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空想お散歩紀行 物語の道

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空想の世界の日常を自由に描いています。
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2022年4月の記事一覧

空想お散歩紀行 金色の島に向かって飛べ

空想お散歩紀行 金色の島に向かって飛べ

希少な宝石があると聞けば山を越え、古代の遺跡があると聞けば海を越え、世界のどこかにお宝があれば、どんな手段を使ってでもそこに足を運ぶのが俺たちトレジャーハンターという生き物だ。
お宝というのは向こうから来てはくれない。いつだって俺たちはやつらを迎えに行かなきゃいけない。
だが、ここに一つだけ例外があった。
今日、ここアウルム山中腹には朝から人が集まっていた。中には一週間ほど前から既に陣取っていたや

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空想お散歩紀行 いつもの風景、違う色

空想お散歩紀行 いつもの風景、違う色

新学期が始まって、一ヶ月。
学年が上がれば何かが変わると思っていたが、新鮮味があったのは最初だけで、それもすぐに慣れてしまった。
でも、それでも何かが変わって欲しいと思っていたのだろう。
学校の帰りに、リサイクルショップの店頭で見かけた一本の古びた箒。
それを見た時には特に何も思わなかったのに。
次の休みの日には、講習を受けに行っていた。
簡単な試験と実習で手に入れた免許。
今どき、箒で空飛んで通

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空想お散歩紀行 ザ・フォーチュン

空想お散歩紀行 ザ・フォーチュン

耐久レースというものがある。
長距離、長時間を掛けて行われるもので、選手の身体能力もさることながら、何よりも精神力が試される過酷なレース。
今、一つの耐久レースが山場を見せていた。
このレースは選手が自分の身一つを頼りにゴールを目指す。
レース期間はおよそ半年にも及ぶ。
その間、大地を走り、山を越え、川を越え、ただひたすらゴールに向かって進み続ける。
スタート時にいた大勢の選手も、時間が進むごとに

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空想お散歩紀行 修学旅行は非日常の別世界

空想お散歩紀行 修学旅行は非日常の別世界

日頃、勉学やスポーツに励む日々の学生として、最大級のイベントの一つと言えば、修学旅行である。
春から新緑の季節へと移り変わるこの時期は、日本の名所と呼ばれる土地に修学旅行生の姿を見かけることは珍しくない。
古都京都。修学旅行の定番中の定番。
「これが金閣寺かー。生で見るの初めて」
「きんぴかー」
4人組の学生服を着た男女のグループが金閣寺を見ながら、それぞれ感想を口にしたり、スマホで写真を撮ってい

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空想お散歩紀行 倍速の街

空想お散歩紀行 倍速の街

いろいろな世界を旅していると、どこにも一つとして同じ世界など存在しないことに、改めて気づかされる。
今回私が訪れた世界では、全てが倍速に動いていた。
時間が倍で動いていたわけではない。私が持っている時計は、今までと変わらないスピードで針が進んでいる。
この世界の人々が自分でスピードを上げているのだ。
皆が皆そうしているから、それが普通に見えているようだが、ここに初めて来た私から見たら明らかに異常だ

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空想お散歩紀行 サブスクリプション・マジック

空想お散歩紀行 サブスクリプション・マジック

魔法とは古来より当たり前に存在している力である。
誰もが扱える力であり、現代に至ってもそれは変わらない。
しかし、ほとんどの人が走ることができるからと言って、大会で金メダルを取ろうとしたら、それなりの才能や努力が必要なように、魔法も自分が使えるようになるためには相応に鍛錬が必要となってくる。
さらに、魔法に代わる、科学という力が発達してきたこともあって、魔法は時代の流れとともに静かに消えていくもの

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空想お散歩紀行 あなたの特技は何ですか?

空想お散歩紀行 あなたの特技は何ですか?

