第169話:自分への信頼が崩壊する日
最近、同じ職場の同僚を呼ぼうとしてその名が出てこないことが多くなった。
同僚にも親しい人もいれば、それほど親しくない人もいるのだが、同じ教科で、いつも話をしている人であるにもかかわらず、教材の打ち合わせやらテストの採点基準やら、ふっと相談しようとして声をかけようとして、よく知っているはずのその人の名前がどうしても浮かんでこない。その人を目の前にして、呼びかけようとして呼べないのである。
「うわー、この人誰だっけ」
と必死で記憶の糸を手繰っている自分が、まったくもって嘆かわしい