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2022

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2022年10月の記事一覧

ローファー(エッセイ)

ローファー(エッセイ)

「仕事の手応え」というのはあてにならないと、時々つくづく思う。今日もそんな一日だった。

朝は客先に直行で寄り、昼前のへんな時間に出社した。身体が仕事モードに移行する前に昼休憩になり、ぼんやりと弁当を食べているうちに午後になった。漫然と業務をこなしていると夕方になって、いまは帰りの電車で日記を書いている。

成績でいえば、今日は契約を2本取って、充分な成果を出した日だった。仕事の手応えは成績ではな

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逃避行(エッセイ)

逃避行(エッセイ)

ロマンスカーで箱根から帰ってきた。どっと疲れた身体を引きずって阿佐ヶ谷のサイゼリヤで食事を済ませ、帰ろうと思ったら彼女がウチに付いて来たいと言いだした。旅行が終わるのが淋しいのだそうだ。断る理由もなく、結局西荻窪の私の自宅まで一緒に帰ってきた。

彼女には時折、そういう子供のような顔を覗かせる。私はその度に少しだけ不安になる。その不安が、彼女と一緒にいることへの不安なのか、将来彼女が親になるときへ

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湯けむりのように(エッセイ)

湯けむりのように(エッセイ)

旅行で箱根に来た。彼女と7時に新宿駅の小田急線改札で待ち合わせをして、登山鉄道に乗って大涌谷を巡った。芦ノ湖でフェリーに乗って(「海賊船」と呼ぶのには違和感がある)、湯本に戻って駅前通りを歩いた。

旅館は露天風呂付きの部屋を予約したのだけれど、彼女は別々に入る気でいたらしい。当然混浴するものだと思っていた私は、すごく驚かれた。世の男女はどちらが多数派だったのだろうか。いまは露天に浸かりながら、一

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京都フォトギャラリー

京都フォトギャラリー

今週は忙しかった。企画の登板で土日も出勤だった。帰ってきたのは月曜の夜で、そこから通常通りの出勤が続いた。水・木には旧い友人との飲み会が入った。その合間には勉強をして、家事をこなした。明日からは泊まりで旅行に行く。なので今日は休憩。良い写真は他人が撮ったもののように見える。

抗議すること(エッセイ)

抗議すること(エッセイ)

ここ最近の美術界を賑わせているのは、名画に食べ物で汚す、一連のデモ活動だ。環境保護団体を名乗るメンバーによって、モネの積み藁にはマッシュポテトが、ゴッホのひまわりにはトマトスープがかけられた。彼らは、石油使用の即時停止を訴えるために一連の犯行に及んだと主張している。

アート作品と環境保護は無関係であり、人類全体の遺産を破壊する行為は許されないという批判が、世界中から上がっている。



少し前

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日記と暮らし(エッセイ)

日記と暮らし(エッセイ)

大森靖子の新譜を聴いている。夜の12時に解禁されて、通勤中に4曲目まで聴いた。「四天王バンド」の演奏が、ロックファンとしてのツボを押さえていて素晴らしい。「聴き込みなさい!」という囁きか聞こえてくる。



ホテル暮らしが続いていたので、終業後を久しぶりに自宅で過ごした。給湯器の設定を1℃上げた。暖房をつけて、下着を部屋干しした。鶏肉をパリパリに焼いて食べた。食後にいったんベッドで横になり、起き

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京都の女たち(エッセイ)

京都の女たち(エッセイ)

「京都は朝晩が冷えています。風邪引かないでくださいね」とLINEしていたら、東京も冬みたいに寒くなっていた。今朝はマフラーを厚く巻いた。出張明けの身体は重かった。



京都の女性は、東京とは全然違った。みな一様にモテそうな綺麗な服を着て、高級な美容室に通っているような髪型をしていた。世間的には「美人」と呼ばれるような見た目が多い。隙がなく、完成度の高い容姿だった。

喫茶店で2、3人組の女性た

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帰りの新幹線にて(エッセイ)

帰りの新幹線にて(エッセイ)

