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本とのつきあい

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本に埋もれて生きています。2900冊くらいは書評という形で記録に残しているので、ちびちびとご覧になれるように配備していきます。でもあまりに鮮度のなくなったものはご勘弁。
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『詩篇の花束』(広路和夫写真・草苅美穂花・いのちのことば社)

『詩篇の花束』(広路和夫写真・草苅美穂花・いのちのことば社)

義母に差し上げようと思った。店頭で見たとき、これはステキだ、と感じたのだ。
 
2003年に発行され、入手したものは2014年の第8刷である。長きにわたって、よく売れているということなのだろう。ただ、私が好んで買うタイプの本ではなかったので、私の視界には入っていなかった。いま、こうして誰かのために役立つことを考えるようになって、目に映った景色だ、ということだろうか。だから、写真がこよなく美しく輝い

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『深い河』(遠藤周作・講談社)

『深い河』(遠藤周作・講談社)

昨今、こうした文学者の本が入手しづらくなっている。先日は大江健三郎の本を、と思ったが、一向に見当たらないのだ。ノーベル賞を受けても、書店は置かないのである。遠藤周作もかつては多くの人気作家コーナーに並ぶような売れっ子だったのに、いまはさっぱりである。
 
NHKの100分de名著の「宗教とは何か」に、この本が紹介されていた。4人の論者のうちの1人が扱っていたのだ。粗筋のようなものも当然そこには書い

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『プルーストとイカ』(メアリアン・ウルフ:小松淳子訳・インターシフト)

『プルーストとイカ』(メアリアン・ウルフ:小松淳子訳・インターシフト)

今井むつみ教授の推薦の本である。早速読みたくなった。
 
タイトルが普通ではない。一般向けの書であるために、ユニークなものとしたのだろうとは思うが、分野としては脳科学に属する。テーマは、読書である。さらに言えば、文字が人間の脳に与えた影響を探るというものである。
 
人間の能力については、しばしばそれの欠陥や障害の実例を探ることによって、健常者の能力や性質が明らかになる場合がある。本書においても、

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映画「きみの色」

映画「きみの色」

8月末に封切りで、この近くでは遂に10月末で上映終了となった、映画「きみの色」。その最終上映で、機会を得てやっと観ることができた。
 
ずっと観たかった。山田尚子監督の作品は好きだし、評判も良かった。こういうとき、私は細かな下調べはしないことにしている。殆ど白紙の状態で、映画館に臨むのがいいと思っている。今回も、評判の良さ程度が、予備知識のすべてだった。
 
結果、言葉にできない感動を与えられた。

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『加藤常昭説教全集2 ローマ人への手紙1』(加藤常昭・ヨルダン社)

『加藤常昭説教全集2 ローマ人への手紙1』(加藤常昭・ヨルダン社)

タイトルか出版社を見て、「おや」とお思いになった方がいたかもしれない。「ローマ人への手紙1」は、教文館発行の全集では第17巻である。2005年に発行されたこちらは、改めてヨルダン社版の作品と、さらに多くを重ねて完成したものであり、ヨルダン社は2003年に破産宣告を受け、翌年手続きを完了している。良い本を多く出版していた。惜しいことをした。
 
私が入手したのは、そのヨルダン社版である。手頃な価格で

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『フェイクニュースを哲学する』(山田圭一・岩波新書2033)

『フェイクニュースを哲学する』(山田圭一・岩波新書2033)

フェイクニュースという言葉が、近年大きく取り上げられるようになってきた。フェイクとは、偽物を意味するが、見せかけることや、いわゆる偽造や捏造というニュアンスを伴う言葉であるらしい。誰もがニュースを発信することができる環境が、インターネットから出来上がっている。テレビの報道にも、個人の撮影がしばしば用いられることからしても、その真偽については、チェックが重要であるはずである。
 
本書は、哲学的な検

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『学力喪失』(今井むつみ・岩波新書2034)

『学力喪失』(今井むつみ・岩波新書2034)

元来、教育のために何かをしようとしていた人ではない。肩書きは基本的には「認知科学」の研究である。あるいは「言語心理学」でもある。かろうじて「発達心理学」という看板が、教育には関わると言えるかもしれない。だが、ここへきて、小中学生の学力を量る「たつじんテスト」を開発し、有効なデータを得ている。こうした背景を踏まえて、認知科学や言語心理学の分野でも注目され、新書などを中心に、よく読まれるようになってい

