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読書感想文

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読書感想文をまとめました!もしこのなかで読んだ本があれば、ぜひ感想を聞かせてください。
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忙しい日々に元気をくれた本3選

忙しい日々に元気をくれた本3選

この夏はとっても忙しく、やっと一段落がついた。
自分と向き合う時間がとれず、noteを書きたいと思いながら1日ずつ過ぎ去っていった。

これ書きたい、あれも書きたいと頭の中ではあるのだけど、書かずに過ごすと、モヤモヤの塊が溜まっていく。
書いたほうがいいと思いながらも書ける元気がないという状態だった。

そんななかでも読書の時間は必ずとろうと決めていた。
私は読書というものは、読むことを通して自分

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5月の読書感想文:私は幽霊を見ない/藤野可織先生

5月の読書感想文:私は幽霊を見ない/藤野可織先生

私が好きになる人(性別問わず)の特徴として、ひとつこういうものがある。
それは、大真面目に何か物事に取り組んでいることだ。
取り組んでいることが何であれ構わない。
それが他人にとっては、なんで?って思うようなものでも問題ない。
その人が、そのことに情熱を持って、愛を持って、真剣に取り組んでいる姿が好き。

そんな私にとって今回の本は、ドタイプな本だった。
だって、幽霊を見ないことについて真剣に考え

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3月の読書記録ダイジェスト

3月の読書記録ダイジェスト

桜が咲きはじめてる。
本を読んで、ふと顔をあげたら4月になっていた。

そういう感覚だ。

読書記録アプリをみると3月は18冊本を読んでいた。
確かに昼休みに読んだ本に夢中になり、晩ごはんの後はずっと読書していたり、休みの日はどこにも出かけず本の虫になっていた。

読んでいるときにこの本の読書感想文を書こうと思いつつ、まぁこの本を読み終わったあとでいっかとしていたら、もう3月が終わってしまっていた

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9月の読書感想文:ぱりぱり/瀧羽麻子先生

9月の読書感想文:ぱりぱり/瀧羽麻子先生

この本の『ぱりぱり』というタイトルを見たとき、ぱりぱりって何?!と思って手にとった。

ぱりぱりって聞いたとき、
①チョコのぱりぱりアイス
②寒い冬の朝、水を張ったバケツの表面にできた薄い氷を触ったときの感覚
③何かが壊れていく音
私はこういう印象をもった。

①②はともかくとして、③のようなちょっとネガディブな印象があったが、この本の表紙は淡い黄色でやわらかい絵がのっている温かみのある本だったの

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10月の読書感想文:クレイジー・フォー・ラビット/奥田亜希子先生

10月の読書感想文:クレイジー・フォー・ラビット/奥田亜希子先生

この本は、秋の夜長に読む本としてはちょうどいい切なさを与えてくれるかもしれない。
窓から流れ込む金木犀の香りと、鈴虫の音色も相まってそんなふうに感じた。 

この本は、愛衣という少女の小中高大、そして30代を過ぎてからの日々を切り取った連作短編集だ。

奥田先生の書かれる文章は、あの頃の私達を思い出すぶんには充分なほど丁寧な描写で、友達と歩いた渡り廊下の埃臭さや、プールの塩素の臭いなどが鮮明に蘇っ

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11月読書感想文:世界を食べよう!旅ごはん/杉浦さやか先生

11月読書感想文:世界を食べよう!旅ごはん/杉浦さやか先生

以前は家で読書する時間が取れていたのに、最近は諸事情であまり取れていない。そういう感じになって、もう3ヶ月ほどたつ。
以前の私なら、休みの日は午前中に家事を終わらせると2、3冊ぶっ通しで読書するのが普通だった。
読書は現実世界のしがらみから抜け出して、それぞれの本の世界観に没頭できるのがいい。
本からふと目線を外し、空を眺める時間がすきだ。

その時間がとれなくなるということは、グレーのインクを1

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8月の読書感想文:マンガの食卓/南 信長先生

8月の読書感想文:マンガの食卓/南 信長先生

私は食べることが大好きだ。
美味しいものを食べられたらそれだけで幸せだし、食べた直後から次の食事の時間を楽しみにしてしまう自分がいる。

最近は好きが高じて、食べ物が出てくる読み物も好きになってきた。
食堂や喫茶を舞台にしたストーリーや、グルメ漫画やグルメエッセイを読むことが楽しい。

そんなときに見つけた、「マンガの食卓」というこちらの本。

   ◯◯◯

グルメ漫画は、作ることや食べることな

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6月の読書感想文:Z世代のネオホームレス自らの意思で家に帰らない子どもたち/青柳貴哉先生

