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何回か読みたい物

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勝手ながら、よもぎみどりがまた読みたいと思ったnoteをマガジンにさせて頂きました。 マガジンから外してほしいと思われた方はお手数ですが、よもぎみどりのnoteどれでもいいのでコ…
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#小説

小説:ペトリコールの共鳴 ①

小説:ペトリコールの共鳴 ①

【あらすじ】

妻の遥香が死去し、深い悲しみに包まれたタツジュンの前に、まさかのことが起きる。亡くなった妻の生まれ変わりのようなハムスター"キンクマ"が話しかけてきたのだ。キンクマの言葉に導かれるタツジュンは少しずつ心の重荷を下ろす。

しかし、SNSで出会った謎の女性"愛羅"が、タツジュンの生活に変化を及ぼし始める。愛羅の本性は一癖ある人物で、遂にはタツジュンを危険な状況に追い込む。

そんな中

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心が折れたわたしを救った

心が折れたわたしを救った

 読むきっかけは、単純なもの。
 
 八田零さんにお誘いいただいた企画、
「今年の一冊」に参加いたします。

 田中泰延さんがXで自身の著書に触れていらっしゃったのを見て
「どんな本を書かれているのだろう」興味が湧いた。

 田中さんは上田豪さんや前田将多さんとYouTubeでも活動されて、失礼ながら出版よりも動画の方を先に知っており、動画はとても楽しみ。

 気になるアーティストが音楽活動以外に

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【カオリ】最終門番

【カオリ】最終門番

誰かの命を憂いては
我を忘れて駆けつけて
そんな時間
そんな強さ
望み望まれはしたけれど
思い返しても
僕のそれは
最初から
産まれ落ちた場所が最終地点
なのに
望めば望むほど
僕の周りは逃げ場なくして
守りたい子の命縮め
果てには何も残らない
そんな僕の幸せを
人は何故だか決めてしまい
僕が逃げる道は
成りたくはない形で
それが皆様安心最高の幸せで
最悪な形なのに
何故だろう
この道に私がいるこ

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返信Wow!【ショートショート】

返信Wow!【ショートショート】

 一月ほど前のことだ。人類はついに地球外生命体とのコンタクトに成功した。異星人からと思われる電波信号を受信することに成功したのだ。

 実は,四十年以上前にも一度だけそれらしい信号を受信したことがあった。その時は,それ以降何の音沙汰もなく,受信はぬか喜びに終わっていた。やはり,この宇宙に存在する知的生命体は,我々人類だけなのか,そう考える科学者も多くいるなかで,ついに新たな信号を受信したのだった。

