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珠玉集

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心の琴線が震えた記事
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言葉柄に酔う

朝、報道番組で谷川俊太郎さんの訃報に際し、 過去のインタビュー映像を目にした。 テレビの中の谷川先生は、 詩とは不思議です。短い言葉でね、時々理由もなく、人の胸をぐっと掴んでしまうんですよ。 とおっしゃっていた。その後に、 今はね、言葉のインフラが起きているように感じています。言葉が氾濫して薄っぺらくなっているような。フェイクがまるで本当のように認められてしまうとかね。と続けた。 一言一句このままではない。ニュアンスとして受け止めてほしい。 車の中で、谷川先生の言

谷川俊太郎さんのこと

遅ればせながら、数日前に詩人の谷川俊太郎さんが亡くなられたことを知った。 どなたかも書いておられたが、氏は、このままずっと居てくれるような気がしていた。 まだ日本に住んでいた頃、とある美術館を訪れた際、周囲から異彩を放つかのように、眼光の鋭い御老人を見かけた。 谷川俊太郎さんだった。 すぐに気づいたが、静かに椅子に座って居られるだけなのに、その圧倒的な存在感に気圧されて、とても声などかけられなかった。 その日は、息子さんである作曲家・谷川賢作さんが音楽を担当し、朗読会が開か

味わう本屋さん #本屋さん開店します

読めば読むほど体重が増していくのは、私だけでしょうか。 たとえばトーベ・ヤンソンの『ムーミン谷の冬』を読んで、「さかなのスープ」の作り方を検索したり。 せやま南天さんの『クリームイエローの海と春キャベツのある家』を読んで、春キャベツを待ちわびたり。 秋谷りんこさんの『ナースの卯月に視えるもの』を読んで、何度くら寿司に駆け込んだことか(※作中に登場するのはくら寿司ではないけれど)。 KaoRu IsjDhaさんの『その名はカフカ2』を読んで、「おばあちゃんちでしか見たことないや

息子の体の半分は崎陽軒のシウマイでできている

3歳になったばかりのうちの子は違いのわかる男だ。 食材や調理にこだわったものをしっかり選んで食べる。もしこれが格付けチェックだったら、浜ちゃんは確実に息子のいる部屋のドアを開けるだろう。 小さいお子さんのいるご家庭なら分かると思うが、出先で子供の”お腹空いた攻撃”が発動すると本当に大変だ。それが電車の中とか公共の場なら大ピンチ。そうならない為にも、各ご家庭でお菓子やパンを準備して出かけるだろう。 そしてうちの場合それが崎陽軒のシウマイだったりする。 神奈川県に住んで10

創作への姿勢

先ほど確認したところ、noteのミッションは 「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」 であった。 これまで存在していた「サポート」機能が「チップ」なる単語に置き換わっている。少なくとも言葉が置換されている。その先はどうなっているか、制度や何かのプロセスが変更されたかどうか、わたしは知らない。 チップ、だそうである。 この文章を読むあなたは、チップを誰かに渡したことがありますか。チップを渡したことがあれば、相手は誰ですか。尊敬する作家ですか。それとも創作を応援した

息苦しくなったら空を見上げよう。

人の反応や言動に疲れてしまう全ての人へ 投稿5時間しか経っていないのに100スキも ありがとうございます💞 それだけ近い感覚を抱く方は多いんですね。 言葉が多く、強い方ばかり蔓延る世の中で 何も言わずに黙して感じている人がいます。 誰かの教えを乞うことは良いことですが 本当の深いところでは誰も 誰かの先生にも生徒にも本当はなれない。 noteでもSNSでも世間でも色々な人がいます。 繋がりを大切にしながらも、 時には繋がりが密になってくると 心の距離感を

ショートショート「別れ」(再掲)

