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エッセイ・詩 / 井上イロ木

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井上イロ木のエッセイをまとめました。
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2024年7月の記事一覧

暑さと音楽とビールでトリップする夏祭り

暑さと音楽とビールでトリップする夏祭り

 暑い、なにもしなくても汗が出る。出店している店を見て回るだけで、汗をさんざんかいた。ビールを飲んで、さらに暑くなる。

 地元の有志が協力し合って、数年に一度地元のどこかの場所で、お祭りを開催する。地元のバンドグループや他県から読んだ摩訶不思議なバンドグループでおびき寄せられた大人も子供も、大騒ぎする。

 たまふる夕祭りが、まだ青空が落ちていない中はじまっていく。

 顔から全身刺青だらけのベ

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破壊と癒しのブルドーザー

破壊と癒しのブルドーザー

 ブルドーザーが、ダンプトラックが運んでくる土を、平にならしていくYouTube動画を、ついだらだらと見てしまう。

 それは東南アジアのどこかの国で撮影された映像で、現地の人がドローンを何台も飛ばして空中から撮影し、YouTubeやFacebookなどに投稿している。それをオレのような人間が三〇分、一時間とついつい見てしまう。

 そんなものを見るヤツがいるのか? と思われるかもしれないけれど、

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今日も普通に生きている

今日も普通に生きている

 49歳まで死なずに生きている。病気になることもなく、事故に遭うこともなく、誰かに殺されることもなく、今日も普通に生きている。

 奇跡といえば奇跡だが、日常といえば日常だ。そのことを味わうことも滅多にない。というか、意識的に、能動的に今生きていることを、深く味わうことなんてできるのだろうか?

 味わうとは、実感することだと思う。そして実感は能動でもなく、受動でもなく訪れてくる。一見して受動のよ

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「『坊ちゃん文学賞』に応募するぞ!」宣言

「『坊ちゃん文学賞』に応募するぞ!」宣言

 今日もオレはショートショートを書く。それは書くことが楽しいから。自分の中から思いもよらないストーリーが現れてくるたびに、「へえー、そうくるのか」と自分でも以外な展開にわくわくする。

 物語を書くとき、一つだけ決めて書きはじめる。
 それは一つの言葉だったり、一つのセリフだったりする。それ以外はほとんど何も決めていない。どんな主人公なのか、時代背景も場所も、もちろん結末もジャンルも何も決めずにキ

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蝶が好き

蝶が好き

 蝶はとても軽いのに、あんなにデカくて重そうな翅をもっている。そして、風の強い日でもひらひらと、瞬間移動をするように飛んでいる。

 よくもあんな飛び方で、目的地に行き着くものだといつも感心する。蝶はちゃんと花から花へと蜜を吸いに渡っていく。

 オレは常々、トンボの飛行能力、ホバリングや突然の加速力に目を奪われるが、それ以上に蝶の飛行能力の方がすごいのではないかと思っている。
 
 蝶は、台風の

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お口崩しのインスタントコーヒー

お口崩しのインスタントコーヒー

 黒色の中空二重構造のステンレスコップにいつも、インスタントコーヒーを淹れている。美味しいコーヒーの味を求めているわけでもなく、カフェインを求めているわけでもない。
 しかしお茶でも紅茶でもなく、不味くてもいいからコーヒーが飲みたいのだ。

 コーヒーという名前が重要な気がする。コーヒーを飲んでいるという行為に意味がある。何かよく分からない、美味しいのか不味いのか、いや、美味しくはないインスタント

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興味関心の時空間が狭くなっている

興味関心の時空間が狭くなっている

 興味関心が持てる範囲が時空間とも明らかに狭くなってきた。
 その範囲はその時々によって変わる。最も狭くなったときは、イマココの自分だけになるんだけど、日常的には空間は生活範囲であり、時間は長くて二〜三週間、短い時はは半日くらいだ。

 まずは地球の環境破壊について、昔はめちゃくちゃ関心があったけど、今はほぼゼロ。地球は大丈夫という確信があるというのもある。
 もちろん環境破壊の現状は、人間や他の

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両膝にきています。

両膝にきています。

 両膝にきている。これまでの運動不足と加齢で両膝への疲労が抜けきれていない。
 オレは週に二回、学童保育のアルバイトをしている。そこで小学生とサッカーやドッジボール、ケイドロやいろんな種類の鬼ごっこをする。基本的に走り回る遊びばかりだ。
 オレはあえてその遊びに参加させてもらっている。が、今週は学童保育のスタッフのスケジュールの関係で週三で、火水と二日続けて入った。ということは、二日続けて走り回っ

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人生は実践の哲学。机上の空論でなく実験せよ!

