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トランスパーソナル心理学前夜。社員研修などでよく聞かされる「マズローの欲求の階層説」の真の姿とは?『フワッと、ふらっと、トランスパーソナル心理学Ⅱ』

『フワッと、ふらっと、トランスパーソナル心理学Ⅱ』


1. キューブラーロスの5段階モデル


 誰しもにも訪れてしまう悲しみ。

 それが「喪失体験」です。

 離婚・失恋・死別・破産・失業・病気等の体験です。

 引越し・婚約・結婚・卒業・進学・就職・昇進等も、喪失体験なのですが、

これらは新しい家、新しい配偶者、新しい職、新しい学校、新しい役職等による新鮮さにより、喪失感が薄れる場合もあることでしょう。

 しかし、感受性豊かな人は、そのような一般的に喜ばしいとされる場面でも、

例えば、引越し前の家のことや前の職場の人達を懐かしみすぎて憂鬱になったり、マリッジブルーになったり、

あるいは、新しい生活に対して、不安を抱いたり、

少し落ち着いたときに「5月病」になったりして、

離婚等の場合と同様に、深い喪失感に駆られる場合もあります。

 ただ、そんな喪失感の中に浸りきり、

絶望の底にたどり着いたら、苦悩が消え失せ、

「諦め」

(この言葉にはマイナスイメージがありますが、本来は「事物を明らかし、真理を悟る。」という意味の仏教用語です)

の境地に達するとキューブラーロスはいいます。

「人生とは諦めの連続です。人生とは諦めであり、諦めこそが人生です(キューブラーロスの言葉)」

という、境地に達するとのことです。

(エリザベス・キューブラー=ロス(1926年7月8日 - 2004年8月24日)はアメリカ合衆国の精神科医で、受容に関する「キューブラー=ロスの5段階モデル」を提唱した人物です)

 ただ、このような境地に達するためには、

キューブラーロスによると、

① 否認(喪失を認められない)

② 怒り(なぜ、私だけがこんな体験をさせられるのだ。という怒り)

③ 取引(なんとかこの状態から救ってくれ。と天に祈ったりする)

④ 抑うつ(ショック状態、極度の緊張状態が継続したことによる心身不調となる)

⑤ 受容(運命との闘いを止め、運命を受け入れ、もがき続けることから開放され、静かで安らかな気持ちとなる)

という、つらい5ステップを経る必要があるとされています。

 キューブーラーロスのいう受容とは、運命との闘いを止め、運命を受け入れ、もがき続けることから開放され、静かで安らかな気持ちとなるというものです。

 否認から受容に至るまでの期間は、

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