今日は食べたものが美味しい日だった。昼食、ギャラリーの近くで牛丼を食べようと「すき家」を食べた。普段は「吉」のつく縁起の良い牛丼屋を利用することが多く、「すき家」に入るのは久しぶりだった。改めて食べると、甘いつゆが癖になる。すき焼きのタレを白米にかけたようで、七味とよく適う。東京でも食べようと決めた。

夕食後には、京都気分を味わおうと同僚と甘味処に入った。「都路里」というお茶屋さんで抹茶を頂いた

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京都最後の夜(エッセイ)

京都最後の夜(エッセイ)

今日は訳あって同僚が不在で、一人当番だった。一人は、同僚に気を使わないけれど、やはり二人分の仕事を一人で捌くのは大変だった。日曜日で来客も多かった。疲れ過ぎて腹も空かない。会場を後にし、近くの王将で定食を頼んだ。予想以上に量が多くて、食べきるのに30分もかかった。

作業をしようとドトールに入った。椅子に座ると、途端に疲れがどっと出る。夜なのにコーヒーを頼んでしまった。今日は京都最後の夜なのに、私

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脳を放電してあげたい(エッセイ)

脳を放電してあげたい(エッセイ)

今日は寝坊して9時に起きてしまった。出張初日から昨日まで、早起きして美術検定の勉強をしていたが、今日で途切れてしまった。身体が重い。昨夜はホテルのランドリーで格闘して、就寝が1時頃になってしまった。身体が重い。気圧も下がっているようだった。



今日は土曜日で客が多かった。目紛しく変わる状況に対処をしている間に夕方になって、記憶がないまま閉館の時間を迎えた。写真フォルダだけが埋まっていった一日

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京都のHUBでは(エッセイ)

京都のHUBでは(エッセイ)

今いろいろあって仕事が延びている。5時の定時を30分過ぎてもまだ帰れない。展覧会用のスーツもまだ脱げない。手持ち無沙汰で控室に座って、日記を書き始めてみた。ギャラリーには外の空気が流れ込みはじめている。京都の夜は寒い。日中との寒暖差が大きくて、昼間の服装だと夜には肌寒くなる。身体中の神経に普段がかかる感じがする。



結局、展覧会場を後にしたのは18時ごろだった。私と同僚は夕食にお好み焼きを食

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ホテル暮らしの「技」(エッセイ)

ホテル暮らしの「技」(エッセイ)

ホテル暮らしも今日で4日目だ。京都に来たのが月曜日で、今日で木曜日が終わった。ホテル暮らしというのはラクさと大変さがマーブル模様に混ざりあっている。定期的に1週間ほどのホテル暮らしを経験してくると、乗り切る為の「技」があるということに気づいてくる。

今回の出張では、「初日に水を買い込む」という技を実践している。これはとても素晴らしい。ビジネスホテルだと洗面所の水を飲用に使うことが多く、いくら飲め

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誕生日(で奢らされたというエッセイ)

誕生日(で奢らされたというエッセイ)

今日は同僚の誕生日だった。優秀な営業マンである彼は、人に食事を払わせるのが天才的に上手い。当然奢らされることになると見越して、私は朝から展覧会場近くの高すぎないレストランに目星をつけておいた。

そこはビアホールのような洋食屋だった。ミートソースの掛かった大きなオムレツが特に美味しかった。私はビールを2杯飲み、下戸の彼はノンアルコールのカクテルを頼んだ。二人で酔ったように笑い合い、私はまんまと楽し

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#noteのつづけ方 (予想外にロマンチックな日記)

#noteのつづけ方 (予想外にロマンチックな日記)

地方に来て、普段と違うサイクルの生活をしていると、日記を忘れそうになる。今日は展覧会の前日準備の日で、一日中歩きっぱなしだった。歩いたりしゃがんだりで、脚が棒になってしまった。明日から展覧会が始まると思うと、身体が保つか不安になってくる。今日はとりあえず風呂に入ろう。無理な勉強は控えようと思う。


#noteのつづけ方  というタグが募集されていたそうで(もう終わったようですが)、参考にはなら

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