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谷古宇 時生
2022年8月9日 13:50
つめたく すんだうみのなかでぼくは しきをしていたみずにていこうしておぼれるように うでをふるおんがくが かいていになりひびくゆうれいたちのオーケストラがなりひびくすいめんにうかぶ ちいさなあわあめのおとは びんのそこまではとどかないしずかなかんきゃくは まっているしんくうぱっくしたせんりつをぼくたちは けんめいにがっきをかなでるいきをあわす ぴたっととめるびりびりと
2022年8月23日 18:46
さんで、まんで、ちうずで、うえんずで、さあすで、ふらいで、さたで、えぶりで、えぶりでいずまんで、のっとほりで、さむたいむずふらいで、ふらふらふらーふつかよいさたで、さたでいずもすとふぁすとで、しょーとで、わーすふるで、ばりゅあぶるで、えくせれんとで、でもはんぶんはこうかいで、さんではあいにくのくらうでぃで、もうつぎのひがこわくて、ぐるぐるえんかつにまわっていかなくて、よう
2022年9月4日 18:49
あした、つよくなる、そう言ってるだけの人生だった、わたしはだれともわかりあえないし、よくかんがえたらわかってあげる気もなかったんだって、すとん、と腑に落ちた。よくある問い、だれかのためにがんばる人と自分のためにがんばる人、わたしは両方だめで、コーヒーに入れたミルクのようにぐるぐると、今と過去と未来の境界線をあいまいにして、いつまでも漂っていたい。つよくなりたい、何度も星に願ってみたのだけれど、効果
2022年8月28日 10:40
なにかがはじまる予感をもうずっと待っているんだすくいあげた 砂つぶは金色にひかる参道にならぶキンモクセイまぶしさは いいなあひなた道めがあかなくてもそこにあるあたたかくてなんだか笑ってしまうなねむくなってしまうないまのじかんをたいせつにしようってねじこんだ一万円札のようにふいに思わされてしまうな予感はオレンジ色とくにいみはないそれがいちばん似合う待つじか
2022年8月26日 11:35
あなたのレンズで せかいをみたらぼくとは逆でまぶしいせかいだじてんしゃのかごのなかでラミネートされた本のページがそよぐいなほがかぜにゆれゆるやかにかたむいたいなほは呼吸するねこのせなかのようだ帰り道行きよりも増えた荷物ぼくだけに聞こえる特別なしるしあなたが生涯をかけて考え抜いた痕跡を生きた証を百年後にぼくは読んで勇気をもらっているあしたうつくしいものを
2022年8月20日 11:46
なにか言いたいことが あったはずだふゆの夜空 星々がせり出してひとつひとつの星のひかりが交差していまにも熟れた果実のように落っこちてきそうだぼくは言いたいことも忘れてしまった自転車が土手の斜面に並べて置かれ草を撫でる風がさわさわ さわさわ ゆれて羽虫が草のすきまから羽を擦り 音を鳴らした星は鳴かない ぼくたちも黙っているでも 通じ合っている柔らかなひかりの中に親密な視線
2022年8月18日 09:20
誰かのせいにしたかったけれど、まぎれもなくわたしはわたしの決断の連続でここに立っていると気づいた、夏の終わり。ベランダで育てた球根の足の細さよ、頼りなさよ、ぐらぐらと、わたしの今が揺れている、目の前の景色が霞んでいる。苦しいときは、苦しい歌を歌おう。それがいちばん人間らしいから。現状を軽々と越えていく自分は素敵だけど、いつも格好よくはいられないや、負けを認めたら、少し楽になった。草原に大の字になっ
2022年8月16日 09:37
おどろく という感情がきみのいのちの みなもとだおどろきをなくしたとききみのせかいが しずかにとじるなぜのまえに ただ、あるある とは どういうことなんだろうかめのまえにいるということか手ざわりがあるということかあいするということかいきているということかぜんぶすこしずつ ちがうきがする はりつめる緊張が ぱん、とはじけるおどろきが よろこびに 転化する矛盾をかか
2022年8月14日 11:02
ことばが こぼれることばが にじむこぼれた ことばのしみが ひろがってじわじわと その領域を 延ばしていくことばは 立ちあがることばは 転倒する倒れたことばは せかいをひき延ばす疎外された自己からわたしのからだから しみだすやがてそのしみは都市になり 国家になり大陸になり せかいとなりやがて わたしにもどってくるわたしのからだは せかいの心棒だわたしの心房が
2022年8月11日 10:24
言われてもいないことばに怯えていたそれは影絵だだれと戦っていたのか 思い出せない戦争だもう会えない人たちの夢に怯えていたそれは幽霊だどんな顔だったか思い出せないわけはない日が落ちたどろんと濃い闇が月を覆うやっと僕の時間だ影から 逃げて 逃げてとうとう僕は 影になった輪郭も溶けたそれでもまだ僕のからだの一部が発光していた僕は蛍のように青白くひかり 放電した
2022年8月10日 13:53
ぼくが書く詩が新しいものでなければそれは一体何だというのだろう風が吹いて 服がたなびく剥き出しの岩に 空気が走る視えなくても 伝導するぼくの詩で 海がヨレるふっ、と 世界が傾斜する山から降りた寒気が霜を降ろし街全体を冷やす悲しいできごとを 希釈する雨地表を濡らし 体温を下げるぼくの詩が あなたのこころを凍らせるものでなければそれは一体何だというのだろう時計台が