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毎日ちょっとだけ連載小説|水深800メートルのシューベルト

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連載で小説を始めてみました。一話をかなり短く(200文字くらい)毎日ほんの少しずつ進める予定です。 読んで頂けると嬉しいです。
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2024年1月の記事一覧

水深800メートルのシューベルト|第807話

「訓練延長でいいじゃない。たった二か月くらい、人生七十年以上生きる時代に、それっぽっちの…

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水深800メートルのシューベルト|第806話

 唯一の味方のように話しかけてくれた存在を後ろに感じると、心臓にひんやりした風が吹きつけ…

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水深800メートルのシューベルト|第805話

「言うって誰にだよ。どうせ、ダカーリが広めているんだろう? あいつの口を封じるなんて、無…

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水深800メートルのシューベルト|第804話

「嘘よね? あなたはそんな酷いことができるような人じゃないもの」 (そう、トリーシャは言…

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水深800メートルのシューベルト|第803話

「さっきから声をかけているのに、無視したわね。どういうつもり? 私、何か気に障ることでも…

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水深800メートルのシューベルト|第802話

 足が重かった。きっと、筋肉が疲れたとか心肺機能が落ちたとかではなく心の中のガソリンが無…

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水深800メートルのシューベルト|第801話

 ダカーリといるよりましだと思って走ることにしたトレーニング施設は、夜とは思えないほど熱気があった。タン、タンと単調な靴音、相方に足を押さえてもらいながら腹筋をする男の息遣い、バーベルを担いで膝を曲げている女の子の呻き声が混ざり合って、目の前に見えないカーテンが下がっているようだった。  僕は、その空気の中に入り辛かったが、他に行くところがないので、足を踏み入れた。途端に、周囲の横目でちらとこちらを窺う冷たい視線にさらされ、このまま立ち去った方がいいのか迷った。しかし、ここ

水深800メートルのシューベルト|第800話

ダカーリの動きものんびりしていたように見えた。つい、自分だけが動けてないのではと思うと、…

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水深800メートルのシューベルト|第799話

「お前たち、また騒乱を起こすつもりか! このガキども、とっとと失せろ!」 「何でもありま…

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水深800メートルのシューベルト|第798話

「絶対にお前を許さねえ」  彼は手を伸ばして、僕のシャツを掴もうとしているようだった。僕…

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水深800メートルのシューベルト|第797話

その瞬間、どこからか爽快な風が頬を撫でたような気さえした。ダカーリの瞳は、動きが一瞬止ま…

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水深800メートルのシューベルト|第796話

その時、足をついた痛みに表情を歪ませていた。しかし、すぐに無理に作り笑いをして言った。 …

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水深800メートルのシューベルト|第795話

そのせいで、よろめいて落ちそうになり、慌てて右側の手擦りを掴んだ。すると、もう一度頭に何…

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水深800メートルのシューベルト|第794話

「先に降りろ、お前が上から降って来るのだけは勘弁だからな」  言葉に棘を感じながら、先に降りることにした。上からは彼の独り言か僕への不満なのかが不明確な言葉が聞こえてきた。返事をすると怒るだろうと思い、何も言わずにラッタルを一段ずつ降り、CICのハッチの見える場所で、更に下に続くラッタルに乗り換えた。ダカーリの足音が後ろに続いた。  あと数段で外に出るハッチにフロアに着くという時、 「早く行けよ、グズグズされると気分悪いぜ」  と言う声と同時に、頭に小さな衝撃が走った。