マガジンのカバー画像

感想ログ

21
本の感想まとめ。カバー写真は所属サークルHYGGEの合同誌。
運営しているクリエイター

記事一覧

OMMで見つけてね。 文学フリマ大阪の朝

OMMで見つけてね。 文学フリマ大阪の朝

文学フリマ当日。
会場に向かう電車の中で必ずと言っていいほど自作詩集『私の古い言葉たち/寝惚草子』を読み返す。

初めて参加した文学フリマが2018年9月9日の第六回大阪で、この時は『寝惚草子』を和綴手製本として頒布した。
あまりに手作り感満載すぎて全くはけず、私の手元の在庫も処分したので、もはや幻の一冊である。

翌年2019年1月20日の第三回京都で、現行の『私の〜/寝惚』の初版を頒布。
これ

もっとみる
9月8日は文学フリマ大阪 え-19にいます。

9月8日は文学フリマ大阪 え-19にいます。

一昨日までで『7年後に100年前のチェコ語の日記を翻訳する初学独学者の記録 2023プレ』エッセンシャル版の連載が完了。
マガジン化しているので、今後の更新する記事と合わせてお楽しみください。

明後日9月8日の文学フリマ大阪12では、会場であるOMMビル 2FのA・B・Cホール内下記マップ位置におります。 

この全体図の

左側。here.

HYGGEのメンバーと交代で店番してます。

HY

もっとみる
9月の読書記録など

9月の読書記録など

月初の文学フリマ大阪が終わって以降、脱力傾向にあったけれど、少しずつ力を取り戻している。文フリに向けての創作・編集・当日の活動と大きなアウトプットですっかり空っぽになったのだ。

おかげで、先週今週と大変にインプットが捗った。読書も資格勉強も買い物も、私には同列のインプットである。

イェジー・コシンスキ「ペインティッド・バード」、二階堂奥歯「八本脚の蝶」、スティーブン・キング「書くことについて」

もっとみる
文学フリマ大阪 御礼

文学フリマ大阪 御礼

久しぶりのイベント、久しぶりの遠出で昨日はあっという間に寝こけてしまった。

1日経って、というタイミングですが、文学フリマ大阪に参加された皆様、お疲れ様でした。そしてHYGGEのブースにお立ち寄りくださった皆様、ありがとうございました。

文学フリマ大阪は、運営Twitterによると大きな事件もなく無事に終了した模様。

このまま何の問題もなく時が過ぎ、次回の開催につながることを切に願っています

もっとみる
神さまを待っている / 畑野智美

神さまを待っている / 畑野智美

希望のある終わりを迎えた主人公を、もう私は羨ましいとは思わない。それは、私の成長であり、物語を真正面から受け止める若さを失ったということかもしれない。小説の始終を「これは創作だから」と割り切り自分への負荷を軽減する一方で、物語の結末が「一人でも多くの人の希望になりますように」と一読者の立場として願っている。

これは、貧困女子の再生の物語ではなく、人間関係への不信からの再生の物語だ。

主人公の愛

もっとみる
おいしいコーヒーの入れ方 Second season  Ⅸ ありふれた祈り 村山由佳

おいしいコーヒーの入れ方 Second season  Ⅸ ありふれた祈り 村山由佳

待ち焦がれた最新刊が、最終巻で、四半世紀の恋が、ここに完結した。

私がおいコーに出会ったのは、高校生の時。図書室の司書教諭から、

「ほろほろの砂糖菓子のような」

といって勧められたのがきっかけだった。

寝ても覚めても恋愛ごとに飢えている JK には絶大なパワーワードだった。この推薦言葉は、その後、今日に至るまで、いや、今後もおいコーの表紙を見るたびに、私の「おいコーとは」を表す一言として刻

もっとみる
謎の毒親 姫野カオルコ

謎の毒親 姫野カオルコ

意識しているわけではないけれど、多読していると似通った雰囲気の作品を手に取っていることが多い。一定の感情階層に浸ることで、多読が原因で起こる混乱を無意識に避けているのかもしれない。

先日記事にした「隠された悲鳴」に続き、これも、ノンフィクションのようなフィクションだ。ノンフィクションに基づいたフィクションと言った方がより正しいのだろうか。姫野カオルコさんの実体験を基に、姫野カオルコさん自身が小説

