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#エッセイ
2024年ベストドラマ トップ10
良作の多い年だったと思います。私は明確なメッセージにひた走るタイプの作品を苦手としていて(良質かつ誠実なのは分かるが好きになれない)、ゆえに近年のドラマのトレンドは刺さりづらかったのですが、配信限定も含めると今年は久しぶりに連続ドラマであることの豊かさを堪能できました。大半は配信中。皆さま是非!(特に1位)
10位 3000万
ふとした結果で3000万円を手に入れてしまった家族が巻き込まれるブ
異界の際にて/吉澤嘉代子トライアングルツアー「旅する魔女」@住吉神社能楽殿(2014.10.19)
吉澤嘉代子がピアノに梅井美咲、ギターに細井徳太郎を迎えたトライアングル編成で開催しているツアー「旅する魔女」。一般的なライブベニューではない場所で開催される公演も多いこのツアー、福岡は住吉神社能楽殿にて敢行された。この会場は能楽のみならず様々なライブも開催されておりこれまで後藤正文、藤原さくら、折坂悠太、フラワーカンパニーズらがここで演奏してきた。吉澤自身も2017年以来、2度目のライブとなった。
もっとみるダウ90000『旅館じゃないんだからさ』と一緒に聴きたいBase Ball Bearプレイリスト
ダウ90000 第6回演劇公演「旅館じゃないんだからさ」 を配信で観た。2021年に初演され、ダウの名を一躍世に広めた名作の3年ぶりの再演である。千葉のTSUTAYAを舞台に、様々な恋慕がひしめき合う物語だ。あれから3年経ち、より色濃くなった”レンタルビデオ“への郷愁が記憶をくすぐってくる。
本公演のテーマソングはBase Ball Bearの「夏の細部」。作品との呼応性、劇中での使われ方など両
「虎に翼」とオープニング食いつきベビのこと
「虎に翼」が終わった。個人的に2013年「あまちゃん」以来の朝ドラ完走。「あまちゃん」が新たな層に朝ドラの存在を訴求した作品だとするならば、「虎に翼」は別角度から朝ドラの在り方を照らし直す強烈な1作だった。
伊藤沙莉を始めとするコメディ巧者たちによる軽妙な会話劇、生活へと持ち帰りたい重厚なメッセージなど様々に受け取ったものはあるが1つ大きなものとしてオープニング映像の素晴らしさがある。米津玄師が
医療でドラマを描くということ/宮藤官九郎「新宿野戦病院」
宮藤官九郎、今年3本目の連続ドラマ「新宿野戦病院」。新宿・歌舞伎町に立つ聖まごころ病院を舞台に、美容整形外科医の高峰亨(仲野太賀)、アメリカ帰りの元軍医ヨウコ・ニシ・フリーマン(小池栄子)ら医者たちと、スタッフ、そして患者たちの関わり合いを描く作品である。もちろんコメディだ。
私はエンタメ作品において、医療モノというジャンルを苦手としている。ドラマの展開として“患者が助かる”か“患者が助からない
この1年でよく読まれた記事ベスト10【note6周年】
2018年から書き始めて6年が経ちました。900記事くらい書いてるようです。毎年恒例の年間アクセス数ランキング。この1年で書いた記事で上位10本を載せてみようと思います。
10位 アジカン精神分析的レビュー『マジックディスク』/語り直しと混ざり合い(2023.8.18)
去年、勤しんでいたアジカン精神分析レビューの1本。だんだん書き方が掴めてきた頃。現在、これらの記事を基にレビューZINEを制
2024年上半期ベストドラマ トップ10
最近は上半期ベストドラマというのは選んでこなかったけど今年はどういうわけか山ほどドラマを観ている。これは恐らく昨年「ゲーム・オブ・スローンズ」全シリーズを観ていた時間をドラマ視聴時間に充てることができている、ということなのだけど、それにしても良作が多すぎる気がする。年間ベストで拾い切れなくなる作品が惜しいので、トップ10を久々に決めてみた。
10位 エリック
今年、数多い"子供が失踪する"とい
