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土竜のひとりごと

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エッセイです。日々考えること、共有したい笑い話、生徒へのメッセージなどを書き綴っています。
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2021年3月の記事一覧

7万円のご飯

7万円のご飯

僕は夕食でも一食1000円を超えるとビビり、昼ごはんは500円を超えるとビビるのであって、それ以外に選べない時には仕方なく注文するが、迷うチャンスがあればそれらは95%の確率で素通りする。飲む時は別だが。
カミさんの作ってくれる弁当を持ち、仕方なくコンビニで買う時にはおにぎり2個で頑張る。ガソリン代を節約するためにクーラーは余程の雨の日以外はつけず、お酒も4リットルのペットボトルの焼酎で我慢。

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第203話:焦るAI

第203話:焦るAI

数年前のインハイの地区予選。テニスの団体戦が行われる日の朝、試合会場に向かうために早起きをして出たのだが、途中で道が渋滞し先に進めなくなってしまった。

御殿場に住んでいるので、富士方面に向かう時には東海道ルートではなく、富士山側の山越えルートを通るのだが、途中にあるサファリパークに向かう車の渋滞にハマってしまった。

折しも、ゴールデンウイーク。サファリパークはまだ開門していないのか、車はかなり

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第143話:略語の授業

第143話:略語の授業

■略語のパターン

「世界の中心で愛を叫ぶ」って映画を観たことはありますか?

なに、まだ生まれてない?それは恐ろしいことですね。いい映画でした。
でも世界の中心で愛を叫ぶって言わないで、巷ではこれを略して、セカチュウって言ってました。僕はこれをラジオで初めて聞いたんですけどね。最初分かりませんでした。一瞬、ピカチュウに友達でも出来たのかと思いました。
どうせ知らないかもしれませんが、「冬のソナタ

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第35話:壁

第35話:壁

人間というやつは不思議なもので、海に向かって浜辺に立つと必ず石を手に取って海に投げ込もうとする。どういう習性に基づいた行為なのか知らないが、それは毎日誰かの手によってなされているに違いない。
人類が発生してからかなり長い年月が経った訳だが、こんなに石を投げ込まれて、それでも埋まってしまわない海ってやつも、こう考えると感動に値する何かなのかもしれない。
ご多分に漏れず僕も大概は石を投げ込む。無論、理

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第56話:電車

第56話:電車

[ 子育ての記憶と記録 ]

  
子供を初めて持った頃
寝ている子供があんまり静かなものだから
ひょっとしたら
こいつ息をしていないんじゃないかなんて
夜中に幾度か起き出して
子供の息を確かめてみたり
時には抱き上げて頭を撫でてみたりしていた
大丈夫に決まってるって顔をして
いつでも子供はスヤスヤ眠っていたのだが
自分の胸に全てを預けている子供の重みは
いかにも無防備にコトンとしているのであって

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第195話:明石海人という歌人

第195話:明石海人という歌人

昨日、長島愛生園で、1931~56に死亡したハンセン病患者の死亡者の8割、1834人の解剖録が発見されたというニュースが報道されました。
ハンセン病については以前に書いたもの(31話・123話)と内容的に重複しますが、ここではハンセン病の差別で長く苦しみにあった明石海人という歌人の紹介を軸においてに書いてみたいと思います。

🔳明石海人の一生

明石海人(本名野田勝太郎)は明治34年に駿東郡方浜

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第166話:仰げば尊し

第166話:仰げば尊し

仰げば尊しという歌があって、昔は卒業式では必ず歌われた曲であった。最近では歌われないことも多くなってきているようで、年々、この歌を知らない生徒が増えてきている。

確かに「仰げば尊し、我が師の恩」と言われるような師弟関係が現代では希薄になっていて、空疎な響きに感じられるのかもしれない。
ちなみに今、ワープロで「我が師」を変換したら「和菓子」となってしまった。「おなか減ったから、先生、何かお菓子ちょ

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第48話:認識

第48話:認識

[ 子育ての記憶と記録:1歳9か月 ]

1歳と9カ月を迎えているウチのガキこと亮太は、ただ今イタズラ真っ盛りで家の中を我が世の春と言わんばかりに暴れ回っている。

無論それは今に始まったことではなく、9ケ月で歩き初めて以来、思慮もないのに身体の発育だけは人一倍立派なこの怪獣に悩まされながら、僕らは一年に近い日々を送って来たことになる。
「他人の子は早い」と俗に言うが、全くその通りで、自分の子の成

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第179話:助けてと言えない

第179話:助けてと言えない

今の子どもの置かれている現状について考えるヒントになるのではないかと最近目に留まった二つの言葉を拾ってみたいと思います。

ひとつは・・守ることで弱くなるということ。

これは鷲田清一『じぶん・この不思議な存在』講談社現代新書の言葉です。
現代の異常な清潔シンドロームが菌感染による免疫システムの退化を招き、かえって免疫不全の状態に陥っていることに関連づけて、自分を守るために異質なものを排除すること

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第38話:亮太の夏

第38話:亮太の夏

[ 子育ての記憶と記録:1]  

8月、亮太が生後8カ月を迎えている。ようよう「タッチ」が出来るようになり、「偉い。すごい」と声をかけると、ニコニコ笑いながら立っている。「ハイハイ」も大分上達し、部屋から部屋への移動も可能になった。何も出来ず、仰向けのまま泣くしか能のなかった頃に比べると天と地ほどの違いを思わせる進歩である。

不覚なことながら子供を持つまでは気づかなかったのだが、子供というのは

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第24話:バレンタインデーというブラックデー

第24話:バレンタインデーというブラックデー

明日はホワイトデーということで、バレンタインデーのお返しをせねばならない。チョコやクッキーをもらえるのはそれなりに嬉しいが、ちょっと気の利いたものを返そうとすると、毎年、これが1万円ほどの出費になり、小遣いの少なさに喘ぐ僕にとってはブラックデーでしかない。

最近は聞かなくなったが、かつて(随分古いかもしれない)、小中学校ではバレンタインデー登校拒否というものがあるということが話題になったりした。

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第125話:月の勉強

第125話:月の勉強

*)これは教材だと承知してください。

太陽は東から昇って西に沈むけど、月は?
「なぞなぞ」じゃない、単純に真面目な質問。

答えは太陽と同じ東から西。
ちょっと意地悪な聞き方だけど、誘導に引っかかって「西から東」と思った人はいない?当たり前のことなんだけど、当たり前だからかえって間違えられないと思うと動揺したりしてしまう?

何故そんな現象が起きるのかというと、現代は夜になってもこうこうと灯りが

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第94話:さっちゃん

第94話:さっちゃん

生徒に驚かされることがある。

例えばこんなことがあった。
初任の学校でテニス部の顧問になった。中学からの経験者が多くて技術レベルも高く、インハイ予選では地区大会の10位以内に4人が食い込んでいた。人間的にもきちんとしていて自主的に部を運営していた。

その前年、団体戦は県ベスト8で敗退したのだが、その年のインハイの団体戦で次学年の部員たちが再び同じ学校とベスト8をかけて当たることになった。

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第178話:あっという間

第178話:あっという間

車を買った。乗っていたワゴンRのエンジンオイルが2週間も乗るとカラになり、そのたびに500mlほど足さなければならなくなったからである。

懇意にしている自動車屋は「車検まで頑張れば」と言ってはくれたが、一応13万キロ走ったし、転勤して通勤距離も往復で50キロに延び、試合で遠出することも多く買い替えるならとにかく燃費の良い車が欲しかった。

そんな希望をその自動車屋に伝えておくと「トヨタのアクアが

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