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水深800メートルのシューベルト|第801話
ダカーリといるよりましだと思って走ることにしたトレーニング施設は、夜とは思えないほど熱気があった。タン、タンと単調な靴音、相方に足を押さえてもらいながら腹筋をする男の息遣い、バーベルを担いで膝を曲げている女の子の呻き声が混ざり合って、目の前に見えないカーテンが下がっているようだった。
僕は、その空気の中に入り辛かったが、他に行くところがないので、足を踏み入れた。途端に、周囲の横目でちらとこちらを窺う冷たい視線にさらされ、このまま立ち去った方がいいのか迷った。しかし、ここで踵を返してしまうと、笑いものにされる気がして悔しかったので、アキレス腱を伸ばしてから、トラックを走り始めた。