もっとみる
隠された悲鳴 ユニティ・ダウ

隠された悲鳴 ユニティ・ダウ

『事実は小説より奇なり』
そして、『人間が想像できることはたいてい現実化できる』

この二つの言葉は、これまでの私の本読み人生を通し、間違いないだろうと思っていることだ。

小説というものは、そのほとんどがフィクション、創作であって、現実にあったことではなく、平たく言えば作者の頭の中で生まれ、練られ、作り物として世に放たれたものである。

殺人鬼が暗躍するサスペンスも、夜眠れなくなるホラーも、星空

もっとみる
bechoriのカラフルハンドレタリング シンプルで美しい手書き文字レッスン

bechoriのカラフルハンドレタリング シンプルで美しい手書き文字レッスン

大阪か、京都で、レタリング用のモノライン(Bスタイルと呼ばれる丸いラインの書ける付けペン先)を購入できる場所はないだろうか。

御存じの方、コメントでお知らせいただけると幸いです。



文房具が好きで好きで、文具の仕事をしていた私の好みど真ん中の一冊。

レタリング技術の指南書としてもとても分かりやすい。
フルカラーで、サンプル掲載されているレタリングデザインもとても美しい。
説明文は簡潔で、

もっとみる
ゴッホ展 孤高の画家の原風景(2005年)図録 / サポートによる購入品報告

ゴッホ展 孤高の画家の原風景(2005年)図録 / サポートによる購入品報告

まずは御礼先月から今日に多くの方がサポートや記事購入をしてくださっている。繰り返しにはなるけれど、なんど言っても足りないので言わせてください。

本当にありがとうございます。



さて、記事下に表示されるサポート依頼の欄に、

いただいたサポートは書籍購入費用として使用させていただきます。サポートで購入した書籍は記事でご報告します。

と明記した。きちんと、有言実行を果たしたい。

使い方を考

もっとみる
文身 岩井圭也

文身 岩井圭也

2年前にデビュー作を読んで以来のファンである。

『文身』は「最後の文士」と呼ばれた作家の物語。私小説作家となったことで翻弄される、兄と弟とその家族の人生の物語だ。

物語の内容に言及すると、あらすじ解説じゃなくてネタバレをしてしまうのが私の常なので、これ以上はしない。

岩井圭也さんの作品の真骨頂は、悲しみの場面の情景描写の美しさだと思う。今回も、しっかり心臓をわしづかみにされてしまった。感服。

もっとみる
ストーリーを語りだす 世界のデザイン・マップス

ストーリーを語りだす 世界のデザイン・マップス

昨日、書店で一目惚れをして購入した。

原書はドイツの出版社・ゲシュタルテンから出ているとのこと(表紙裏の内容紹介より)

実在する街町や国の地図ばかり集めた作品集なのだけれど、デザインに重点を置くことで、地図というものがこれほどに個性豊かで物語性にあふれた作品に仕上がるのだということに驚く。もう、一度開いたら夢中になってしまって、ページを繰る手が止まらない。一周見るだけでは止まらない。

緊急事

もっとみる
2020上半期 購入本 良かった9選

2020上半期 購入本 良かった9選

数年前からエクセルで家計簿をつけるようになって、関数なども覚え少しずづ使いやすくバージョンアップして、昨年あたりからようやく一つの形になった。

一年を通して支出品目ごとに金額を比べられるようにしているんだけれど、毎年ダントツで多いのが図書費。2020年上半期で使った額を発表しても仕方ないので、買って満足度の高かったもの9冊を紹介したい。

以下、大体購入した順番。

野口光の、ダーニングでリペア

もっとみる
ラブレターを送りたい 長田弘さんへ

ラブレターを送りたい 長田弘さんへ

敬愛する作家が二人いる。

一人は既に語り散らかしている江國香織さん。

もう一人は、長田弘さんだ。

2015年5月3日に惜しくも去られてしまった。75歳という年齢は、今時早すぎる死であるといえるだろう。

お亡くなりになる直前にみすず書房から全詩集が出ていて、「ああ、欲しいな、欲しいな」と思っているうちの、突然の訃報だった。訃報を聞いて「どういう意味なのか直ぐにわからなかった」ということが本当

もっとみる