マガジンのカバー画像

#エッセイ集

49
趣味や興味のあることと、自分との間に発生する大切なもの。それを言葉にしたエッセイ集。
運営しているクリエイター

#日本

これからの「国際交流」の話をしよう

これからの「国際交流」の話をしよう

僕には韓国語だった。

3年ほど前、当時の仕事で頻繁に韓国へ出張していた。関空から韓国 仁川空港へ向かう大韓航空の機内、乗客のおおよそ半分は韓国人、残り半分は日本人という割合だったと思う。
機内食が配られる時間になり、韓国人のキャビン・アテンダントが僕の2つ手前に座る韓国人には韓国語で、一つ手前の日本人には日本語で「鶏肉か、魚か」のチョイスを尋ねている。とても流暢な日本語だ。

僕は「鶏肉」にしよ

もっとみる
noteで伝えたいこと。

noteで伝えたいこと。

「noteをはじめて6ヶ月記念日」のバッジを頂きました。これまでの拙い文章の数々を読んでくださった方々への感謝と同時に、noteを続けている理由をこのタイミングで改めて整理しておこうと思い、「そもそも自分がnoteのテキストで伝えたいことって何だっけ?」という根本的なところを考えてみました。

noteで書いている題材は主に日本酒や子育てや筋トレなど、普段の日常生活そのものやライフスタイルになるん

もっとみる
日本酒のラベルにしてやられた!と思ったら、大切なことを教えられた。

日本酒のラベルにしてやられた!と思ったら、大切なことを教えられた。

眩しい。。こんな眩しいラベル見たことない。

スマートでオシャレな日本酒ラベルが増えてきた近年、このデザインから放たれる独特のオーラには只者ならぬ存在感がある。

冒頭写真の日本酒『此れはしたり』。日本酒の頒布会8月分の一本だ。

頒布会とは、定額の支払いに対して酒屋さんが見繕ってくれた日本酒を定期的に送ってくれるサービスのこと。現代風に言えば、日本酒のサブスクみたいなもの。

どこの蔵元さんのど

もっとみる
多様性への接続回路~日本酒 燗酒の世界

多様性への接続回路~日本酒 燗酒の世界

日本酒の味わいは繊細なもので、同じ日本酒でも酒器の素材や形状、酒器に注いだ後の空気に触れる時間、合わせる食事の内容などで変化する。特に燗付け(日本酒を温めること)による味わいの変化は顕著で、お酒の味が物理的に変化するというよりは、むしろ飲む人の感じ方が大きく変わる。

鍋にお湯を沸かし、ちろりに注いだ日本酒を湯煎で温める。日本酒から立ち上る香りの変化に神経を集中させる。温度を上げながら段階的に行う

もっとみる
日本酒コミュニティの距離感と多様性。

日本酒コミュニティの距離感と多様性。

「さけのわ」という日本酒レビューのSNSがあり、ぼくも昨年12月頃からやっています。

飲んだ日本酒の味わいを記録して文章(メモ)と写真を投稿する、というのが基本的な使い方なんですが、

純粋に個人的な記録用として詳細数値(日本酒度や酸度等)だけをメモする人、解説文無しで写真だけをひらすら投稿する人、その日本酒の味わいから想起される過去の記憶を辿って散文調にまとめる人、など実に多様な人がいます。

もっとみる
日本酒好きにとっての記念日。

日本酒好きにとっての記念日。

先日、日本酒好きのぼくにとって、記念すべき出来事がありました。

タイトル写真にある日本酒本を先月かな、購入したんですね。

千葉麻里絵さんという、日本酒業界の方はもちろん、日本酒愛好家ならおそらく皆んなが知っているであろう、日本酒界のカリスマのような方が書かれた本。(東京・恵比寿で「GEM by moto」という飲食店をされてます)。

