両手に抱えた分厚い冒険
新しい本を手に入れる。
それは新たな未知の冒険を手にしたのと同じことを意味する。
つまり本が厚ければ厚いほど長く壮大な冒険が私を待ち受けていることを意味していて、だから同じ内容でも上下巻に分かれているらしい日本語訳の『白痴』(F・M・ドストエフスキー)よりも一巻完結で約五センチメートルの厚さでずしりと重さを実感できるチェコ語訳の『白痴』のほうがロマンがあると勝手なことを思っているし、確か京都で大学生をしていた頃に買って今も実家のどこかに収納されているはずの『細雪』(谷崎潤一郎