも食べさせているからかなと思いました。

半年くらいの時が過ぎたころだったと思います。
ミルクを撫でている人を目撃するうちに自分の中でインスピレーションが降りてくるかのごとく頭の中で共通点が浮かんできました。

「所作がゆっくり」
「しゃがんでいる」
「女」(ミルクはオス)

この3つです。
はじめは女にしか寄っていかないのかと少しがっかりした反面、それはそれでかわいいなとか思いながも後の2つを組み合わせて翌日試してみると….

なんと無効の方からてくてく歩いて近寄ってきてくれました!!!

こんな簡単なことに今まで気づかなかったのか!という気持ちもなくはなかったですが歓喜しました。

そして思う存分足が痺れて限界が来るまで撫でました。その日は一つの大きな壁を乗り越えた気がしました。

それからもしつこく通い、上記の所作をしたとて、近寄ってきてくれない時もあれば、近寄ってきてくれる日と分かれました。時に忘れられているのかと悲しくなりました。

そこで猫の記憶について調べてみました。
ことわざで「猫は三年の恩を三日で忘れる」という言葉があるようでした。
それを見てまた悲しくなりました。

もっと調べてみると、猫は短期記憶が人間の20倍あるそうです。(すごい)
また長期記憶は人間ほどないみたいですが、猫にとって印象的な物事は一生脳に残り、危険なことはよく覚え、特に生後間もない頃の記憶は残っているようです。

立ち話をしたオバサンやオッサンに話を聞くと10年以上前からミルクはずっとここに居ると言っていたので、推定10歳以上ということになります。

覚えてくれないのか…と思いました。

しかし根気強く通い続けました。
根気強くと言うと語弊がありますね。

ミルクを撫でると、

「かわえぇぇぇええええええええええええええああああ〜〜〜!!!!」

僕の心の中

と「かわいい」というどうすることもできないが何度も味わいたい感情なるので家から歩いて7分くらい現場まで時間がかかりますが、毎日のように行くことがなんの苦にもなりませんでした。

超面めんどくさすぎがりやの僕が、気づけば散歩の習慣が身についていました。散歩の習慣が身についたのはミルクのおかげです。

散歩の効果を今軽く調べただけでも絶大な効果があります。

風邪
メタボ
生活習慣病
ストレス、不眠、うつ、不安解消
更年期の不調
認知症の予防
認知機能の改善
がん
感染症
死亡率の低下
創造性を豊かにする

ネットオーシャン

ミルクは僕の人生を豊かにし、大切なことを教えてくれます。
今では僕を見かけるだけで98%走って寄って来てくれます。
餌は信頼関係ができる前に1,2回上げたことがありますが、僕の中のポリシーに反したのでそれ以降はあげていません。

残りの2%は人間が入れないようなフェンスの奥に身を置いている時です。
フェンス越しの時はどんなに近寄ってもお休みモードなのかこっちまで来てくれません。

もう1%はその条件がなくても近寄ってきません。
猫は気まぐれな動物であるとはこういうことなのでしょうか。
これだけは今のところ、どんなに通ってもわからない謎です。

これらのことからミルクに学んだ教訓は他人の気持ちを操作しようとしないことです。心理学:悪用厳禁!!他人を思い通りに操る方法!!みたいなテクニック的なのをよく見かけますが、一切興味がなくなりました。

人にどうこうしてもらいたいと期待したり、こうさせたいああさせたい、"こう思ってもらいたい"と思わなくていいんです。現実で何かを変えたければただ、自分が変ればいいんです。

自分の手に入れたいものがあるのならば、それらを創造するためにイメージし、後は自然体でいることだと思います。

あれこれ操作しようとすると今の自分を否定することになります。もちろんこれでは他人を見た時の受け取り方も変わるでしょう。

ミルクは猫界の長老ですから、人生教訓を無言で教えてくれます。
何を考えているのかは問題ではなく、背中で教えてくれるたくましい第2の父親のような存在です。

最後に、

最近の僕のマイブームは、人通りの少ない時にミルクを膝に乗せて撫でながら、自分の心を見つめることです。


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