マガジンのカバー画像

珠玉集

959
心の琴線が震えた記事
運営しているクリエイター

記事一覧

【小説】爪痕を見よ

 まず、史奈に言いたいのは、自分の人生が狂わされた、こんなはずじゃなかったと思うなら、すべて俺を恨め。ドイツから帰国せざるを得なくなり、ピアニストとの婚約が破談になったのも、親父の所為じゃない。親父は勘当同然に反乱分子を追い出しただけだ。  俺さえ真面なら、社交的なお前は人生を自由に選び、とうに結婚していたと思う。未だ独身で子供もいないと知っているのは、人伝に聞いたからだ。  これを史奈が読んでいる今、俺のことは全国ニュースになっているかもしれない。できるだけ大きなニュース

自らの俯瞰や客観視の精度を高めたい

 内観や客観視には限度があると思っていた。 自分は冷静に考えていると思い上がっているんじゃないか、疑問と自罰的な考えが付きまとい、 だからと言って、他者へ意見を求めて、本当のことを言ってくれるかといった疑問も拭えない。  他者も良心や良識があり、ブレーキを掛けながら言葉を選ぶと思う。 少なくとも、私はそうだ。  信用と仲違いはしない前提があっても、 「これを言ったら傷つくんじゃないか」 やはり、考えてしまう。自己保身に走る。  しかし、「自分を知りたい」探求するには、

【日記】正義を振りかざし他者を傷つけない

 自戒と自省と自制を込めた忘備録です、他者を批判・非難する意図はありませんので、御理解いただきますようお願いします。  2月16日(日)、「小松良佳先生」が自費出版した漫画を購入するためにコミティア151(東京ビッグサイト)を訪問してまいりました。人込みを掻き分けブースに辿りつき、無事に購入させていただきました。  大変嬉しく有難いことでした。が、何ということでしょう。作品のタイトルが変わっていました。  原題 「エルフ夫とドワーフ嫁」  新刊 「旅エルフとドワーフ花嫁」

雑記|紅に染まるかまいたちの宴。

今朝、起きて鏡の前に立ったら、鎖骨の下あたりに身に覚えのない切り傷があった。 中学生の頃、やたら「かまいたち」の話をする友人がいた。 彼女は部活のランニング中、ふくらはぎに小さな傷がついたときも「かまいたちにやられた!」と騒いでいた。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 数年前。内職というものを一度経験してみたくて、折り紙でパーツを二千個作るバイトをした。 その時に使った、通常の四分の一サイズの折り紙は、今も大量に余っている。 単調な作業は嫌いではない。 慣れてくると勝手

ペラペラ語講座

何でもペラペラ喋ればペラペラ語です。なんのしばりもありません。 「ペラペーラ」 「ぺっぺペラペーラ」 【応用編】 「ペっラーリ・ペりラリーラリーリリ」 お気付きかと思いますが、後半「ぺ抜き」になっており、ぺの代わりに「り」に置き換えて言語として成立させております。ただぺらりぺらりいっておりますが、意味は「本当にありがとうございます」と言っているつもりです。 こうしてみると、ペラリペラリ語講座でした。薄っぺらな内容に厚みのない音の並びのリズムにのせて、発声するのをおすす

ザマス語講座

はじめて連続投稿します。とくに意味はないので気軽に読んでもらえたら嬉しいです。 とくになんのしばりもありません。気分がいいときに、語尾に「ザマス」をつけるだけザマス。 「ちょっとそこまで行くザマス」 「おいしいザマス」 【応用編】 「もう寝るザンス」 使用頻度は圧倒的、「ちょっとそこまで行くザマス」 夫が言うには「ザマス」を現実の世界で使っている人をみたのは、妻である私がはじめて。それまでは、2次元の世界でスネ夫のお母さんが発する「スネちゃま」が類語と思ってきた。と

ゆる日記|この無駄はいつか素敵な音楽を奏でる。

タイトルに意味はない。 だけど、意味が無いからといって書いていけないわけではない。 今日はそんな日だった。 (ここからはやや小声) 互いにフォローしているわけではないからここに書いても気づかれないと思うけれど、今日はあるnoterさんが営まれる豆料理と本のお店に足を運んだ。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 日によって異なる営業時間。(調査済み) 今日は二時からOPENということで、最寄り駅に着いてから一時間半ほどカフェ・ベローチェで本を読みながら待った。 時間になり、G

