薄闇の中にそそり立つ巨大なコンクリートの柱。それを取り巻くように組まれた作業用の仮設足…
ドミトリーは一人の痩せぎすの女と向かい合っていた。 そこは白い壁に囲まれた殺風景な部…
澄んだ冷気の中、アナスタシアは目の前に広がる風景と対峙した。 挑むようなまなざし、た…
Ⅰ.世界平和宮殿の設計 ① ② ③ ④ 幕間: ドミトリー、博物館へ呼ばれ…
翌朝の九時、ナースチャは事務所に姿を見せなかった。 入社以来初めてのことだった。これ…
――うわぁ、なんと収まりの悪いプランなんだ。これじゃ、まるで……。 美智はマウスを握…
秋も終わりに近づき、急な冷え込みとなったある日のこと。 世界平和宮殿の施主であるハミ…
美智は世界平和宮殿に閉じ込められ、なすすべもなく立ち往生したままだった。 彼女は大階…
これが一番という方もいらっしゃるはず。マイケル・ジャクソンの1990年代の作品に、『ス…
美しい、とドミトリー・クドリャフツェフは思った。 彼は身をかがめ、展示台の上のガラス…
美智と一緒に建築展へ出かけた日以来、ナースチャは阿部くんと連れ立って昼食に行くのをやめ…
カタカタ、カタカ、カタタタ、カッタラララ……。 ナースチャが画面に向かってキーを打っ…
事務所にとっても美智にとっても、今、最も大事なプロジェクト――それがカザフスタンの新首…
「細かい描き込みはほどほどにしておこう。まずはこれで施主の反応を見ないとね」 美智は明…