朝のひととき
ネコが、開け放たれ網戸になっている窓枠に座って、鼻をひくひくさせながら、外を見下ろしている。外には風があり、笹がざわざわと騒いでいる。
カラスがカアカアと鳴いている。雨上がりの朝の五時。オレはテーブルでiPadを開いてエッセイを書いている。書くことがすぐに思い浮かばないから、こんなことをいま書いている。
テーブルの上に置いていたチョコレートを一欠片食べたら、急激に吐き気がしてきてびっくりするも、三十秒ほどで収まった。まれに何かを食べたり飲んだとき、短時間ではあるが吐き気に襲われる時がある。いつも何なんだろうと、その時は思う。
ネコは窓枠から降りて、どこかよその部屋に行った。外からはさっきまで聞こえていなかった小鳥たちの囀りが聞こえてくる。いろんな種類の小鳥たちが鳴いている。カラスもないている。夜が明けた喜びの声。今日も朝が来たことへの小鳥たちの歓喜の鳴き声。
また雨が降ってきた。風は相変わらず吹いている。小鳥もカラスも負けじと鳴いている。隣の部屋に行ったネコは戻ってはこない。
キーボードを打つ手が止まる。お湯を沸かしてインスタントコーヒーを淹れよう。