結論から言ってしまうと、この本で千葉さんが紹介されていた燗

もっとみる
お酒の嗜好にも「家庭の味」がある。

お酒の嗜好にも「家庭の味」がある。

ぼくはお酒が好きで、ぼくの中では、「豊かな人生を送ること」と「お酒を楽しむこと」の間には大きな相関関係があります。

利き酒師という日本酒関係の資格を持っていますが、何も日本酒だけが好きなわけではなく、ビールもワインもウイスキーも好きだし、焼酎も好き。

仕事でヨーロッパに駐在していた頃は、仕事終わりに近所のスーパーに寄って品揃え多彩なワインやビールを選ぶ行為そのものが楽しかったし、こだわりの酒屋

もっとみる
日本酒の利き酒で味わっているもの。

日本酒の利き酒で味わっているもの。

ぼくは日本酒が好きで、その味わいに興味があり、最近は味覚について勉強しています。

栄養化学者である伏木亨さんの著書『人間は脳で食べている』(ちくま新書/2005年)という本を読んでいて考えさせられるところがあり、

「普段の日本酒の利き酒において、自分は具体的に何を味わっているのか?」という点について、思うところを書いていきます。

1. 日本酒の味わいとは普段日本酒を飲んでいて感じる味

もっとみる
自然の中で過ごした感覚が今の自分を支えている。

自然の中で過ごした感覚が今の自分を支えている。

関西のど田舎で生まれ育ち、その自然の原風景こそぼくが日本酒を愛する理由の一つだ、と最近記事に書きました。

歳を重ねる度に感じることがあります。

それは、自然というものが、どれほど深く自分の中に埋め込まれているかということ。

そして、

自然に囲まれて生まれ育ち、自然の中でめいっぱい遊んだという経験と記憶が、今のぼくをどれほど肯定してくれているかということ、です。

◇◇◇

・物事が

もっとみる
曖昧さの中に生きる。海外ビジネスの現場から思うこと。

曖昧さの中に生きる。海外ビジネスの現場から思うこと。

責任の所在。これは誰の責任か。誰の権限で物事を進めるのか。

海外で、特に欧米のお客さんを相手に仕事をしていると、この手の議論に頻繁に出くわします。

1年半ほど前、仕事でタイに張り付いてました。場所はタイですが、お客さんは欧米人。この大型プロジェクトの最終清算が、先日漸く完了したところ。

海外の方の仕事の進め方というのは、「考え方」というレベルを超えて、「思想」そのものが違うなと思わされること

もっとみる
日本酒を好きな理由。

日本酒を好きな理由。

どうしてこんなに日本酒が好きなんだろう?って、ここ数ヶ月は特に日本酒にハマッていることから時折考えてしまいます。

こういうのって「好きなものは理由なく好き」というシンプルな世界なのでそれで十分かも知れないんですが、ここまで惹かれるのには何か背景があるんだろうという感覚もあって。

今日は、そんな日本酒を愛する理由を思いつくままに書いてみます。

1.原風景との合致ぼくは関西の、「ど」がつく田舎で

もっとみる
空気は読まない、海外ビジネスの現場から思うこと。

空気は読まない、海外ビジネスの現場から思うこと。

「空気を読む」って、不思議な言葉ですよね。

明確に言葉に出ていないものを先回りして気付く、その場の雰囲気に合わせた行動を取る。忖度(そんたく)する。

社会人になってから、一貫して海外を舞台に仕事をしてます。

日本のお客さんならこうした「空気を読む」対応も求められるのかも知れませんが、海外ビジネスの場で、考え方も価値観も異なる人を相手に空気なんて読んでたら、商売する上で大変なリ

もっとみる
違いを前提として。英語から見た日本社会。

違いを前提として。英語から見た日本社会。

「あの先週言ってたあれ、進捗どうなってる?」

日本で仕事をしていて、上司からこんなフォローを受けることないですか?

日本語、日本の文化というのはとても不思議なもので、こんな曖昧さたっぷりな内容でコミュニケーションが成立する、

ということになっている。

少なくともこういう言葉を発している人は、詳しく説明しなくても分かるでしょ?って思ってるはず。

そして仕事であれば、部下の立場からす

もっとみる