空想お散歩紀行 いつもの風景、違う色
新学期が始まって、一ヶ月。
学年が上がれば何かが変わると思っていたが、新鮮味があったのは最初だけで、それもすぐに慣れてしまった。
でも、それでも何かが変わって欲しいと思っていたのだろう。
学校の帰りに、リサイクルショップの店頭で見かけた一本の古びた箒。
それを見た時には特に何も思わなかったのに。
次の休みの日には、講習を受けに行っていた。
簡単な試験と実習で手に入れた免許。
今どき、箒で空飛んで通学なんてほとんどの子はやっていない。
でも、箒にまたがって、呪文を唱える。
足が地面から離れた瞬間、世界の色が変わった気がした。
同じ通学路、何も変わっていない景色のはずなのに。
ただの通学用の箒のはずなのに、これに乗ってどこまでも行けそうな気が今の私の中にある。
まだ新学期は始まったばかりだ。
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