わたしは猫である。 いつだったか散歩の途中でばったり出会った人間の雌に世話をさせている。初めの内は食事の用意をさせていただけだったが、離れる時になるといつも寂しそうな顔をするのでその人間のねぐらまで送ってあげた。そうすると喜ぶようなので、いっそのこと一緒に生活してみるかと、その人間のねぐらに居ついた。するとやはり人間の雌は大変喜んだ。 その人間の雌の名前はタカコだ。本人がそう名乗った。 キゾクのキと子供のコでタカコ。「完全に名前負けで、みんなにとって貴い存在どころか邪魔者

それでも私は選ばれない

手紙が届いた。 いつかのりぼんで、ときめきトゥナイトの蘭世ちゃんのポーチが届いた日を思い出した。 390円分の切手を同封して、全員プレゼントに応募した。 今ならわかる。単純に購入しているのだ。 だがしかし、小学4年生の私にはプレゼントだった。 全員プレゼントは、ハズレのないりぼんの大盤振る舞いにしか感じず、感激した。 今回390円を払ってもいないのに、その手紙はやってきた。正真正銘全員プレゼントである。 この企画にコメントをした。私はこれまでめろさんのことは存じ

noteにある場所。

noteに書きたいことは徒然にあるのだけど書くのを躊躇ってしまうことが多い。 noteを始めて3年が経つが、その頃によくお見かけしていたnoterさんがめっきり減ってしまった。あの頃はコロナ禍だったし3年は案外長いのだろう。 私自身の状況も周囲の様子もやはり色々変わっている。 自分はなぜnoteを続けて行こうと思うのか。 それは、ここにある居場所が大切なものになっているから、それに尽きる。 学生時代に瞬く間にmixiが全盛となり、そのまま社会人時代も過ごしたけれどmixiをや

「意味のある偶然」のこと。

先週の日曜日、ある教会でマンドリンとクラッシックギターとコントラバスのアンサンブルが催され、そこで友人がギターを弾く姿を、初めて間近で見ることが出来ました。 いつも遠慮気味で線の細い友人の、ギターを抱くその背筋が伸びた姿は凛として、とても美しく静かな気迫を感じました。 こうやって音楽に向き合い弾き続けて来たのだと、ギターを包むように前傾し真っ直ぐに伸びた背中を見ながら、彼女の音を最前列で聴いていました。 音楽に対峙する厳粛さと、心に語りかけるような深い音色を聴きながら、何か

歪な愛に、スピッツの癒しを【1122いいふうふ感想】

 朝起きたら、俳優の岡田将生さんと女優の高畑充希さんが結婚していた。  特別どちらの方が推しという訳じゃないけれど、岡田将生さんが目の前に現れたら即一目惚れすると思うし。高畑充希さんが同じ電車に乗っていたら、きっと目で追うはず。  お二人とも、顔面が麗しいのは間違いない。ただ、私はそれ以上に岡田さん、高畑さんの演技が好きである。  岡田さんのことは、これまで「ああイケメンだなぁ」としか思っていなかった。理由はおそらく、顔が綺麗すぎたんだと思う。  私は少し垂れ目だった

前略、 noteさま

いつもお世話になっております。 私は noteが大好きです。 これからも続けていきたいです。 どうしても腑に落ちないことがあり、書きます。 チップ って、なんですか?????? 「サポート」ではなく、「チップ」にせざるを得ない理由があったことと思います。 経営、運営には事情があるのだと想像します。 が、「チップ」の文字に大きな衝撃を受けました。 「オススメ」が廃止され、「高評価」になった時も驚きましたが、無理矢理、飲み込んでいます。実は飲み込めてなくて、喉に突っかか

【紅白記事合戦2024】真っ白な髪の素敵な人

先日、ある入居者さんがご逝去された。 優しくてチャーミングで本当に素敵な女性だった。なぜか僕のことをとても慕ってくれていたその方と過ごした日々を、僕は奥さんに白髪染めされながらゆっくりと思い出していた。 ******* その方と初めてお会いした時、真っ黒な髪をされていた。入居してからもずっと髪は黒いままだった。こちらで生活を始めてから半年ほど経った頃「実は髪を染めているの」と言われた。 「もう歳だから染めなくても良いと思うけど、つい習慣で美容師さんにお願いしちゃうの。時