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『アトムの心臓』(清武英利・文春文庫)

『アトムの心臓』(清武英利・文春文庫)

サブタイトルのように書いてあるのは、<「ディア・ファミリー」23年間の記録>である。本は文春文庫書き下ろしだというが、発行2か月後に、「ディア・ファミリー」と題した映画として公開された。私は例によって、予備知識なしで妻に連れられるままに観に行く。お涙頂戴という路線よりも、強い意志というものが伝わってきた。よい映画だった。
 
著者は清武英利氏。読売巨人軍取締役球団代表まで務めたことのある、讀賣畑の

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『現代思想2024年9月 vol.52-12 特集・読むことの現在』(青土社)

『現代思想2024年9月 vol.52-12 特集・読むことの現在』(青土社)

今回は「読むこと」について「読む」こととなった。メタ構造のようだ。実に多彩な角度から「読む」ことについて論じられた文章が集められた。これをどのように「読む」とよいのだろうか。といった遊び的な眼差しは一旦控えて、まずはどのような話題があるのか、ご紹介しよう。
 
冒頭の対談で、まず殴られるような感覚を覚える。話題は「読書バリアフリー」である。芥川賞受賞で注目された、市川沙央さんが登場する。障害を負っ

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『源氏物語と神学者』(R.ボーレン・川中子義勝訳・教文館)

『源氏物語と神学者』(R.ボーレン・川中子義勝訳・教文館)

2004年の出版。副題として添えられている「日本のこころとの対話」のほうが、原題に近いという。それは「日本に想う」というものであった。
 
ボーレンとくれば、加藤常昭氏のドイツでの師であり、友人でもある。そのキリスト教関係の著作は、悉く加藤常昭氏が翻訳してきた。だが、本書は、その加藤氏から、訳者に任されたのだという。その理由が、本書が文学についての叙述が多いためであり、適任だろうと言われたというこ

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『東大教授、若年性アルツハイマーになる』(若井克子・講談社)

『東大教授、若年性アルツハイマーになる』(若井克子・講談社)

2005年秋、東大教授の若井晋さんのもとに、琉球大学から講演の依頼があった。本書はここから始まる。まだ発症したとは言えなかったが、その気配は始まっていた。59歳だった。このとき沖縄を訪ねたことが、治療生活をそこで暮らし、いろいろな人と出会う契機になったのだということらしい。
 
このプロローグで、「医師は、自分の専門領域の病気にかかることを極度に恐れる」という言葉が挙げられている。晋さんは、脳外科

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本を読む

本を読む

「読む」ということに的を絞った特集の『現代思想』誌をいま読んでいる。今日はその本について述べるものではない。「読む」ことに中毒症状を有っている自分のことを、少しばかり零そうということである。
 
大抵の本はAmazon経由でここに届く。古書でしか入手が難しいものは、かつては偶然店頭で見つけるしかなかった。あるいは、親しい古書店の主に相談してみるということがないわけではなかったが、欲しいものがそれで

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『仕事』(今村仁司・弘文堂思想選書)

『仕事』(今村仁司・弘文堂思想選書)

2024年、新刊書でこれを知った。文庫版だった。発売までまだ間があったが、元々は単行本だと分かった。帯にある言葉「資本主義は賃金奴隷制にほかならない」という言葉に惹かれた。私も断固そのように感じていた。しかし私は抽象的に感じていたに過ぎない。本書は社会思想ないし社会哲学を専門とする教授である。どんな論拠があるのか、具体的に何がどうなのか、ぜひ知りたいと思った。同じく帯には、「渾身の書きおろし」とい

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『福音主義教会形成の課題』(加藤常昭・新教出版社)

『福音主義教会形成の課題』(加藤常昭・新教出版社)

シリーズ名が「今日のキリスト教双書」であり、その第15弾となっている。私が手に取った時点で、発行から半世紀。それで「今日」と言われても、複雑な心境である。発行から50年して、加藤先生も天へ旅立った。しかしすでにこの時点で、牧師としても神学者としても活躍しており、力ある説を告げている。その意味では、「今日」という言葉に偽りがあるようには思えない。私たちは、もっとよくない情況にある、とも言えるからだ。

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