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記事一覧
【ハーブ天然ものがたり】弟切草/セントジョンズワート
鷹の傷薬
日本の山野にふるくから自生し、民間療法に欠かせない薬草のひとつとして使用されてきた弟切草、学名 Hypericum erectumは、血止め草の愛称で親しまれつつ傷や炎症、腫れものやかぶれなどに活用されてきました。
花や葉っぱを摘んで手でこすると赤くにじむのが特徴で、血のような赤い色素はヒペリシンという弟切草の特有成分です。
血止め草のほかに鷹の傷薬とも呼ばれ、江戸時代に編慕され
【ハーブ天然ものがたり】ボリジ/ルリチシャ
瑠璃色のレタス
日本での一般的なよび名は瑠璃苣。
苣はレタスの意味で、ボリジは全草くまなく料理に使用することができる万能ハーブです。
ちなみに日本の台所で食べられているレタスはキク科、ボリジはムラサキ科です。
ボリジは薬用植物としてふるくから使用されてきた記述がのこっており、コンパニオンプランツとして苺やトマトとの相性のよさが知られています。
花は蜜源植物となり、種から得られる油は現代のア
【ハーブ天然ものがたり】シナモン
世界4大スパイス
胡椒(ブラックペッパー)に丁子(クローブ)、ナツメグ、シナモンは世界4大スパイスと呼ばれているそうな(シナモン記事を書くにあたってはじめて知りました@_@;)。
数多あるスパイスのなかで4大入りしたのは、くらしのなかでとくに身近な存在ということや、近代数百年のあいだにおおきく流通市場にくいこんできたハーブ、という背景があるのだと思いますが、現代日本でポピュラーなキッチン・
【ハーブ天然ものがたり】シナノキ/リンデン
日本の古布
シナノキ属、学名Tiliaは北半球の温帯地域を中心にひろがる高木で、世界におよそ30種ほどあると分類されています。
【ハーブ天然ものがたり】インド菩提樹にも綴りましたが、シナノキ属には菩提樹とよばれる種がいくつかあり、日本ではおもに寺院に植栽されてきたコバノシナノキや、本州以北から北海道に自生するオオバボダイジュなどがあります。
日本固有のシナノキは、学名 Tilia japo
【ハーブ天然ものがたり】インド菩提樹
菩提(覚者)の木
日本で菩提樹とよばれる木は大別するとクワ科イチジク属と、アオイ科シナノキ属があります。
菩提はサンスクリット語の「budh」が由来で「覚醒する」「転じて知り尽くす」「完全に理解する」という意味をもつそうです。
釈迦がその木のしたで悟りをひらいたことから仏教三大聖樹のひとつとされ、菩提樹の名で釈迦の物語を伝承してきたのはクワ科イチジク属、学名 Ficus religiosa
【ハーブ天然ものがたり】すいかずら
あまい香りと蜜をもつ金銀花
金銀にかがやくように、ふた色の花を咲かせる日本原産の吸葛、学名 Lonicera japonicaは、花筒をつまんで花蜜を吸う風習から「すいかずら」と呼ばれるようになった説をよく耳にします。
英名でJapanese honeysuckle。
ハニー(蜜)をサック(吸う)なので名づけの背景はほぼ一緒のようです。
地方によっては「水を吸う葛」から、吸い葛となった説も
【ハーブ天然ものがたり】ひよどり花
キク科ヒヨドリバナ属
札幌でくらしていたころ、冬のあいだはベランダにみかんや柿やキウイなんかをおいて、ヒヨドリたちをよくお招きしていました。
夏のあいだはまったくやってこないヒヨドリたちも、北国のながい冬を越すために、朝もはよからヒーヨヒーヨとベランダにきてはごはんの催促をしていたものです。
ヒヨドリが鳴く季節に花を咲かせることから、ひよどり花という和名がつけられたキク科ヒヨドリバナ属のハ
【ハーブ天然ものがたり】アルガンノキ(加筆再掲)
進化プロセス極まれり
アルガンの木はアフリカ大陸北西部に自生するアカテツ科の植物。
種子から採れる油がアルガンオイル(アルガニアスピノサ核油)として利用されます。
ビタミンEの含有量がおおく抗酸化力にすぐれていることから、現代では化粧品原料として有名になりました。
アルガンの木はおおきなもので高さ10mに生育し、幹・枝は木工や暖房に、油を搾りとったあとのカスや葉は家畜(ヤギ)のごはんにつか
【ハーブ天然ものがたり】茶の木
日本のお茶、世界のお茶
煎茶に番茶、抹茶にほうじ茶、花茶に紅茶にウーロン茶など、いろんな呼び名で親しまれているお茶のすべては茶の木とよばれる、ツバキ科ツバキ属、学名 Camellia sinensis の葉から生みだされます。
ヒトが飲用しやすいようにと商用管理された茶の木から、新芽を摘みとったものを中心に、世界中の人々に愛される「お茶」あるいは「ティー」が加工され、まいにちたくさん飲まれ
【ハーブ天然ものがたり】月見草(加筆再掲)
神秘的な光を放つ花
日本で月見草とよばれる種は、アカバナ科マツヨイグサ属のハーブたち。
アメリカ大陸原産で、ネイティブアメリカンの歴史文献によく登場します。根も葉も茎も食用となり、それ以外にも蜂蜜で煮こんで鎮痛効果のあるシロップをつくったり、葉のパック剤を打撲や痔にあてたりと、民間薬草としてふるくから活用されてきました。
江戸から明治のころ日本にはいり、いまでは都会の道ばたから田舎の野っぱ
【ハーブ天然ものがたり】桔梗
星と風船と釣鐘と
ふうせんのような蕾をつける桔梗は、梅雨のころに開花をはじめて秋まで星形の花をたのしむことができる秋の七草のひとつです。
アジア原産で日本の国土にもふるくから自生する野の花。
桔梗のどくとくな紫がかった青は桔梗色と名づけられ、平安時代から代表的な青紫の伝統色として愛されてきました。
英名では balloon flower。
キキョウ属を学名表記にすると Platycodo
【ハーブ天然ものがたり】萩
地力回復菌
くさかんむりに秋の文字をあてられた萩は、まさに秋を代表するハーブ。「秋の七草」のひとつです。
萩には種類がたくさんあり、百合や蘭とおなじように、萩の名は特性がにている種の総称ですが、秋の七草にえらばれたのは日本全土にひろく自生している山萩です。
ウィキから写真をお借りします。
公園などに植えられている萩の花は、はやくて7月ころから楽しむことができ、晩夏には弓なりにしなる茎の先
【ハーブ天然ものがたり】すすき/尾花
秋の七草、尾花
すすきはイネ科ススキ属の風媒花で秋の七草のひとつです。
日本では古い時代に屋根をふく材料として活用していたことから、茅・萱(かや)と呼ばれる有用植物でもあり、集落の生活圏内には茅場とよばれる専用育成地がひろがっていたそうです。
日本国中どこでもみかけるすすきは、穂が動物の尾のようにみえることから古名を尾花といいます。
奈良時代の歌人、山上憶良が詠んだうたは「万葉集」におさめ