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小説: ペトリコールの共鳴 ⑤

小説: ペトリコールの共鳴 ⑤

←前半                  後半→

第五話 僕は人と話がしたかった
 飼い主のタツジュンが外食に連れて行ってくれる。
 
 リュックサックのポケットに入れてもらえたハムスターの僕は、地下鉄から電車に乗り換え揺られている。

 ビルが目立つ景色から、今は一軒家や駐車場や畑が目を流れてゆく。
 
 タツジュンはリュックを窓に沿わせ枕代わりに眠り、僕はメッシュのポケットから生の緑を追って

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記憶力のよいキミと物忘れがひどいボク

記憶力のよいキミと物忘れがひどいボク

────

「生クリーム買って来てくれた?」

あっ、と言ったぼくに妻の呆れた視線が向けられる。

「また忘れたの? いいよ、牛乳でなんとかするよ」
コンロに火をつけながら手際良く冷蔵庫を探り、鍋に投入。

「昔からもの忘れが多いけど、最近特にひどいよ。大丈夫?」
いつもはトゲのある口調も今日はマイルド。
だって今日は、ぼくの40歳の誕生日だ。

普段は買えない食材をワイワイ言いながら二人で調理す

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新日常 小説3

新日常 小説3

昭和54年

台風20号
本土直撃

私がまだ
母の元で
目を
離さなかった
幼少期

ママが
実家のみならず
里を
守ってくれた

忘れもしない

里は
警戒水位を
超えた

川となる
アスファルト

母と共に
非常用に
弁当を作って
2件超えの
農協へと
避難した

近いが

川の一部と
なった
玄関

私の
小さな足が
前進を
拒む

沢山の
靴が浮く

祖父は家に
残り

ママの
神棚に

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【小説】釣り舟に乗る

【小説】釣り舟に乗る

 彼女は、慎ましやかに僕の前に座っている。

 本当はたまった仕事を片付けないといけなかったが、仕事中に「久しぶりに焼肉食べたい気分。行かない?」とLINEで誘われ、あっさりと取引先から直帰することに決めた。二人で会うときはいつもお互いが乗り換えせずに帰れる駅の近くで落ち合う。

 彼女は厚切りタンを焦がすくらい何度も裏返しじっくりと焼いた。

「先輩焼きすぎでしょ」

「いや、今日は焼きたい気分

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あけましておめでとうございます! 100記事目!

(今回のツカミは何も上手くいっていない人間がヤケクソで書いたネタです。実際の大学の演劇部で使われていたメーリングリストとは一切関係ございません。
 なお、今回は身バレを防ぐためにすべて私が演劇を辞めてからハマったものだけを元ネタにしたボケを使っておりますが、書き口などでうっかりバレてしまう場合がございます。
 もし文章を見て「あいつじゃね?」と思ったとしても、私は幸せにやっているのでどうかあなたの

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試し読み『仮面ライダーのなり方』

試し読み『仮面ライダーのなり方』

仮面ライダーのなり方

 〜嘘つきで泣き虫だった僕がナイトになるまで〜

        プロローグ

 建物全体が大きな愛情深い生き物となって、大声で叫んでいるようだった。
 暗闇の中、その熱のこもった叫声に包まれていると、それまで感じたことのないような感謝と

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『深読み カイト』後篇「タペストリー」

『深読み カイト』後篇「タペストリー」

前回はコチラ

2019年12月24日深夜
スナックふかよみ

じゃあ始めようか。

天才 米津玄師が「カイト」の三文字に仕掛けたカラクリとは…

いったい何なのか…

ゴクリ…

まずは「カイト」という言葉から連想される…

カランカラン♫
(ドアが開く音)

あ… いらっしゃいませ…

え?

・・・・・

あの… おひとり様ですか?

見ての通り。

この店は、初めて?

ええ、そうですが

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『深読み カイト』中篇「アラシィ」

『深読み カイト』中篇「アラシィ」

前篇はコチラ

2019年12月24日深夜
スナックふかよみ

米津玄師は、やはり天才だね…

よくもまあ『カイト』なんてタイトルを思いついたもんだ…

ここまで「嵐」というグループを言い表した言葉は、ないんじゃないかな…

嵐というグループを言い表してる?

いったい、どういうことなの?

では、話そうか…

『カイト』というタイトルに隠された秘密を…

ゴクリ…

カランカラン♫
(ドアが開

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「深読み カイト」前篇

「深読み カイト」前篇

2019年12月24日
夜の繁華街

やれやれ…

どこもかしこもカップルだらけ…

クリスマス・イヴって、いつからこんなことになったんだろう…

お洒落な店で食事して、お洒落なバーで君の瞳に乾杯して、最後は君の心にチェックインしてメイク・ラブ…

今夜はイエス・キリストの誕生を祝う聖なる夜なのに、そんなこと1ミリも気にもせず子作りに勤しむとは…

「性夜」とはよく言ったものだよね。これじゃあ霜降

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人物造形のヒント⑩    長所と短所は対応させる

人物造形のヒント⑩ 長所と短所は対応させる

書いてみてから、

こいつ、性格が弱い…!

と悩んだことはありませんか?

こう、モヤッとしているというか…キレがないというか…想像つきにくいというか…影が薄いというか…まあ確かにそんな人いるだろうけど、興味湧かないというか…。頑張って書いてるし、そこそこ大事なこと言わせたりやらせたりしてるんだけど、そう、いまいちとしか言いようがない。出会った感のない登場人物。いませんか。

複雑な人だもん、す

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