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京都最後の夜(エッセイ)

今日は訳あって同僚が不在で、一人当番だった。一人は、同僚に気を使わないけれど、やはり二人分の仕事を一人で捌くのは大変だった。日曜日で来客も多かった。疲れ過ぎて腹も空かない。会場を後にし、近くの王将で定食を頼んだ。予想以上に量が多くて、食べきるのに30分もかかった。

作業をしようとドトールに入った。椅子に座ると、途端に疲れがどっと出る。夜なのにコーヒーを頼んでしまった。今日は京都最後の夜なのに、私には何の予定もなかった。私は京都を何もしないまま去ろうとしていた。冷房の風が当たる席だったようで、コーヒーはすぐ冷めてしまった。

久しぶりに手帳を机に開いてみる。月末まで予定が詰まっている。日々がみるみる過ぎていく。資格試験の勉強時間をどう確保するか、頭を抱えてしまう。仕事も月末でハードそう。試験の翌週には、海外出張が控えていた。



最終日の夜くらい、と、鴨川沿いを歩くことにしたら、曲がる方向を間違えたらしく、500メートルほど過ぎた辺りで反対方向に進んでいることに気づいた。「最終日なのに」と腹が立って、早歩きで逆戻りした。忙しなくて風情もなにもない。いつのまにか鴨川の寒さも感じなくなって、ぽかぽかした気持ちでホテルに着いた。

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