バレンタインに宝石を

「甘いもの、あなた」 ってミムラさんに笑われて、さいしょ意味がわかんなかったの。 たまたま相席になった社食でさ、親しくはないけど無言で過ごすのは憚られる程度に面識ある先輩を前にしてさ、気ぃ遣って喋りかけた訳よこっちは。 仕事の悩み相談という体で、まあ愚痴みたいな話を? 愚痴って言っても、周りをサゲちゃうと後々面倒になるから「あたし頑張ってるけど上手くいかないんですよね」系の、自分サゲタイプの愚痴ね。 頑張ってるけど上手くいかない。は嘘じゃないから時々はきだしたくなるし

https://bsky.app/profile/sayuri0105drawing.bsky.social ペン画専用アカウント作りました よろしかったら覗いてやってください 青空アカウントお持ちでしたら繋がってやってください 活動名はSayuri です

甘いもの好きゲンさんのうわ言#短編小説(約2200文字)

 甘いもの好きのゲンさんが、救急搬送された。  救急隊からは直ぐに、かかりつけの病院に連絡がきた。救急車の到着を待ち受けていた医師と看護師がカルテを開きバタバタと検査治療方針を組み立てながら、治療を開始した。  意識不明の原因には、いくつかある。それを想定しながら鑑別診断し検査を組み立て、治療にあたる。  指導医は、患者情報を手短に言った。 「患者は心臓冠動脈三枝病変、心筋梗塞の既往あり。冠動脈はボロボロ。糖尿病あり。当院に通院中だ」  治療を進めながら、一段落したところ

くまのぬくぬく日記 17

前のぬくぬく日記から随分と経っていて、もう何があったのか完全に忘れてる。 (写真は幸運にもゲットしたMarmaladeさんの手作りクッキー) 【シースクリームが、んまい】 ピリカさんと納豆ご飯さんと、和気藹々とした女子トークを先日配信(なおメンバーシップ内では女子恋バナトーク中。私はバレンタインでも恋より鯉←) そこで各々のアルバイトの話題になった時にピリカさんが放った一言。 「シースクリームいかがですかー?」 シースクリーム......?? 気になる......

「ミミミーミ・ミーミミ」のち、カタルシス。

拙作「にじいろの壁」をこーたさんに朗読していただきました。 ピリカ文庫に参加させていただくのは初めてで、お話をいただいたのは一月の半ばでした。 ちょうどぎっくり腰をやった二日目で、床に寝転がる以外やることがないときでした。なのでお題をいただけて本当に嬉しかったです。床に伏したまま、すぐに書きました。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ わたしは普段から、書いたものは何度も声に出して読みます。さらには読み上げアプリを使って数回聞くようにもしています。 つまり、読みやすさにはある

【創作】火曜日のネオンテトラ

「先生、今月の、とても良かったです」 担当を外れて1年以上経つというのに、鯉渕賢太郎の書斎に来ると妙に落ち着く自分が嫌になる。 ここは紙とインクと男のにおいがする。 部屋の壁面に設られたやたらと大きい水槽からは、こぽこぽと控えめなフィルター音が聴こえてくる。 ライトを浴びて光るネオンテトラ達が、揺れる水草の合間をたゆたう。 「ナオがそう言ってくれるのが一番嬉しい」 デスクチェアを軋ませながら、細い目がますます細くなる。 この笑顔を、かわいいと思っていた頃もあった。

エッセイ: 寄り添いはときに危険なもの

 甘いもの、甘言だな。 以下、【閲覧注意】とさせていただく。 けして際どい言葉や表現は使ってないけども、 追体験をする人がいると想像して。  ある接待をした被害者が、3月に会見をする情報が流れた。  彼女は週刊誌へ告発して以来、フォトエッセイの出版やInstagramのコメント欄を開放している。    対する関係者であろう芸能人は引退してしまい、関わったテレビ局も深夜に渡る長時間の会見を開くなど、世論を賑やかにしていた。  被害者が会見する予定に伴い、ネット上では非難轟