頑張ってるのになぜ続かない?「環境」から考える自分の変わり方
「頑張ろうとは思ってるんですけど、なかなか続かないんです・・・」
先日、ダイエットについて会話をしている時に、聞いた一言。意識はしているけど、なかなか続かない、こういうケースよくありますよね。これは意志の力の問題なのでしょうか。
何かを達成する時に、必要なことは何かについて考えてみます。
意志力 < 環境
ダイエットがうまくいかない人は自分の意志の弱さに愕然とする人も多いです。ついついスナック菓子を食べてしまう。ファストフード、お酒がやめられない。そんな日々を続けながら、ふと「我慢できない自分が悪い」と考えがちです。さらには「親も太っているし遺伝のせいかも」、「そもそも性格がダイエットに合わないのでは」など、いろいろ考えてしまいます。しかし、最も影響を与えているのは実は「環境」です。
ダイエット以外にも、例えば働き方について考えてみましょう。テレワークが当たり前になったアフターコロナの世界では、働き方は数カ月前とは激変しています。企業は社員の働きぶりを厳密に管理することが難しくなります。よって、「プロセス評価」以上に「成果評価」にウェイトがかけられる傾向にあるでしょう。
オフィスに出社せずに、何時に働いてもいい。そんな環境が当たり前になったとき、人はどこまで集中して成果を出せるでしょうか。オフィスと違って、自宅は正に誘惑の宝庫。書斎のようなスペースを確保しない限り、集中力を持ってサボらずに仕事をすることは困難でしょう。
こうした「環境を整える大切さ」を化学的根拠を持って紹介する一冊の本に出合いました。
『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』(ベンジャミン・ハーディ著)
この本を読めば、ダイエットや生産性の高い仕事が意志の力で何とかなるものではないことが分かります。人間は、意志よりも環境に影響される生き物。成果を出すためには「成功せざるを得ない状況」に身を置くべきだと著者は語ります。
「意志の力」など役に立たない。
人は、一緒に過ごす時間がもっとも長い5人を平均した人物である。
この本に登場する言葉です。自分にとって親しい友人を頭に思い描いてみましょう。いろいろな意味で似ている人が多いと思いませんか。よく、「最も親しい友人5人の平均年収が自分の年収」という話も聞きます。これも同じ視点です。自分がどんな環境、どんな人達と生活しているかが自分に多大な影響を与える、ということです。
では「環境で人生が決まってしまう」とネガティブに考えてしまいがちですが、そうではありません。逆に、「環境さえ変えれば、人生は変えられる」とポジティブに捉えているのがこの書籍の主張です。視界が明るくなる感じがしますね。
成功せざるを得ない環境をつくる
環境で人生が変わるなら、自分が望む成果が出るように環境を使いこなすことが大切です。例えば、アイデアを考えなければならない仕事についている人はアイデアが出やすい環境を意図的につくることが重要です。仕事上の有用なアイデアは仕事中ではなく休憩中に生まれやすい、という統計があります。であれば、積極的に休憩時間をつくり、仕事場から離れるように自分の生活の場所を整えることが大切です。
自分をとりまく「環境」を意図的にデザインし、その環境に身を置くこと。これはデスクにしがみついて「アイデア出すぞォ!!」と意志で乗り切ろうとすることよりも有効なのです。
この本には「強化された環境」という言葉が登場します。これはONとOFFをはっきり切り替えた生活をするということ。そうすることで、ON、OFFそれぞれの生産性が高まり、より成果が出やすくなると解説しています。本の中ではかなり極端なケースが登場しますが、私達の生活の中で取り入れやすい初めのステップとしては「デジタル断食」があります。最も簡単なのは「スマホを機内モードにする」こと。例えば「毎日21時以降は機内モードにする」などのルールを決めて行えば、スマホに縛られない穏やかな時間を確保でき、そのままリラックスした状態で睡眠に入っていけます。OFFの時間を持つなら、「OFFの環境をしっかり整える」ということが大切です。
また、環境を意図的にデザインする上で「帰還不能点」という考え方があります。これは「戻るよりも、前に進む方が良いと判断できるポイント」のこと。簡単に言えば、後戻りできない、閾値を超えた状態ということです。この帰還不能点を超えるテクニックとして「お金を使う」という手法があります。起業家と起業家志望の違いは「身銭を切っているかどうか」です。お金を使うと、人は「元を取ろう」という思考が芽生えます。これはサンクコストと呼ばれるものですが、この思考をうまく活用して自分を自己成長に促そうという発想です。
例えば、新しいことを始める場合は、道具を買い揃えてしまう。英語を学びたい人は年間の英会話レッスンに契約してしまう、などです。お金を先に使い、帰還不能点を超えることで、「やめようかな・・・」という気持ちを断ち、「元をとろう」というエネルギーを味方につけることができます。結果、自己成長に近づくことができます。
まとめ
何かにチャレンジする時、「意志に頼る」のは危険です。意志とはつまりやる気のこと。やる気はその日の気分や体調に左右されます。結果的に「意志が弱いせいで続かなかった・・・」と認識してしまうと、自分を傷つけることになります。意志という不安定なものよりも、環境が大切です。
「そうならざるを得ない環境」をつくることで、自分の意志に関係なく、目指す自分に近づけるようになります。環境が人も社会も変えます。
今起きているコロナも「環境」の一部です。結果的には「テレワークせざるを得ない環境」を作ってしまいました。それにより、働き方は激変しました。これまで遅々として進まなかった日本の働き方改革は、幸か不幸か劇的に進んだことになります。環境は個人の意思よりももっと大きな力を持っています。
意志ではなく「環境」に目を向けましょう。
なりたい姿を描き、そのために必要な「環境」を整えましょう。そうすることで、スムーズに無理なく自己成長に近づけるのではないでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。