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縣青那 (あがた せいな)
2025年2月8日 21:41
空に浮かぶ風船のような言葉の端をつかまえてゆらゆら ゆらゆらと漂わせていた真っ青な虚空に浮かぶ言葉たちはいかにも儚く 頼りなく手を離してしまえば すぐに弾けて消えてしまいそうでつかまえたままのこの手のいのち刹那と言うには長過ぎて悠久と呼ぶには足りなくてそれと呼ぶにふさわしい言葉は見つからずせめて美しい言葉で呼んでみたくて
2025年2月6日 16:37
ひとりになりたいなんて、ひとりじゃないから言えることなんだある人が言ったその言葉は 時間をかけて 心に染み込んでいったひとりになりたいと思うのはごちゃごちゃした邪魔な考えを整理したりこんがらがってしまった気持ちの糸の結び目をほどこうとしたりそんな 自分だけにしか出来ない作業をやりたいと思うからそしてそれをやりたいと思うのは戻ってくる場所 還れる人がいるからなんだ
2025年1月22日 21:57
その夜 月はまっすぐこちらを見ていた弱り切って伏せるわたしを試すようにお前いったいどうしたのと 月は言わなかったただ 冷ややかな視線を投げてこちらを眺めていた思えば 力みなぎるときも 息せき切って走るときにも月は 同じようにこちらを見ていた感情を込めず 何を語りかけるでもなくそう いまこのときのように だから この冷ややかな月に向かって誓う負けないよとこ
2025年1月15日 12:38
色んな意味で、良くなっているのだとは思う長い、薄暗いトンネルを ようやく抜けたような気分身の周りの 色々も、段々整っていくだろうそしていつかは、この心の状態も……そうすれば、少しずつ軽くなって、柔らかくなって、自分が自分の体の中にいることを もう少し心地良く感じられるようになるのかもしれない自分が自分の見るもの、触れるもの、感じること、書くこと、描くこと、表すものに こ
2025年1月14日 19:42
とろとろと 流れ出る思念肝で炙られ 煎られ やがて細い煙となって彼方むこう岸へ旅立つつくり手の泉は 日照りのせいで乾きぎみ目を閉じて たゆたう想いに身を任せようとろとろと 流れ出る思念を汲み上げてつくり手の泉が満たされるまでいまはしばし
2024年12月27日 21:53
ずいぶん細くなっていた光の糸がとうとう ぷつんと切れた当然といえば 当然のことこちらから光を送らなくなって相当 久しいのだからけれど いざ光の供給と循環が無くなってみると 思いがけなく重い闇が訪れた知らなかった こんなに重い闇があるのだということをわたしは一日 地の底を這い回ったもうどうでもいい この体から抜け出して 魂だけになって 何処かへ飛んで行ってしまいた
2024年12月13日 13:37
昔はもっと手ごたえのある文字を書いていただろごまかしの無い 少なくとも自分の心にはそれが いつからか変な風になっちゃったあなたは あなたでない人になりたがり書く言葉や文字-―そう、文字までも!――は変わったあなたは別の人のように外の世界を見、誰か知らない人のように話し、振る舞った誰かのような言葉を使い、借りものの思考法で 全ての人とつきあったそして今 この通りだ
2024年11月23日 19:54
いったい どうなってしまうんだこの世界は鈍重な緞帳放縦な訪問笑い椅子の公開処刑閉ざされつつある居住空間はやく逃げださなきゃはやく行動を起こさないともうとっくに手遅れだよだれひとりとして篩にかけられず散り散りになる 蜘蛛の子たちただ対岸に 目を据えて来るべき日に 震えている
2024年11月20日 18:59
さあ ダンスを見せてくれよくないものを燃やしながら自在に踊る炎何も残らないほど 擦りつけ合った日常を残して ここに来た日頃は禁止されてる火遊びを思う存分 するために頬を炙るぬくもりは きっといま世界中でいちばん身近く 親密だこれまでの出来事や 歩んできた道のりをいっそ こんな風に燃やしてしまえたらどんなに楽になれるだろうか燃えろ燃えろ もっと見せてお
2024年11月1日 12:59
「大人」と呼ばれる存在をまだずっと遠い 空の上のもののように思っていたときそれは全てにおいての見本であり規範であり 確固とした基盤だったいつかその「大人」というものになれば抱えている問題のほとんどは解決すると何があってもびくともしない 怖いもの無しになれると漠然と信じていたけれどいま その「大人」と呼ばれる存在になってみて決してそうではないことに気づいた
2024年10月24日 21:32
古い思い出を引っ掻き回して歩んできた道程の上のひとつひとつの標に触れたかつて達成したと喜んでいたそれらの低い山々は見るも無残な姿になり果てていたボロボロに欠けてしまって 何だったのか判別も出来ないもの風化してしまって 土台しか残らないもの見るたびに 脳の中が蒼ざめたけれど 古い思い出は 少しずつ 話しかけてもきた気に入らないものは 捨ててもいいよそし
2024年10月22日 14:03
夕べさんざん叩いたドアは 結局開かずに終ったひらひらと 風に吹かれて 枯れ葉が落ちる誰も逆らえない 自然の摂理だ落ちた枯れ葉はもう枝には戻れない長い冬を越えて 春を待ち再び生まれ変わるまでだからもう そっとしておいて乾いた瞳で 貴女は言うDon't disturb 煩わされたくないのよそんな気持ち誰にも言えない 誰もわからない
2024年9月23日 17:20
霧のなかをひとり前も見えずに疾走するそのなよやかな身体をたくましき獣にあずけどこへ辿り着くのかもわからぬままただ ただ 前へ顔を打つミスト 匂い立つ風獣との絆を全部力にして前も見えぬ 霧のなかを全力で走り抜ける
2024年9月8日 18:43
どこかに行ってよと あんなに願ったはずなのに いなくなってしまったらとたんに寂しくなったわかってたはずなのに止められなかった素直じゃないわたしの目にはまぶしすぎたの あなたのきらめき