6月の読書感想文:Z世代のネオホームレス自らの意思で家に帰らない子どもたち/青柳貴哉先生

この本を読もうと思った経緯

今年のゴールデンウィーク。買い物客で賑わう梅田の商業地に、私はいた。
友人とお出かけをし、カフェで話に花を咲かせていた。周りの客たちも私達と同じように楽しげで、解放感が室内に充満しているようだった。

帰宅する前に、同建物内のお手洗いに行った。

手を洗っていると、他の個室内から話し声が聞こえてきた。最初は分かりづらかったけど、誰かと電話しているようだ。

あー、だる

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5月の読書感想文:しょうがの味は熱い/綿矢りさ先生

5月の読書感想文:しょうがの味は熱い/綿矢りさ先生

結婚したい女と先延ばししたい男

同棲をして数年が経った。さぁ次は結婚だ。
そう思うのにいっこうにプロポーズされる気配がない。
彼は私のことどう思っているの?

というような悩み、結婚ラッシュの第1弾が始まる年齢以降耳にする機会が増えた。
直接話を聞く場合もあるし、居酒屋で泣き叫ぶかのように相談する、名前も知らない女性の声が耳に入ってきたり。

この本は、この年代にとっては本当にあるあるなテーマを

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4月の読書感想文:目の見えない白鳥さんとアートを見にいく/川内有緒先生

4月の読書感想文:目の見えない白鳥さんとアートを見にいく/川内有緒先生

やっと読めた。
この本を手に取ったときに最初に思ったことだ。
去年から書店で気になっていたけど、読もうと思って後回しにしてしまっていた。

芸術って、"きちんと"見ないといけないもの。

そういう偏見を持っていたので、この本もきっと正しく読まないといけないんだろうなぁ、じゃあ堅苦しい本なんだろうか?と思い、いつも見送っていた。

しかし、読んでみてこの考えが間違っていたことを知った。
もっと早く読

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3月の読書感想文:ブランドの世紀/山田登世子先生

3月の読書感想文:ブランドの世紀/山田登世子先生

1.購入したきっかけ

昨年、四天王寺で開催されている秋の古本市に訪れてこちらの本を購入した。

お店の本棚に並んでいるのを見て、「ココ・シャネル」などブランドの創始者の映画のCMを最近よく見かけるな〜と思い、何となく手に取ったのがきっかけだった。

買ってみたものの今に至るまで、積読状態になってしまっていた。しかし、読み始めてみるとページを捲るのが止まらないくらい、読んでいて面白く読まなかったの

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1月の読書感想文:~あの頃、レモン・ハートで~BARで飲みたい31の名酒/古谷三敏・古谷陸先生

1月の読書感想文:~あの頃、レモン・ハートで~BARで飲みたい31の名酒/古谷三敏・古谷陸先生

こちらの本は、漫画家である古谷三敏のお酒との出会いの振り返りを、お孫さんである古谷陸氏がまとめている本である。 

ご存じの方が大半だと思うが、古谷三敏先生は、「BARレモン・ハート」というお酒に関する漫画を描かれており、実際に西武池袋線「大泉学園」で同名のBARのオーナーをされていた。
現在は古谷陸氏が店長をされている。

今回の本は、古谷先生のお酒の思い出や、漫画家人生や満州時代のお話がまとめ

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2月の読書感想文:リリィの籠/豊島ミホ先生

2月の読書感想文:リリィの籠/豊島ミホ先生

豊島先生の本は『夜の朝顔』を読んだことがあり、その時もひとりの少女の丁寧で繊細な心理描写に引き込まれたけど、
今回紹介する『リリィの籠』もすっごく良かった!

こちらの本は、女子高がテーマの短編集。

読んでいるとかつて女子高生だった自分が、いつの間にか横にいてるような感覚になる。

体育終わりの更衣室の、みんなの制汗剤が混ざった香りや、
授業後部室に向かうまでの渡り廊下に降り注ぐ柔らかな陽の光や

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12月読書感想文:むらさきのスカートの女/今村夏子先生

12月読書感想文:むらさきのスカートの女/今村夏子先生

12月の読書感想文は何を書こうとずっと悩んでいた。
年末やクリスマスにちなんだ本の方がいいのかな?だったり、2022年最後の読書感想文だしどういう本がいいのだろうとう~んう~んと考えていると、もう年末だ。

あれもこれも紹介したい!と候補がたくさんでたなかで、今村夏子先生の「むらさきのスカートの女」を選んだ。
いくつも候補の本が頭に浮かぶなかで、毎回頭にチラチラと姿をみせてくる。
それほど面白かっ

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