人には得手不得手がある。
周りの誰もができないのに、自分には簡単にできてしまうこと。
逆に、周りの誰もが簡単にできるのに自分にはできないこと。
理想は、自分にとって簡単にできることを活かして生きていくことかもしれないが、なかなかそうはいかないのが人生だ。
こんな特技があったところで、と思う人間は大勢いるだろう。
とある都会の一角。大勢の人が日々行き交う街のどこかに、不思議な店があるという。
そこは

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空想お散歩紀行 どんな場所でもこだわりを

空想お散歩紀行 どんな場所でもこだわりを

重い金属製の扉が開く。最近調子が悪いのか開け閉めの時に少し嫌な音がするようになってきた。
でも、その音をくぐり抜ければ、そこにあるのは落ち着いたジャズの流れる空間だ。
増設に増設を重ね、もはや迷宮のようになったビル。その中の片隅にこのカフェはあった。
周りには同じように増設され無意味に思えるくらい高くそびえ立つビルが立ち並んでいる。
数多くの戦乱や天変地異が世界を襲い、人々が住める土地は限りなく狭

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空想お散歩紀行 剣の一族

空想お散歩紀行 剣の一族

長距離列車の客室。一番安く狭い部屋ではあるが、大人と子供が二人なら何とか休むことができた。
夜の闇の中を進む列車。その揺れる座席の上で一人の少女が寝息を立てている。疲れているのだろう、多少の揺れではその眠りは破られることは無さそうだった。
だが、その向かいに座る青年は窓の外を眺めたまま眠れぬ夜を過ごしていた。
歳が一回りは離れている二人が出会ったのは、ほんの一週間ほど前。
街中で怪しげな男たちに追

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空想お散歩紀行 第2の人生は別の世界で

空想お散歩紀行 第2の人生は別の世界で

人生というのはいつだってままならなかった。
たまに先の予測が当たることもあれば、まったく外れることもある。
でもそれが普通なのだ。いいこともあれば、悪いこともある。いいことだと思っていたことが実はそうでもなかったりするし、不運だと思っていたことが、実は自分にとって必要なことだったりする。
でもそういうものは後になってから分かることで、その瞬間にはなかなか気づかない。
けれども、人生の終わりに、まあ

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空想お散歩紀行 災い封じたる城と洗濯物

空想お散歩紀行 災い封じたる城と洗濯物

しばらくどんよりとした天気が続き、久しぶりに晴れた朝。
ここぞとばかりに待機していた、洗濯物たちが我先にと争うかのように、日光を求めて風の中へと飛び出して行く。
「よし、こんなもんかな」
一人の少女が洗濯物を干し終え、その向こうにある空へと目を向ける。
雲一つない青空に自然に笑みが浮かぶ。
彼女が立っているのは石造りの古びた城の一角。
遠くには新緑が瑞々しく溢れる山々と、そのほとりに鏡のように光を

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空想お散歩紀行 全てをおいしく頂きます

空想お散歩紀行 全てをおいしく頂きます

あらゆるものには魂が宿る。それは人や動物などの生き物にとどまらず、物も例外ではない。
特にこの国では、万物に神が宿るという考えが太古からあり、人や動物、物質がある世界と神の世界は地続きだ。
そして魂があれば、想いがあり、想いがあれば、それは様々な形を成す。
「こりゃまた、ずいぶんヘビーな相手ね」
現在時刻、夜。生物の肉体は眠りに入るかもしれないが、その代わり想いは膨れ上がる時間。
彼女、相良ミノリ

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空想お散歩紀行 いらない物売ります

空想お散歩紀行 いらない物売ります

「本当のあったのか・・・」
俺は半信半疑のまま、その噂の真相に辿り着いたことで正直気持ちの整理がまだついていない。
今目の前にあるのは、PCの画面に映る一つのサイト。
そこには数々の品物が並んでいた。
いわゆるフリマサイト。自分の持っている物で要らなくなったような物を出品してちょっとした小銭を稼ぐという、今では当たり前に認識されているものだ。
だが、このサイトは事情が違った。
「すげー・・・これっ

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空想お散歩紀行 心求めてネットの海から

空想お散歩紀行 心求めてネットの海から

朝という時間、ここには鳥のさえずりと木々が風に葉を揺らす音しか聞こえない。
車が走る音も、テレビやPCから流れる音も無い。
いや、ただ一つ人が出している音がある。
寺院の表、時折来る参拝客のための道を柄の長い竹ぼうきで掃いている音だ。
それをしているのは一人の僧。
丸めた頭に作業用の僧衣を着て、黙々と箒を動かしている。
その姿はどこから見ても修行中の若い僧なのだが、彼には特殊な事情があった。
それ

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