人生は実践の哲学。机上の空論でなく実験せよ!

 快調で充実した一日を送るために、早起きをし朝散歩(スロージョギング)をしているんだけど、だんだんと早起きがエスカレートしていき、四時起きになってしまった。早寝ができていない時に、四時起きもしくは四時半起きをすると、日中に眠気や気だるさに襲われてしまう。それでもせっかく習慣になった早起きをやめることはできなかった。
 早寝をすればいいんだけど、逆に少しずつ寝る時間は遅くなっていった。

 そこで今

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土砂降り散歩

土砂降り散歩

朝五時に起きると雨が止んでいた。スマホのアプリで調べてみると、十五分後から雨が降るとあった。梅雨真っ最中の貴重な雨上がりの朝。オレは今のうちだと思い、素早く靴を履くとジョギングに出かけた。

西の空にはどんよりと分厚い雲が見えるが、真上の空はところどころ薄い雲で、青色が少しだけ見える。オレは大きめの透明ビニール傘を手にし走り始めた。

東の山は前日からの雨で洗われた空気のおかげで、くっきりと稜線が

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人生は瓶に貼られたラベル剥がしみたいなもの。

人生は瓶に貼られたラベル剥がしみたいなもの。

 朝、キッチンでヤカンに水を入れガスにかけた。五徳に置かれたヤカンの下で、チチチチチと点火プラグから青色の火花が飛ぶ。ガスコンロに連動して自動的に換気扇が回り出す。オレは換気扇の音をうるさく感じるので、匂いや煙が出ない場合は換気扇をすぐに止める。換気扇の音は不快でしようがないのだ。

 水をヤカンにたくさん入れているわけではないので、その場を離れるのも落ち着かず、ヤカンを見下ろす。オレは手持ち無沙

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朝のひととき

朝のひととき

ネコが、開け放たれ網戸になっている窓枠に座って、鼻をひくひくさせながら、外を見下ろしている。外には風があり、笹がざわざわと騒いでいる。
カラスがカアカアと鳴いている。雨上がりの朝の五時。オレはテーブルでiPadを開いてエッセイを書いている。書くことがすぐに思い浮かばないから、こんなことをいま書いている。

テーブルの上に置いていたチョコレートを一欠片食べたら、急激に吐き気がしてきてびっくりするも、

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オレの性質が不便。【エッセイ】

オレの性質が不便。【エッセイ】

自分に主導権がないのに、能動的にならないといけない一時間以上の予定があると、その予定がどんなものであれ憂鬱で、前日、もしくは当日の朝から落ち着かない。嫌だなあ、めんどくさいなあ、とどうしても思ってしまう。基本的に雇われ仕事全般はこれに当てはまる。

あと、時間が決まっていることも、すごくプレッシャーになって落ち着かなくなる。始まる時間は絶対に守りたいタイプの人間で、そのために早めに行動をする。待ち

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豊な人生って、波乱万丈ってこと?【エッセイ】

豊な人生って、波乱万丈ってこと?【エッセイ】

人生を豊かにするって、なにも平和でしあわせってわけではなさそうな気がする。
「豊か」を検索してみる。

勝手に「豊かな人生」を解釈するなら、喜怒哀楽、いいことも悪いことも十分に満ち足りていて、なおかつ心や態度に余裕があって、落ち着いている人が「ああ、自分は豊かな人生を送っているなあ」と言えるんじゃないだろうかと。

ここで一番のポイントは、いま、心が落ち着いているってことだと思う。
冷静に自分の現

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