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赤裸々なブックレビュー

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2024年10月の記事一覧

「失われた時を求めて」を巡る冒険⑩

「失われた時を求めて」を巡る冒険⑩

↓を読了しました。

巻末の訳者あとがきに「全巻読破をめざす読者の多くが挫折する難所」と記されています。確かに。

一方で、同性愛者のシャルリュスが美貌のヴァイオリン奏者・モレルに振り回される姿が生々しく、気づいたら没頭していたのも事実です。一緒に過ごせると楽しみにしていたのをすっぽかされて涙目になり、怒りに震えながら手紙を書くくだりとか。

いまならLINEだろうし、私の学生時代はメールでした。

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「予期せぬ形で叶うこともある」と教えてくれた一冊

「予期せぬ形で叶うこともある」と教えてくれた一冊

まさかです。

新日本プロレスの社長兼エース、棚橋弘至選手が2026年1月4日で現役を引退すると発表しました。あと1年2か月。

年上である彼の奮闘から「俺も頑張ろう!」という活力をいただいてきたひとりです。何度かnoteでも取り上げさせていただきました。

ずっと固定されていた「プロレスラー=馬場か猪木」みたいなイメージはかなりアップデートされ、いまでは棚橋選手の名前を真っ先に挙げる人も多くなっ

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某少年マンガを読み返したら「経済」に関する教訓を得られた

某少年マンガを読み返したら「経済」に関する教訓を得られた

都内某所の本屋で働いています。

だからというわけでもないのですが、様々な書籍を読んできました。

読了した本のなかには二度三度と挑み、ようやく何かを掴めた名著がいくつかあります。海外の古典文学や哲学書など。今年の頭に再読したドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」もそうでした。

以前にも書きましたが、ニーチェ「ツァラトゥストラはこう言った」は下巻で挫折したままです。「永劫回帰」という結論をいいと

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ハードボイルド書店員が「大学生の頃に夢中になった」一冊

ハードボイルド書店員が「大学生の頃に夢中になった」一冊

読み終えた本をなかなか手放せない人間です。

書棚はとっくの昔にパンパン。床や机に積み、ダンボール箱へ詰め込んでいます。

そのなかの一冊を久し振りに再読しました。↓です。

刊行は93年。91年に出た単行本の文庫版のようです。

日本社会及び日本人の問題点を指摘し、毒舌でぶった切るコラムを集めたもの。大学生の頃に出会い、真実を見抜く眼力に打ちのめされ、夢中になったのを覚えています。

しかしいま

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