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#エッセイ
父と母とときどき悪魔と
コペルニクス的転回が起きた。
今の私、もしかしたらあのときの父と同じじゃないかと。
年末年始になると必ず一度は聞かれる「帰省しないの?」トーク。
帰省が「安心安全な場所でゆっくりできるもの」であるならばきっとしていただろうけれど
「しんどい、理由がなければできないもの」と思っていたため、年末年始はひとり東京で過ごした。
おかげで、お正月を楽しもう企画を計画し、一人二役になってお雑煮を食べたり、
人生における「緊急脱出」という選択。
「あれはさ、きっと緊急脱出だったんだんだよね。」
新宿の小洒落たカフェで、正面に座る彼女から言葉が溢れでた。4年前に別れた時と変わらない凛とした雰囲気を纏いつつも、どこか当時にはなかった緩みをまとった雰囲気はまるで「別人」に近い印象を与えた。
そして突然に降って湧いたそのフレーズは、私の脳裏に直接語りかけるようなインパクトがあった。不意をつかれたものだから、私はおそらく腑抜けた顔をしていたよう
伝えることは、隠れていた選択肢を表に出すきっかけになる
最近、誰かと話す時に”伝えること”を意識している。
以前は、相手から何か提案をされた時、その提案に対して「こうした方がいいんじゃないか」「こういう考え方もあるよな」と思っていても「もういいや」と言わずに終わることが多かった。よほど自分に負担がかかる内容でない限りは、言いたいことを「もういいや」と飲み込んできた。
「反論して、もめるのが嫌だ」「私が意見していいものか」「伝えるなら、どう伝えたら分
それ以上でも、それ以下でもないではないか。
「スワンさんって、なんか落ち着いてますよね」
テーブル越しの相手からひょんな言葉が出た。私はふうんと、側からはそんなもんに見えるんですねと。あまり腑に落ちない顔をしてから、苦笑いして冷めかけのコーヒーに手をつけた。
幼少期、どちらかといえば私は「落ち着きのない子」として認識されていたはずであった。興味の赴くままひとりで遊ぶことを好み、気がつくと時間を忘れ、出かければいつの間にか知らない場所にい
【小さな灯台の集合体】
先日、久方ぶりに美容院に行った。
【あとのことは、明日の自分が何とかする】
起きてすぐにシャッターを開ける。これができる日とできない日があって、今日はできた日だった。窓を開けて換気をしつつ、近頃お気に入りの白檀のお香を焚く。お線香のような、地味だけど馴染みのある香り。深く、大きく息を吸い込む。お日さまが照らす空は、澄んだ水色。鳥たちの泣き声が遠くから聞こえる。風はすっかり秋の匂いで、半袖の寝間着では少し肌寒い。
週末に台風が来るらしい。下がり続ける気圧に頭を抱えていた数