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毎日ちょっとだけ連載小説|水深800メートルのシューベルト

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連載で小説を始めてみました。一話をかなり短く(200文字くらい)毎日ほんの少しずつ進める予定です。 読んで頂けると嬉しいです。
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2022年10月の記事一覧

水深800メートルのシューベルト|第350話

「なあ、坊主。アデリーペンギンって知っているか?」  彼は手で、縦長の動物の形を作ってみ…

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水深800メートルのシューベルト|第349話

 彼は、海軍の勤務が国へ貢献できる崇高な仕事だと説明していた時とは違う、嫌悪に満ちた顔を…

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水深800メートルのシューベルト|第348話

「入隊者が出たら、ナージフさんの給料も上がるの?」  この緩んだ空気に、普段なら尋ねない…

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水深800メートルのシューベルト|第347話

「最近、朝早く目が覚めるんでね……。家にいてもすることはないし、軍のオフィスには居たくも…

4

水深800メートルのシューベルト|第346話

「え……と、ナージフさんはどうしてこんな朝早くから? 学校は土曜日なのに……」  話題を…

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水深800メートルのシューベルト|第345話

「おい、あんな岩場のごつごつした海で泳いだのか? 危ないな。しかも、君、海の匂いがするぜ…

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水深800メートルのシューベルト|第344話

「え……えと。君は確か……」  彼は、僕が明らかに身近な人間だが、名前だけはどうしても思い出せないといった笑みを浮かべた。日焼けした目元に皺が寄っていた。僕が名前を告げると、皺はこめかみにまで広がった。 「そうそう。確か、海に行ったことがないんだったよな?」  彼は人懐こい表情を浮かべた。 「実は夕べ、海に行ってきたんです。マーシャルズビーチに……。今、帰って来て……」  座り込んでいる彼に目線を合わせようと、僕はしゃがみ込んだ。      第343話へ戻る 第345話

水深800メートルのシューベルト|第343話

「なんだ? 婆ちゃんに朝帰りを咎められるのが怖いのかい、臆病な奴?」  バーナードがから…

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水深800メートルのシューベルト|第342話

     (24)  夜中になって、ようやく車に乗ることを許された。  車のシートを海水…

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水深800メートルのシューベルト|第341話

メイソンは僕からシャツを取り上げた。それを振り回しながら 「これ、俺の車のウイングにつけ…

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水深800メートルのシューベルト|第340話

「おい、そろそろ帰ろうぜ。メイソン、夜間運転はできないだろう?」  僕らが、岩から引き返…

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水深800メートルのシューベルト|第339話

「いや、ロープがなかったら溺れていたぞ。メイソン元帥と俺の手柄ですよね?」  ブライアン…

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水深800メートルのシューベルト|第338話

「助かったよ。ロープがなかったら溺れていたもんな。ありがとう」  なんだか、(僕の)本能…

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水深800メートルのシューベルト|第337話

 メイソンが僕の肩を叩きながら、笑っていた。僕は、叩かれた途端に、こみ上げてくるものがあって、下を向いて咳き込みながら飲み込んだ海水を吐き出していた。胃の中がパンパンに膨らんでいて気持ち悪かった。  背中越しにブライアントの声が聞こえた。 「ほら、動くなって。今解くから……。な、メイソン。俺の言った通りだろ? 鞄にロープをつけた方がいいって」  顔を上げると、彼はやにさがった目で、ロープの先端の金属のフックを僕に見せつけた。 「俺のアイデアだぜ、感謝しろよ」  その嘲る