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エウレカ 私は見つけた 第16話
16 ある夫婦の決断 アネモネが咲く美しい庭を横切って歩いていくと、ヘンリーとエマの住む白い素敵な家が見えてくる。いつも庭の手入れをし、美しい花を咲かせていたエマが外の作業があまりできなくなって以来、庭の様子は少し変わった。しかし、今まで全く庭仕事をしたことがなかった夫のヘンリーが、人に聞いたり自分で調べたりしながら、彼女に代わって手入れをするようになった。
1年前、エマは病院のベッドに寝
エウレカ 私は見つけた 第14話
14 目が覚めて ぼーっとして目を開けたとき、まず飛び込んできたのは、疲れのためかまぶたが落ち込んでいるミケーネの顔。
たぶん、何日も寝ていないのだろう。でも俺の顔見て、ポロポロと真珠のような涙を流しながら、目覚めたことを喜んでくれた。
彼女の話によると、3日3晩高熱が続き、何かうわごとを言いながら寝ていたそうだ。医者も原因が不明なので
「薬が処方できない。体を冷やし、水分を補給し、本
エウレカ 私は見つけた 第12話
12 お礼の絵
狩から戻った日、ロドリゴの落胆ぶりは、はためにもはっきりわかるほどだった。
『俺は何もできない。ここの厳しい自然環境では何もなすすべがない』
昨夜からの興奮と疲れが一度に襲ってきた。
シュルルー、シュルルルーとお湯が沸く音がした。奥さんがお茶の準備をしているようだ。おやつには近くで摘んだブラックベリーなども出された。
温かいお茶をもらうとき、ロドリゴは
「初めて、狩に
エウレカ 私は見つけた 第10話
10 支え合う暮らし
毎晩父親は、狩の道具の手入れをしている。磨き込まれ、鈍い光を放つそれらは、ロドリゴにとってはまるで生き物のように見える。
今朝もまだ暗いうち、父親はすっと立ち上がり、外に出て行った。
獲物を追う彼の勇姿を一度、ロドリゴは見たいと思う。でも、それは生きるか死ぬかの緊迫した領域である。なまはんかな興味本位で、立ち入ってはいけない場所であることも十分想像できた。そこでロ
エウレカ 私は見つけた 第9話
9 タクレットとのお出かけ
4、 5日すると、ロドリゴの体力は、確実に回復してきた。
ここでの食事は、ほとんどが、味のあまりない肉中心のもの。
ないものねだりだが、彼は色とりどりの新鮮な野菜のサラダ、様々な香辛料で味付けされたミケーネの肉料理が、どれだけ自分の口に合い、おいしかったかがわかった。
タクレットとどうしてもわかり合えないときには、紙に木炭で絵を描いて、意思の疎通を図るように