《い》伊坂幸太郎【50音で語る】
《い》伊坂幸太郎浸りたくなる会話たち
あまり本を読まなくなった(それでも今年は結構読んでる)最近ですが、子供の頃はかなりの本好きで夏休みは山ほど本を読める期間と捉えてるくらいには読んでいまして。で、中学生ぐらいの時にこれは!という思いになったのが伊坂幸太郎の「アヒルと鴨のコインロッカー」でした。この映画版に当時ハローバイバイだった関暁夫が出ていて、都市伝説大好き中学生でもあった私は大いに反応し、
“穴”を前にして語ること/加藤拓也『滅相も無い』
加藤拓也が脚本・演出を務めたSFドラマ『滅相も無い』は語り甲斐しかない作品だった。「演劇をやれば映像的だ、映画をやれば演劇的だと言われることに嫌気が差し」(参照)、本作ではそのどちらの手法も用いられて作られている。
自分の人生を8人が語り合うBBQの場面は映像作品として見せられるが、それぞれの語りの内容は舞台上で披露する様を見せられる。舞台上には劇伴を演奏するUNCHAINがおり、役柄の決められ
バンドたちはなぜメシを食うアーティスト写真やMVを撮るのか
MONO NO AWAREの新曲「同釜」、そのミュージックビデオは“メシを食うこと”を中心に据えた作品だった。和中洋と次元を移ろいながらメシを食う。最後に演奏シーンがあり、そして高笑いする玉置周啓(Vo/Gt)もいる。異様なビデオだ。
このようにメシを食うミュージックビデオや、もしくはメシを食うジャケットのアートワーク、そしてメシを食うアーティスト写真などはバンドにおいては思いつく限りでもかなり
境界で踊る〜橋本絵莉子『街よ街よ』【ディスクレビュー】
橋本絵莉子の2ndアルバム『街よ街よ』に感動しきっている。前作『日記を燃やして』では柔らかなアレンジはアコースティックギターの音色も印象的だったが、本作はずっしりとしたグルーヴを活かしたロックバンドらしさ溢れる1作。ライブでの経験値が制作にも反映された好例だろう。
40歳を迎えた橋本が自身の年齢を「若くもないけど老いてもいない、この感じがちょうど踊り場っぽいなって。(中略)ただスッと過ぎていくだ
Netflix「三体」シーズン1が残してくれた関心について【ドラマの感想】
Netflixで3/21より配信開始となったドラマ「三体」が異次元の面白さであった。元々原作小説の時点で興味はあったが、ドラマ化が決まり、ならばそちらをと思い先延ばしにしておいたのが功を奏してか、全ての展開に驚嘆しっぱなしである。
宇宙スケールのSF作品であり、得体の知れない概念をドカンと突きつけてくる一方、オックスフォードの同級生5人が知力を結集して好戦的な爺さんの下で大義を果たすお仕事ドラマ
歌い踊り揺れる/宮藤官九郎『不適切にもほどがある!』【ドラマの感想】
宮藤官九郎脚本によるTBS金曜22時ドラマ最新作『不適切にもほどがある!』が完結した。”好きなものを好きと言う“が基本姿勢でありながらもここ数年は総合点を重視した嗜好になっていたが、本作に関しては部分点が突き抜けすぎて自分にとってかなり好きなドラマになってしまった。
確かに雑な描写は多々あるし、正直サカエ(吉田羊)は最後までどう捉えれば良いか難しかった。しかしそれだけで見限ることは私には出来ない
戻れないけど消せもしない/Base Ball Bear『天使だったじゃないか』【ディスクレビュー】
子どもが生まれてから生活は変わった。粉ミルクを溶かす時間がルーティーンに組み込まれ、泣き叫べばオムツを変え、それでも泣き続けるならば抱っこする。当たり前のことだが、妻とともに育児に向き合う日々は去年までの自分とは全く違う。しかし買い物に行ったり、出勤したりする時にはいつも1人。そんな時、慣れ親しんだ音楽を聴けば自分が我が子の親になったという事実と同時に、今までと変わらない自分もまたここに居続けてい
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