シェア
縣青那 (あがた せいな)
2024年11月23日 19:54
いったい どうなってしまうんだこの世界は鈍重な緞帳放縦な訪問笑い椅子の公開処刑閉ざされつつある居住空間はやく逃げださなきゃはやく行動を起こさないともうとっくに手遅れだよだれひとりとして篩にかけられず散り散りになる 蜘蛛の子たちただ対岸に 目を据えて来るべき日に 震えている
2024年11月20日 18:59
さあ ダンスを見せてくれよくないものを燃やしながら自在に踊る炎何も残らないほど 擦りつけ合った日常を残して ここに来た日頃は禁止されてる火遊びを思う存分 するために頬を炙るぬくもりは きっといま世界中でいちばん身近く 親密だこれまでの出来事や 歩んできた道のりをいっそ こんな風に燃やしてしまえたらどんなに楽になれるだろうか燃えろ燃えろ もっと見せてお
2024年11月1日 12:59
「大人」と呼ばれる存在をまだずっと遠い 空の上のもののように思っていたときそれは全てにおいての見本であり規範であり 確固とした基盤だったいつかその「大人」というものになれば抱えている問題のほとんどは解決すると何があってもびくともしない 怖いもの無しになれると漠然と信じていたけれどいま その「大人」と呼ばれる存在になってみて決してそうではないことに気づいた
2024年10月24日 21:32
古い思い出を引っ掻き回して歩んできた道程の上のひとつひとつの標に触れたかつて達成したと喜んでいたそれらの低い山々は見るも無残な姿になり果てていたボロボロに欠けてしまって 何だったのか判別も出来ないもの風化してしまって 土台しか残らないもの見るたびに 脳の中が蒼ざめたけれど 古い思い出は 少しずつ 話しかけてもきた気に入らないものは 捨ててもいいよそし
2024年10月22日 14:03
夕べさんざん叩いたドアは 結局開かずに終ったひらひらと 風に吹かれて 枯れ葉が落ちる誰も逆らえない 自然の摂理だ落ちた枯れ葉はもう枝には戻れない長い冬を越えて 春を待ち再び生まれ変わるまでだからもう そっとしておいて乾いた瞳で 貴女は言うDon't disturb 煩わされたくないのよそんな気持ち誰にも言えない 誰もわからない
2024年9月23日 17:20
霧のなかをひとり前も見えずに疾走するそのなよやかな身体をたくましき獣にあずけどこへ辿り着くのかもわからぬままただ ただ 前へ顔を打つミスト 匂い立つ風獣との絆を全部力にして前も見えぬ 霧のなかを全力で走り抜ける
2024年9月8日 18:43
どこかに行ってよと あんなに願ったはずなのに いなくなってしまったらとたんに寂しくなったわかってたはずなのに止められなかった素直じゃないわたしの目にはまぶしすぎたの あなたのきらめき
2024年8月28日 18:46
何を発しているのきみの周りは柔らかい気でいっぱいまるっきり 小春日和の縁側だ天国のようなお腹は柔らかい毛でいっぱいそこは〝蚤の高天ヶ原〟もちろんきみのお腹に蚤なんていないけど蚤たちはきっと 死んだらそんなところに行きたいんだよ 極楽浄土だそう言って笑う僕らを横目で見ながらきみはいつもの通り クールにキメているんだ笑わないのに ものも言わないのに何を発
2024年8月19日 16:44
書くということそれはすなわち すべて バランスだそのときの きみのこころの ありようを如実に表している書くということ文字は こころに正直曲がったり 震えたり使う道具によって きみの字も変わるそれだから書くということはきみにとって とても大事だ
2024年8月10日 15:01
浮かび上がって来たんだねアイデアと共に 役に立ちたいと思ってどうしてなのか説明できないけれど、何の理由もなく好きなものがある本と文房具それと香り大好きな 赤
2024年8月9日 11:50
今年もあの日が廻ってきた日本じゅうが手を合わせるかなしみと 怒りの浄化を祈る日がああ どうか一瞬の閃光に 何もかも持っていかれてしまった 激しさと 悲惨さと 痛みと汚辱や 辛酸や 無念や 呆然やすべてを籠めた長い時間の 忍耐も少しでも やわらかくとけて光にとけてゆきますように年に2回 わたしたちは手を合わせて 祈る
2024年8月5日 15:25
時折、こういった何の脈絡も統一性も無いモノや考えに取り囲まれて生きているのが自分なのではないかなあ、と思うことがあるもう少し、言葉、思考、そして筆記具を丁寧に、大切にこんな風に、書くことと読むことだけに1日を費やせる暮らしを手に入れたい
2024年7月31日 14:42
窓を開けて 扇風機つけて夏の午後を味わう酷暑の海を渡ってきた やわらかく たわむ風 姿の見えぬ 蝉たちの伴奏今 この季節の 最大演出横になって 目を閉じる裸足の足を投げ出せば するり撫でられる 解放感何のために生まれてきたのこの辛さがあるゆえの 快楽よそれを味わうために 生まれてきたのよちいさな声が 聞こえてくる夏の午後を 味わうことは生きてることを
2024年7月30日 15:20
完璧に 封印されているもの決して美しいとは限らない使い古された時代ものであるかもしれないリフィルは無い 役目が済めば それで終わりけれどそれは 私の手になじみ触れている時も しまい込んでいる間も常に変わらず そばにあるだから大切に少しずつ使ってできるだけ長く ともに過ごせるようにする理由なんてない ただそれは私の中に完璧に 封印されているものだから